【アナリストの眼】大幸薬品、業績上ブレの可能性にノロウイルス関連で高値挑戦へ

2012年11月29日 13:39

<業績&株価分析>

  大幸薬品 <4574> の株価が動意付いている。通期業績上振れの可能性に加えて、インフルエンザやノロウイルスの流行に対する思惑が支援材料であり、年初来高値を試す可能性があるだろう。

  止瀉薬「正露丸」や「セイロガン糖衣A」を主力とする一般医薬品メーカーで、水なしで飲める下痢止め薬「ピシャット」や整腸薬「ラッパ整腸薬BF」にも進出している。感染管理事業では、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症に対応した「クレベリン」「ウィルシールド」なども展開している。

  11月12日発表の今期(13年3月期)第2四半期累計(4~9月期)連結業績は、売上高が前年同期比9.3%増、営業利益が同0.2%増、経常利益が同0.1%増、純利益が同13.3%増だった。医薬品事業は国内がやや低調だったが海外が好調だった。感染管理事業は一般用・業務用ともに好調だった。医薬品の海外比率上昇や感染管理の業務用比率上昇などで営業利益は伸び悩んだが、純利益については特別損失一巡も寄与した。

  通期については前回予想を据え置き売上高が前期比2.7%減、営業利益が同6.8%増、経常利益が同5.1%減、純利益が同3.9%増としている。広告宣伝費・販促費の追加投資の可能性など、不確定要素が多いとして通期見通しを据え置いているが、通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.8%、営業利益が99.6%、経常利益が103.2%、純利益が91.8%と高水準である。主力の「セイロガン糖衣A」が好調であり、感染管理事業は期後半が需要期となることなども考慮すれば、通期上振れの可能性が高いだろう。

  株価の動きを見ると、11月中旬から動意付いて28日には835円まで上昇する場面があった。通期業績の上振れ期待に加えて、インフルエンザやノロウイルスの流行に対する思惑のようだ。28日の終値806円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS38円58銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.2%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS673円11銭で算出)は1.2倍近辺となる。

  日足チャートで見ると、700円~760円近辺のボックス展開から上放れた。また週足チャートで見ると、8月の戻り高値を突破して強基調への転換を確認する形となった。2月10日に付けた年初来高値930円が視野に入るだろう。(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【編集長の視点】イオンの10月度営業収益連続プラス、小売株の注目度アップ(2012/11/28)
【注目のリリース】神島化学が業績予想を増額し8月高値が視野に(2012/11/29)
【編集長の視点】ラクーンは2Q決算発表接近で注目、業績への期待強い(2012/11/28)
【注目のリリース】ウェッズが自己株の消却を発表しPBR割安も見直す(2012/11/29)

関連記事

最新記事