生命の構成要素であるグリシン、惑星誕生以前に形成された可能性 ロンドン大の研究

2020年11月17日 08:54

 11月16日にイギリスのNature Astronomy誌で公開されたロンドン大学クイン・メアリー校の研究論文で、アミノ酸の1種で生命を構成する重要な要素の1つであるグリシンおよびその他のアミノ酸が、惑星が誕生する以前の星間物質内で形成されていた可能性が示された。

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 この研究では、世界で初めて彗星の核に着陸成功した欧州宇宙機関(ESA)の探査機ロゼッタが、67P /チュリュモフゲラシメンコ彗星から地球に持ち帰ったサンプルの分析を行い、その中からグリシンを見出している。

 だが、従来グリシンの形成には紫外線光子や宇宙線などのエネルギーの照射が必要と考えられていたため、惑星や恒星の誕生する以前の、それらの源となる星間物質内ではアミノ酸が形成されることはありえないというのが定説であった。

 彗星は惑星や恒星が誕生する以前の物質を起源としており、それらの分子組成がそのまま反映されているため、彗星を構成するサンプルを分析することで、その当時の宇宙の星間物質内に存在していた様々な分子が確認できるのだ。

 今回の発見は、惑星や恒星が誕生するよりもずっと以前に、すでに生命を構成する重要な要素が形成されていたことを示唆している。つまり、私たちの体を構成しているアミノ酸分子の起源は、実は太陽や地球よりも古いということになる。

 また、宇宙空間に以前存在した星間物質とその状況を再現した地球上での実験によっても、エネルギー照射をしない状態でグリシンが形成されることも確かめられているため、今回の発見の正当性も既に客観的に実証済みだ。

 ただしこの発見によって、宇宙が誕生した直後にすでにアミノ酸が存在していた、ということにはならないので注意が必要である。なぜならば、アミノ酸を構成する元素は水素だけではなく、恒星の内部の核融合によって作り出される炭素、窒素、酸素も必要となるからだ。

 つまり、アミノ酸が宇宙空間で形成された時期は、少なくとも第1世代の恒星が誕生し、それが最期の超新星爆発を起こした後の残骸が、星間物質として宇宙空間に漂っている期間中ということになる。

 実は私たち太陽系に存在する生命体は太陽の子供でも、地球の子供でもなく、それらが誕生する以前の星間物質の源となった太陽や地球より前の世代にあたる恒星の子供であったのだ。太陽も地球も生命体にとっては同世代の兄弟であると表現したほうがふさわしいことになる。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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