カイコは蛹になるために活性酸素を利用する 東京農工大などの研究
2019年10月30日 11:31
活性酸素はあらゆる生物に対して有害と考えられてきた。しかし、チョウの仲間の一種であるカイコは、蛹になるためにこの活性酸素を利用しているということが明らかになった。東京農工大学大学院の野島陽水博士課程修了生、天竺桂弘子准教授、情報・システム研究機構の坊農秀雅特任准教授らの研究である。
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カイコが蛹になるとき、幼虫の体はいったんどろどろに溶かされ、成虫の体が一から構築される。この際、蛹化のスイッチを入れるために幼若ホルモンと、脱皮ホルモンのエクダイソンの体液中濃度が変化する。
蛹になってからは、体液の中にエクダイソンが分泌されるに従ってオートファジーというプログラム細胞死と、アポトーシスが誘導される。溶けた幼虫の組織は成虫組織の材料となる。
ところでチョウの仲間は食糧不足や紫外線の照射などと言った強いストレスが幼虫期に加わると、蛹になるのが早くなることが知られていた。しかしそれがどういう具合に起こるのかはよく分かっていなかった。
研究グループは、紫外線を浴びた際と蛹化の際とで、共通した遺伝子発現が起こるのではないかと考えた。そこで探索を行った結果、活性酸素の発生に関わるシグナル経路が共通して起こっていることが明らかになった。
さらにSOD1、SOD2という、活性酸素を除去するための酵素に着目した。蛹になる際のカイコにおいては、この二つのタンパク質の発現が明瞭に低下する。蛹になってしまったあとは回復する。
ということはエクダイソンがSODを抑制し、活性酸素量を増加させることで、オートファジーとアポトーシスは誘導されるのではないか。SODと同じ機能を持つ化合物をカイコに注射してみたところ、カイコは蛹にならなくなった。つまりカイコが蛹になるのには活性酸素が必要だというわけである。
研究の詳細は、Scientific Reportsに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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