日本調剤が進める、外来がん治療認定薬剤師&かかりつけ薬剤師の充実

2023年12月13日 09:07

 日本調剤(東証プライム)。調剤薬局で業界2位。日本調剤を覗き込んで記してみたいと思った入り口は、APACC(外来がん治療認定薬剤師)が、就業している薬剤師の約4人に1人(今年8月1日時点)という事実を知ったからだ。

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 周知の通りこれまで、がん治療は入院治療が多かった。それが抗がん剤や分子標的薬の進歩で、外来で治療を受ける患者が増えている。APCCは日本臨床腫瘍薬学会が認定する資格。2013年に設立されて以来、987人の認定者(22年5月)が存在する。

 APACCの役割は大きい。患者の費用や生活の質(QOL)でメリットをもたらす半面、薬の副作用や治療方法に不安を抱く患者をフォローアップしなくてはならない。医療機関と連携し、そうした患者の日常に寄り添わなくてはならない。非入院治療という時代の流れ(求め)に、日本調剤は業界屈指の体制で臨んでいる。評価に値する。

 2016年4月から始まった「かかりつけ薬剤師」制度でも、日本調剤は着実に実績を積み重ねている。総店舗:732店の85.5%(23年3月時点)で、患者と契約を交わした「かかりつけ薬剤師」が活動している。

 かかりつけ薬剤師制度は、「患者が選んだ薬剤師が(市販薬も含む)服薬情報を総合的に把握し、治療状況の確認や副作用の有無、飲み合わせ可否等について継続的にサポートする仕組み」と、厚労省の資料等には記されている。

 そのままを、若い女性記者に伝えた。記者は即座にこう返してきた。「私もそうだが美容院に行く女性の多くが、かかりつけ美容師を決めている。客の好みに通じていて安心していられるから」。妙に感心した。

 かかりつけ薬剤師の指名?を受けるためには、「薬剤師認定制度認証機構の認証」「研修認定薬剤師の取得」が前提条件。加えて「薬局勤務経験3年以上」「勤務先の薬局に週32時間以上勤務」「勤務先の薬局に1年以上在籍」が要件となる。

 処方箋を持ちかかりつけ薬剤師に薬の用意・相談⇔質問の遣り取りをして、加算される患者側の負担は100円前後。その程度の負担で「夜間・休日を含め24時間相談ができ、在宅医療のサポートしてもらえる」。かかりつけ医/かかりつけ薬剤師は、私の様な70歳も半ばになる老人には不可欠と考える。

 日本調剤という企業、自社及びM&Aも駆使してジェネリック医薬品(約600品目)を世に送り出しているといった側面も持っている。

 2023年3月期の「4.7%増収、15.1%営業増益、20.3%最終増益」に対し今3月期は「6.7%増収、15.6%営業減益、28.2%最終減益」計画で立ち上がった。が中間期開示と同時に「7.6%増収、10.7%営業増益、3.64%最終減益」に上方修正。

 時価は1200円台終盤。過去10年間の修正値ベースの株価パフォーマンスは82%強。PBR0.66倍を勘案すると、中長期構えで臨んでみたくなるが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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