PayPay米国市場上場の狙いとは?
2025年8月19日 10:27
●PayPayが米国で株式上場
ソフトバンクグループ(G)傘下の決済関連会社PayPay(ペイペイ)は15日、米国での新規株式公開(IPO)に向けて、米国証券取引委員会(SEC)に計画を提出したと発表した。
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上場の具体的な時期や価格は未定としており、ロイター通信によると、東証への同時上場は「現時点で想定していない」という。
時価総額は1兆円超と見られており、上場が正式に承認されれば、米国IPOでの日本企業としては、過去最大となる
PayPayはなぜ、米国市場で先に上場するのだろうか?
●PayPayの歴史
PayPayはソフトバンクとLINEヤフーの合弁会社であり、連結子会社である。2018年7月にソフトバンクの出資先であるインドのPaytmより技術提供を受け、QRコード決済を行うサービスを行う企業として設立された。
サービス開始直後の2018年11月から12月にかけては、総額100億円をかけたキャンペーンも行うなど、積極的に拡大を進めた。
キャンペーンも奏功し、サービス開始から4カ月で400万人のユーザーを獲得。2025年1月現在、QRコード決済利用者の約65.1%が利用しており、2025年7月には利用者7000万人を突破するなど、国内では圧倒的な利用者を誇っている。
●米国上場の狙いは?東証上場もあるのか?
米国でのQRコード決済は、ApplePayやGooglePayなどのシェアが高く、PayPayが割り込む余地は少ない。
PayPayとしては、銀行・保険などの金融サービスや、AI・ブロックチェーンなどの最新技術を生かしたサービスへの投資を呼び込みたいという狙いがあると見られる。
米国の株式市場の方が、上場により大きな資金が流れ込みやすいという狙いもあると見られる。日本よりも成長性のある企業に投資されやすいというのも、米国市場を選んだ要因だろう。
上場ルールの厳しい東証では、PayPayは大幅な赤字が続いていたことなどから、財政状況によりプライムへの上場ができない可能性もあり、上場を見送る可能性が高い。
PayPayがQRコード決済の企業からフィンテック企業への転換を遂げるための手段が、米国上場なのだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)