海外事業拡大、サカタのタネ:株価も収益動向を反映

2025年8月30日 20:26

 サカタのタネ(1377、東証プライム市場)。花き(花の公称)や野菜の苗で世界トップクラス。国内企業にあっては1位の売上高。

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 10年余前になるが、畑仕事に入れ込んだ。『「家庭菜園」 この素晴らしい世界』(講談社刊)を上梓した物書き仲間を「師匠に」、書籍の担当編集と集い土日は泥と汗まみれの日々を送った。

 「苗の見分け方」をご存知だろうか。詳しくは「忘却の彼方」に近いが仕込みに行くたびに師匠に「これだけは必ず」と言われていたのが、「葉が密集し、虫に食われた跡がなく変色していない。枝もとがぐらついていない点」だけはチェックするよう指示された。参考までに・・・

 手元の四季報の3回目のパラパラ読みで、サカタのタネに目が留まった。【連結事業】で【海外77】と記されていた。国内企業ながら、海外の事業割合が極めて高いと言うのだ。

 前2025年5月期の決算資料には、「期中の米ドル/ユーロレート」が記されていた。『海外卸売事業』については、「アジアは減収となったが、他の北南米、欧州、中近東、南米では増収。23年12月に取得した連結子会社も増収寄与に貢献。結果、前期比5.8%の増収(719億7700万円)、9.8%の営業増益(200億2100万円)」としている。売上・営業利益とも国内卸事業の126億6100万円/47億6000万円を、大きく上回っている。

 収益動向は為替相場の動きにも左右される面は否定できないが今26年5月期の計画を含め、5期間の平均値で「6.7%の増収、3%余の営業増益」と着実。22年5月期に7円増配45円配だった配当も、今期予想は75円配。

 投資対象としては、どうか。本稿作成中の株価は3600円水準と年初来高値ゾーン。過去9年8カ月余の修正済み株価パフォーマンスは30%余り。IFIS目標平均株価は5700円と、国内大手証券の強気姿勢が目を引く。年初来の株価動向は4月7日の3035円を底値に反転。8月22日3715円まで買い戻された。とりあえずは様子見が賢明だろうが・・・

 海外比率が高いだけに気になるのは、トランプ関税。サカタのタネでは「関税の影響がない現地育種を伸ばし、北中米の売上高を30年度までに5割増やす」と強気の姿勢を見せている。

 四季報の業績欄は【増益続く】の見出しをとり、「北米と欧州で好採算の果菜類が増勢。メキシコやブラジルも現地育種品が順調拡大」と「増益続く」の理由を、海外好調から説明している。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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