熊谷組・住友林業の戦略的資本・業務提携に期待したい理由

2025年9月10日 08:44

 熊谷組(1861、東証プライム市場)&住友林業(1911、東証プライム市場)。手元の四季報業績欄ではそれぞれに【続伸】-【最高益更新】とする見出しが躍っている。

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 前者はトンネル土木工事に幾多の実績を持つ準大手格のゼネコン。マンションなど建築でも注力姿勢を示している。後者は注文住宅の国内大手。木造ビルに積極的な対応を見せている。

 双方の今期予想を含む3期間の平均営業増益率は「27.5%強」「3.4%強」と好調・順調。本稿作成中の株価:4700円前後/1700円余に対しIFIS目標平均株価は「5370円/1825円」。ともに、中長期構えで投資価値を覚える。

 私が熊谷組&住友林業の組み合わせに着目したのは、2017年のことだった。

 当時、11月9日付けでこんなリリースが配信された。『住友林業(株)と(株)熊谷組の業務・資本提携に関するお知らせ』と題されたリリースでは、「世界有数の森林保有国・日本では、昔から木や緑に温もり・癒しを求める声が広がっているだけでなく、2000年10月には木材の利用を促す法律が施行されている。木材利用は国策と位置付けられた。そこで住友林業が強みとする木や緑の深い知見と、熊谷組が強みとする土木・建築技術やノウハウを融合し・・・」と記されている。

 住友林業は熊谷組の筆頭株主に、熊谷組は住友林業の持ち分法適用会社と繋がりを深いものとした。そして複数の課題別のプロジェクトがスタートした。木材利用:国策に対する、稀なジョイントだった。

 以来、両社の動向を見守った。そして2021年3月末、『中大規模木造建築ブランド「with TREE」で木造化・木質化推進~環境と健康を両立させる建築物~』と題するリリースが配信された。

 熊谷組は集合住宅・事務所などの中大規模木造建屋の受注・施工の技術開発を進めている。住友林業は脱炭素社会実現に向けた非住宅の木造化・木質化に注力しており、教育施設や高齢者施設の実績を増やしている。具体的にはプロジェクトの一環とし、野村不動産のエイチワンオ外苑前で取り組みが始まった。

 木の活用は適宜な森林の伐採により、地球温暖化防止につながる。木は植えて育てて伐って長く利用するすることで、CO2の吸収・炭素の固定のサイクルを生み出し、地球温暖化防止につながるからだ。

 余裕資金を有する投資家には双方の株を中長期構えで臨むのも、一法ではないだろうか。2016年始値で熊谷組の株価を購入し今日まで保有していると、修正済み株価パフォーマンスは37%余、3.15倍である・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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