研修販売事業のリスキルが、「料金一律」にこだわる理由
2025年8月9日 10:12
リスキル(291A、東証グロース市場)は昨年12月17日、初値4840円で生まれた。公開価格3730円に対し30%近い上値と、注目を集めた上場だった。企業向け研修サービスを販売している。詳細は後述するが、新入社員研修・管理職研修・DX研修など研修範囲は多岐にわたる。
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上場前の2024年3月期に対し、上場直後の前3月期は「32.0%の増収、69.8%の営業増益」。そして今26年3月期は「21.7%の増収(23億8300万円)、4.9%の増益(7億1600万円)」計画。収益動向は着実な歩みを見せている。
また5月14日に市場対応策とし、「上限2000株/1億円」の自社株買いを開始。一方で8月からはテレビ東京系の報道ドキュメント番組「ガイアの夜明け」でCM放映も開始、プロパガンダ施策にも足を踏み出した。CMのコンセプトは、「研修はもっと手軽に実施できるはず」。
リスキルの研修サービスの提供、その枠組みを知ると「儲けられるのか」という素朴な疑問を覚える。何故なら、こんな枠組みだからだ。
『研修料金一律』
「研修の内容によっても料金は変わらない⇔新人研修もマネジメント研修も、料金は同じ。通常のケースでは後者の方が高い」。
「研修会の料金は、30人でも100人でも同じ」。
「研修内容をアレンジしても、料金は変わらず。アレンジするということは、例えばテキストの作り直しが伴う。が全く料金は不変。アレンジには時間の変更も含まれる。1日から2日跨る変更もある。が料金に変更はない」。
リスキル自身が「1000人規模の研修を請け、テキスト代の嵩みから大赤字ということもあった」としている。それでも何故、いまの枠組みで研修販売事業を展開しているのか。
「一人でも多くの人や企業に研修を届けるのが私どもの存在意義だから」とし、「価格表との睨めっこでもなく営業担当との値引き交渉でもなく、研修担当者は『何故やるのか』『どのような研修をやっていくのか』に研修担当者は集中できる」と言い及んだ。
とくと今後を見守っていきたい、としか現時点では言葉を知らない。
本稿作成中の株価は3500円台前半。上場来高値5450円(昨年12月17日)から同安値2550円(今年4月7日)までIPO相場の整理が進み、小幅反発場面。自己資本比率(45.68%)は財務の安全性を示している。予想PER(15.74倍水準)に割高感はない。押し目買い姿勢で、配当実施を待ちたい・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る)