日本のキャッシュレス化推進、官民の取り組み本格化で道筋が見えて来た!(下)

2018年7月6日 21:37

 経済産業省は3日、キャッシュレス社会への歩みを促進させるため、産学官による「キャッシュレス推進協議会」を発足させたことを発表した。今後早期にQRコードの規格統一や電子レシートの標準化、飲料の自動販売機など、幅広い普及のための議論を開始する。経産省によると、キャッシュレス決済比率は15年で、韓国が89%や中国が60%などの高水準に達しているのに対して日本は18%と大幅に遅れている状況にある。政府はキャッシュレス決済比率を、25年までに倍増の40%に高める目標を掲げている。

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 キャッシュレス推進協議会には3大メガバンクや有力地銀、携帯大手3社、イオンなどの小売り、ヤフーや楽天といったネット企業など約150社が参加した模様だ。QRコードの規格統一問題などを、18年度末までにまとめる予定だ。

 政府は19年10月に予定されている消費税の引き上げ時期に合わせて、クレジットカードや電子マネーの利用に必要な端末の効果的な普及方法や、キャッシュレス決済にポイントを付与する場合の、店舗に対する補助の手法についても検討を進める。政府は6月15日、18年の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)の中で、中小企業を対象に「IT・決済端末の導入やポイント制・キャッシュレス決済普及を促進する」と閣議決定した。経産省はこれをもとに、制度や予算規模などの詳細を詰めて、8月末にまとめる19年度予算案の概算要求に反映させる。

 三菱UFJフィナンシャル・グループは、ブロックチェーン(分散型台帳)技術により、処理量を従来のカード決済システムの10倍超に高めた高速の決済処理システムを開発した。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及で、世界のIoT対応機器は15年から5年間で5倍に増え、20年には250億台に上ると予想されている。小口のキャッシュレス決済の需要が一気に増大すると、決済事業者は今までと桁違いの情報処理に直面するが、大手のクレジットカードの決済でも毎秒約10万件の決済処理が限界だった。三菱UFJが19年度を目途に実用化する新システムでは、毎秒100万件超の情報処理が可能で、取引コストも現行の10分の1程度に圧縮することが期待されている。新システムが取引コストの低減を実現すると、クレジットカードの加盟店手数料などの引き下げ余地も広がり、加盟店手数料の負担がネックになっていた小規模小売店には、カードや電子マネーなどの導入障壁を引き下げることにもなる。

 キャッシュレス決済件数の増加という入口と、決済処理の高速化という出口の双方に目途が付いた。端末導入のコスト軽減とポイントの付与というインセンティブが効果的に働けば、今までの鈍い動きが見違えるほどスピードアップし、キャッシュレス決済比率の向上に弾みをつけることが期待される。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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