「背水の陣」施策を打ったトヨタとシャープ

2019年5月28日 17:26

 トヨタ、そしてシャープが「背水の陣」の施策に打って出た。思い通りにことは進むのだろうか。

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 シャープはいわゆる「スマート家電」で他社に先駆けた展開を執ってきた。270余の家電のスマート化(インターネットと繋げる)を図ってきた。だがそれは、低迷する収益に対する貢献度では「低」の域を脱することができずに今日に至った。

 5月20日、シャープは打開策として新たなサービスとして「COCORO(ココロ) HOME(ホーム)」を発表した。スマートホンとスマート家電を繋ぐ、AIを活用したアプリである。スマート家電の利用状況の把握や、外出先からのスイッチのON・OFが可能といった家電各社が展開する機能に止まらないのが特長。同業他社のスマート家電の半歩先を行く仕様になっている。

 例えば離れて暮らす老夫婦の日常(家電の使用状況から)を分析し、離れた場所の子供たちが親の「安否確認(見守り)」にも使える。例えば電子レンジの状況から「最近は肉を使った料理が多い」と分析すれば、近隣の提携スーパーの「肉の特売日」情報を伝える(シャープでは提携先スーパーを来年までに50社に増やす、としている)といった具合。

 シャープはこのアプリを、提携した他社の家電製品にも適用するとしたのである。「提携家電メーカー」や「提携スーパー」からの手数料収入をベースに「スマート家電のシャープ」を再構築しようという戦略だ。「利用者の個人情報をどう守るかなど、課題も多い」と指摘されるが、しばし見守りたい展開ではある。

 シャープの発表と相前後し話題となっているのが、トヨタの施策である。トヨタは1997年の「プリウス」の発売以来、「HV車」で世界に先行してきた。自動車検査登録情報協会の発表によると、国内のHV車の保有台数は昨年3月で軽自動車を除き乗用車に占める割合で19.0%(総台数751万2846台)。5台に1台近くがHV車になっている。

 だが世界のエコカー戦争では、EV車という強力なライバルが出現している(例えば北米ノルウェーでは3月の新車販売台数の5割超をEV車が占めた)。そこでトヨタが打った施策が、HV車に関して保有する主要特許2万3740件の無償(一部有償)開放。HVの「世界基準」を構築することで、対EV車に仕掛けた戦争である。

 果たしてどんな展開が起こりうるのか。アナリストの間からは「エコカーをEV車という方向だったフォルクスワーゲンや日産に、戦略転換を迫ることも予想できる」という声も聞かれる。

 シャープの「新アプリ」戦略と、トヨタの「HV車の特許開放」を同じ位相で捉えるべきではないだろう。だが「スマート家電老舗の巻き返し」「HV車牽引メーカーの立ち位置の盤石化」には、ある種の共通項を感じる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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