日米関税交渉合意での株高は続くのか?
2025年7月26日 20:16
●相互関税が15%で合意
8月1日が相互関税の引き上げ期限だった日米関税交渉が、7月23日に急転直下で合意した。
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相互関税・自動車関税がともに15%で決着し、日本が米国に5500億ドル(約80兆円)を投資することで合意した。
米国側は25%の相互関税を課すとしていたが、15%で決着したことで、日本の交渉は成功との声も多い。日米関税交渉の合意後、日経平均は一時1500円超も上昇した。
特に自動車関係は、25%の追加関税が既に発動されていたが、12.5%(従来の基本税率と合わせて15%)にまで引き下げたことが好感され、トヨタなどの自動車株が急騰した。
出遅れ感があった日本株が、日米関税交渉合意で上昇相場を迎えるのだろうか?
●合意の中身
15%の税率は、対米黒字を抱える国の中では最低水準だった。米国側は、自動車は交渉の対象外としていたが、引き下げに応じた。
一方で、米国が日本からの投資収益の9割を確保するなど、“痛み分け”の部分も多い。
その他の合意事項は、米国産の自動車・トラック規制の撤廃、日本が米国産コメの輸入を75%増やし輸入割当枠も大幅に拡大する、などだ。
トウモロコシや大豆などの米国産の農作物80億ドル相当を購入し、ボーイング機の100機購入も発表されている。
●油断禁物?
日米交渉の合意を受けて、トランプ米大統領は「史上最大」「歴史的」と言葉を並べて、自画自賛した。
今回の合意は、トランプ大統領が、人心取引罪で起訴されその後自殺した米実業家との関係を疑われたスキャンダルが影響している、との噂もある。
日米関税交渉が先陣を切って合意したことで、EUなど他国も先が見えてきたとして、不透明感が払しょくされたことが好感され、株価が上昇したとも考えられる。
ただし、5500億ドルの投資は国内への投資が空洞化する恐れもあり、今回合意したがトランプ大統領がさらなる要求をしないとは限らない。
米国販売向けの自動車を生産しているメキシコやカナダの関税交渉の行方も、気になるところで、もし高関税となれば、自動車株中心に売られるリスクもある。
今回の日経平均の上昇は、参院選の結果を受けた石破総理退任報道(後に本人は否定)も追い風になったとも考えられ、急激な上昇で日経VIも上昇しており、油断は禁物である。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)