琉球大など、シロアリの体内で木材の消化を助けるスピロヘータを発見
2018年11月30日 12:59
スピロヘータは梅毒の病原などとして知られるバクテリアである。そういう事情から病原菌としてのイメージが強いのだが、琉球大などの研究グループが、タカサゴシロアリの体内で木材の分解を助ける働きをしているスピロヘータを今回発見した。
【こちらも】理研、シロアリが腸内の微生物によってエネルギーを獲得する仕組みを明らかに
梅毒の原因がスピロヘータ(梅毒トレポネーマ(Treponema pallidam))によることを発見したのは野口英世である。故に日本で一般にスピロヘータといえば梅毒スピロヘータを指すのだが、スピロヘータは範囲の広いバクテリア群の呼称であり、梅毒以外にも病原性スピロヘータは存在するし、ほとんどのスピロヘータは実際には自然環境下に広く存在する常在菌だ。
さて、タカサゴシロアリというシロアリは沖縄県八重山諸島に分布する。日本では唯一の、テングシロアリ亜科に属するシロアリで、大顎が退化している代わりに円錐状の吻を持ち、これで外敵に粘液を吹きかけて攻撃する。地面の腐った植物などを餌とし、森林の分解者としての役割を持つ。
このタカサゴシロアリが木材に含まれるヘミセルロースの主要成分であるキシランを分解するとき、木片とともに飲み込まれたトレポネーマ属のスピロヘータが、キシラナーゼと呼ばれる消化酵素を生産している。まとめればこれが今回の研究報告の内容だ。
ちなみにキシランは木材のみに存在するセルロースではなく、穀物や草にも含まれている。動物で自らこれを分解することのできる者は知られていないが、実はヒトもキシランを分解する細菌群を腸内に共生させている。ただ、スピロヘータとはまったく関係のない、系統の異なる細菌群である。
ただ、脊椎動物と昆虫で共通の機能を持つ共生細菌を独立に進化させられる傍証として今回の発見は重要であるという。
なお、研究の詳細は、米国科学アカデミー紀要電子版に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
最新記事
- NVIDIAら、実機ロボットの研究開発を完全自動化するフレームワーク「ENPIRE」発表―AIが検証からコード修正まで実行
- Z.aiが「GLM-5.2」のオープンウェイトを公開、性能はClaude Opusに迫るもAPI経由のデータ送信に中国法上のリスク指摘
- 【内部リーク】Metaが数千人の技術者をAI訓練用のデータ作成に投入、社内からは「強制収容所」と自虐する不満が噴出
- 『R-Type Tactics I・II Cosmos』が6プラットフォームで海外発売へ―幻のPSP続編が16年越しに初の英語化
- ChatGPTのシェアが初の50%割れ、GeminiとClaudeが猛追――Sensor Tower調査