耐摩耗性と耐食性を両立した新たな鉄鋼材料を開発 東北大の研究
2019年8月29日 11:35
東北大学の研究グループは、従来の炭化物強化マルテンサイト鋼の弱点であった耐食性を克服し、耐摩耗性と耐食性を両立する新たな鉄鋼材料の開発に成功した。東北大学金属材料研究所の山中謙太准教授、張宸大学院生、千葉晶彦教授らの研究によるもの。
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研究の背景として、スーパーエンジニアリングプラスチック市場の急速な拡大に伴って、新しい鉄鋼材料の開発が求められていた。なぜスーパーエンプラの市場が拡大すると新しい鉄鋼材料が求められるかというと、射出形成のための成形機部材に必要だからである。
従来は耐食性に優れたステンレス鋼が用いられるのが一般的であったが、耐摩耗性が低いため、それに代わる材料が求められていたのだ。なお、耐摩耗性の高い鋼としてはマルテンサイトがあるのだが、これは耐食性が低いという難点があった。
今回の研究では、スーパーエンプラの中でも特に市場規模が大きいポリフェニレンサルファイド樹脂の射出形成のために、亜硫酸ガスの腐食への耐性が高い鉄鋼材料の開発を行った。
結果として、マルテンサイト鋼に微量の銅を加えた合金を作成すると、耐摩耗性と耐食性を両立することができた。これは、腐食が生じたときに銅が表面に濃く現れ、腐食反応が急速に鎮化するためであるという。
研究により得られた鋼で射出形成用スクリューを作成したところ、これは従来のスクリューに比べ、2倍以上の耐久性を有していた。
またこの鉄鋼材料は、化学プラント用部品、地下や海底で用いる掘削機械など、多くの応用が考えられるという。
研究の詳細は、npj Materials Degradation誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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