マツダ・アクセラなどSPCCI(火花点火制御圧縮着火)SKYACTIV-X、順次世界生産へ

2019年1月6日 09:55

■SPCCI(火花点火制御圧縮着火)SKYACTIV-Xが世界生産展開

 いよいよ、マツダのSPCCI(火花点火制御圧縮着火)SKYACTIV-Xエンジンが『マツダ3(日本名アクセラ)』に乗せられて世界展開される。理想的エンジンと言われるマツダ自慢のガソリンエンジンを順次、各車種に乗せていくこととなる。「Well to Wheel」(油田からタイヤまで)を掲げるマツダが、EV以外の選択肢を模索する技術革新だ。エンジンンの熱効率を向上させ、発電よりもCO2を出さない方法を求め、EV以外のパワーユニットとしてガソリンエンジンの可能性を模索している。

【こちらも】マツダ・SKYACTIV-Xエンジン、新型Mazda3(アクセラ)に どこが革新的なのか?

 アメリカで販売を開始する新型「マツダ3」を、日本国内の防府第1工場(山口県)のみで生産していたのを、「2019年内にメキシコや中国など海外の工場でも生産開始する」とマツダ丸本明社長が年頭のあいさつで発表した。長年、「SPCCI」(火花点火制御圧縮着火)エンジンSKYACTIV-Xを開発してきただけでなく、「スウィング生産」をグローバルに展開する準備をマツダは行ってきた。

■問題は「SKYACTIV-X」ではなく、新生産方式実現だ

 現在のマツダの問題点は、大きく2つある。一つは、「利益率が伸びない(2017年度3%)」ことだ。プラットフォームの共通化は既に行ってきている。さらに「出来るだけ、売れ行きの良い販売現地近くで生産する(スウィング生産)」には、販売数量の変化に応じて生産の移行が速やかにできなければならない。しかし、それにはサプライヤーが生産拠点それぞれで同じ程度の「品質レベル、生産技術レベル」に達していなければならないのだ。

 グローバルで混流生産、スウィング生産が可能であると、平準化が進み変動に強くなれる。そうすれば、利益率を上げることが出来るはずだ。それには企画・開発からサプライヤーの参加を求め、設計を進めていかねばならない。マツダはトヨタよりも先行していると思われるのだが、SKYACTIV-Xエンジンのような新技術を、多種の車種に搭載していく中で、品質の安定を確保しながら、どのように生産展開したらよいのかが問われることとなる。

 つまり、どこまで日本国内の信頼できるサプライヤーまたは自社で生産し、世界各地の生産拠点に提供するのか、あるいは現地のサプライヤーで生産し、ラインで組み立てるのか?長い年月をかけて実現できた新技術を世界各所で量産し、安定した完成品性能を追求する戦いが始まっている。

■SKYACTIV-Xは、商品力の決めてにはならない

 もう一つの問題は技術的に優れたSKYACTIV-Xであっても、ユーザーにとってはスムーズなエンジンで燃費が良いだけだ。それで商品力が抜きんでるとは思えない。そのため、新型マツダ3は思い切ったデザインコンセプトをとって、内外装を魅力的なものにしようとしている。もちろん、運転支援システム・コネクテッドなど、商品力としては影響の大きな分野の充実を図っている。かつて「技術のニッサン」と言われていても「商売のトヨタ」に敗北したように、ユーザーにとっての魅力ある技術はSKYACTIV-Xエンジンではあるまい。スウィング生産や混流生産がコストダウンに有効でも、商品力の決め手にはならない。

 世界はSUVスタイルの潮流であり、EV指向だ。この流れにマツダがエンジン技術、EV技術を含めて対応できなければ、数年で勝負が決してしまう。さて、中国市場の低迷がはっきりしてきた状況で、アメリカが排気ガス規制を緩めるかもしれない情勢でもあり、『何が商品力として世界に通用するのか?』は不透明だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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