準惑星ハウメアのリングを調査する科学者たち

2019年5月10日 11:53

 2004年12月28日に発見された準惑星ハウメアは球形ではなく、細長い奇妙な楕円形の天体である。ハウメアのリングが直接観察されたことはまだないものの、その存在は2017年にハウメアが遠方の恒星の前を通過した時に、光のゆらぎの詳細な測定をした天文学者の国際的なグループによって推論されていた。

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 恒星は非常に遠くにあるため、地球から観察した場合、点状にしか見えない。ハウメアが恒星の前を横切った際に、ハウメアの本体以外の部分で恒星の光を遮る現象が確認されたため、天文学者たちはハウメアの周りに衛星以外の何かが分布しているとの仮説を立てた。そしてハウメアの周りをまわる粒子の軌跡をコンピュータシミュレーションによって推定し、リングと互換性のある低い離心率の軌跡を持つ安定した粒子の集合体を導き出した。

 ハウメアのリングの存在を直接観察できない理由は、ハウメアが地球からかなり遠方にあることと、そのリングが非常に細いためである。ハウメアの太陽からの距離は、地球から太陽までの距離の約43倍もある。またリングの幅は、70km程度と考えられている。ちなみに土星のリングも厚さは非常に薄く、10km程度しかないため、観察する角度によっては、地球からリングが見えなくなるタイミングが存在する。

 準惑星とは惑星よりも小さい太陽の周りを公転する天体で、自重で球形になれるだけの質量を持つものを言う。ハウメアの質量は準惑星である冥王星の質量の32%程度で球形になるには十分の値だが、球形を保っていない理由は自転周期が4時間と極めて短いためである。

 ハウメアは最大長が約1,456kmもある比較的大きな存在にもかかわらず、発見が2004年まで遅れた。その理由は、公転面が他の惑星と大きくずれていることと、公転周期が約284年と非常に長いために長い間、多くの天文学者の観測網から逃れ続けることができたからである。

 天文学者たちは、太陽系が形成された時、ハウメアはもともと冥王星のような天体だったと考えている。何十億年も前に、大きな天体がハウメアと衝突し、その表面の氷の大部分を追い出し、他の準惑星よりもはるかに速く自転するようになったと推論している。ハウメアは2つの衛星を従えているが、これらもその時の衝突によって誕生したものと考えられている。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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