食品スーパーを牽引するライフの、注目したい施策
2025年10月24日 14:31
ライフコーポレーション(8194、東証プライム市場)。近畿圏・首都圏で食品スーパーを展開。売上高最大級。
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故・清水信次氏により戦後、乾物や輸入品食材を扱う清水実業として生まれた。私がライフにまず興味を持ったのは、清水氏自らの判断で、同族経営に終止符を打ったことだった。
清水会長/清水三夫(実弟)社長体制の時期がある。が「最大の理由はバブル期の?投資」とされるが、清水氏は実弟を馘首し、自らが会長・社長となる体制を敷いた。
事情をよく知るアナリストの口からは、「断腸の思いだったはず」とする声が聞かれもする。だが清水氏は、社長職に新たな人物を同族からは選ばなかった。
その後の海外視察で三菱商事の英国法人に籍を置いていた現社長:岩崎高治に出会い、スカウトした。三菱商事とライフの間には相応の付き合いがあった。このことを機に三菱商事はライフを持ち分法適用会社としている(21%強の大株主)。
私には1度だけ、ライフの清水氏を飛び込み取材した経験がある。受付で談判した。清水氏(業界団体会長)のコメントなくしては、「ワサビのない寿司」になってしまう原稿だった。
30分後の条件付きで機会を得た。会議が30分後に入っており30分以内での取材だった。質問に対し清水氏は的を射た返答をしてくれた。物書きとて人の子。無理を承知の取材に胸襟を開いてくれる御仁には、感謝の念を覚える。
ライフはいま、食品スーパーの域を徐々に「平素用服」「生活必需品」の域に広げている。「ライフ=生活」スーパーへの流れである。非総合スーパー。「大手食品スーパー」と呼ばれる各社には、歩むべき道程といえよう。
大手食品スーパーには着実に手を打たなくてはいけない課題がある。食品廃棄物対応+伴う再生エネルギーの創出。瓶・缶・ペットボトルの「再生」対応には、確かに相応の手が打たれてはきている。が一層の進捗が求められる。
ライフでは業界最大規模の「(天保山)バイオガス発電設備」を、2022年から本格稼働させている。業界のリーダー役を果たしている。
今期予想を含む3期間の収益動向は「24年2月期:5.8%増収、26.0%営業増益、20円増配90円配」-「25年2月期:5.0%増収、4.8%増益、20円増は110円配」-「今26年2月期計画:4.1%増収、1.7%増益、実質20円増配」。
本稿作成中の株価は2400円台半ば。予想税引き後配当利回り2.1%強。過去10年間の修正済み株価パフォーマンスは63%余。IFIS目標平均株価2675円。さて・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)