コンビニオーナーが複数店経営、人手不足にも効き目があった!

2019年9月1日 19:17

 コンビニではオーナーが複数店を経営することが、スタンダードになりつつあるようだ。ローソンやファミリーマートでは、約7割が複数店を経営するオーナーの店舗で、セブンイレブン(セブン)でも約半数は複数店経営のオーナーの店だという。

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 コンビニの本部でも、複数店を経営するオーナーを優遇する傾向が強まっている。外国人がレジを担当していても、特に驚きを感じなくなるほど人手不足が本格化して、アルバイトの雇用にあの手この手の工夫が必要な時代だ。オーナーが同じなら遣り繰りが効くというメリットがあり、ローソンでは複数店舗を運営しやすくする取り組みを始めた。

 コンビニのビジネスモデルは、大きな岐路に立っている。大阪府東大阪市のセブン店舗オーナーが、人手が集まらない現状を本部に相談しても”ケンホロ”の対応しかされなかったことから、追い詰められて”独断”で時短営業を始めた。

 “独断”と言っても、24時間営業をするかしないかという2択の一方が不可能であることを受け止めて、止むを得ず、時短営業を選択したように見える。同様の悩みを共有するオーナーが次々に名乗りを上げたため、コンビニにおける人手不足問題と、あおりを一身に被るオーナーの悲惨な状況が社会的な関心を呼んだ。結果として、24時間営業を続けるかどうかは、オーナーの判断に任せざるを得なくなりつつある。

 コンビニの経営状況は千差万別だ。切迫した収支状況に日頃悩まされているオーナーがいるかと思えば、利益の拡大を求めて2店舗目、3店舗目と複数店舗経営に乗り出すオーナーは従来から存在した。

 1店舗のみを経営しているオーナー夫婦のケースを考えると、アルバイト2名が不足したとしても夫婦がそれぞれレジ打ちに回ると理論上はこなせてしまうが、長続きはしない。複数店舗の場合は、影響が軽微な人員や時間帯を調整しながら融通し合うことが可能となり、全体としては営業時間の短縮まで検討せずに済む。

 複数店舗経営に乗り出したオーナーが見出した、魔法の杖のようなものだ。本部としてもオーナーから人材の派遣要請を、常時受けるようでは煩わしさが募る。かと言って、つれない返答がそのまま通るとは限らない時代背景がある。

 ミニストップを含むコンビニ大手4社の19年度の出店数は2090店、閉店が2050店なので純増は40店だ。コンビニの出店は既に飽和状態にあることが指摘されて久しいが、いよいよ現実味を帯びてきた。

 人手不足の深刻化に加えて、昨今のコンビニの営業時間に関連して拡散したコンビニのマイナスイメージが、将来のオーナー候補に大きな影響を与えていることは想像に難くない。既に、今までのような出店スピードを維持することが、困難な時代に足を踏み入れたという自覚が必要だろう。

 複数店舗を経営することになると、投資額は店舗数に等倍して増加するから、誰にでもできることではない。余裕のある店舗に恵まれた、限られたオーナーの特権と言えるだろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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