植物の葉は厚さを変えて陽光の強弱に対応する 東大の研究

2019年8月25日 14:22

 ある種の植物の葉は、陽光の強弱に応じて葉の厚さを変える。このこと自体は既知の事実であったが、それがどのようなメカニズムによって生じるものであるかを、東京大学大学院理学系研究科の星野里奈大学院生(当時)、塚谷裕一教授らのグループが解明したという。

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 基本的に植物は光合成をする。そのためには太陽の光を浴び続けなければならないわけであるが、光が弱い場合と光が強い場合とでは、光を吸収するのに適した葉の厚さが異なってくる。そこで、一部の植物は(しないものもある)、光の強度に合わせて葉の厚さを変化させている。

 今回の研究には、モデル植物として知られるシロイヌナズナが使われた。シロイヌナズナの葉は、発生初期段階では非常に小さく、断面を見ることが難しい。それについては、顕微鏡の技術を工夫することで問題を解決し、時系列的に詳細な観察が行えるようになった。

 研究の結果として、強い日差しに適応する厚さに変化するとき、まず細胞は葉の厚さ方向に伸び、しかるのちそれが二層に分裂することで厚みをもたらすということが分かった。また後半の過程では、光の量ではなく細胞が増大し、供給される糖の量によって変化が生じるということも明らかになった。

 実際の植物の群生においては、このようにして光の量に応じて厚さを調節する者達と、そうでない者達が多様性を形成している。今回の発見から、光環境に対する植物の個性への理解が深まったので、環境保護の方策策定に役立つとともに、作物の管理にも将来的には応用可能なのではないかという。

 研究の詳細は、The Plant Journalに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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