キイトルーダ後続品候補SB27、第3相試験の詳細公表 Samsung Bioepisが米承認申請

2026年11月8日 14:18

韓国のSamsung Bioepisは2026年11月6日、がん免疫療法薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)のバイオ後続品候補SB27について、第3相試験の詳細を公表した。同社によると、肺がん患者555人を対象とした試験で、主要評価項目の奏効率が先行品との同等性基準を満たした。10月30日には、米食品医薬品局(FDA)への承認申請を発表している。

■555人の肺がん試験で奏効率を比較

発表の場となったのは、11月4〜8日に米アリゾナ州フェニックスのコンベンションセンターで開催される米国がん免疫療法学会(SITC)第41回年次総会だ。Samsung Bioepisは11月6日のポスター発表で、有効性、安全性、薬物動態、免疫原性の比較結果を示した。

第3相試験は14カ国で実施した無作為化、二重盲検、並行群間、多施設試験で、転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん患者555人を登録した。患者はSB27群283人と先行品群272人に1対1で割り付けられ、各薬剤200mgを3週ごとに静脈内投与された。

両群ともペメトレキセドを3週ごとに併用し、最初の4サイクルはカルボプラチンも併用した。主要評価項目は24週時点の客観的奏効率(ORR)で、腫瘍の消失または一定の基準を満たす縮小が認められた患者の割合を比較した。

同社発表では、ORRはSB27群34.6%、先行品群37.9%だった。両群のORR比の90%信頼区間は0.737〜1.071で、事前に設定した同等性の許容範囲0.712〜1.405に収まった。同社は、この結果が主要評価項目での同等性を示したとしている。

無増悪生存期間、奏効期間、全生存期間などの副次評価項目も、両群で類似した結果だったと同社は報告した。安全性、薬物動態、薬剤に対する免疫反応を評価する免疫原性についても、先行品と同程度だったとしている。

■第1相試験と合わせて承認申請を支える

Samsung Bioepisは6月29日、SB27の第1相・第3相試験がそれぞれ主要評価項目を達成したと発表していた。その後、10月23〜27日にスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)では、10月26日に第1相試験の結果をポスター発表した。

第1相試験は4カ国の163人を対象に実施された。対象は完全切除と術後のプラチナ製剤による化学療法を終えたステージII〜IIIAの非小細胞肺がん患者で、SB27、欧州で調達した先行品、米国で調達した先行品の3群に割り付けた。

薬物動態の主な比較指標には、一定期間の薬物曝露量を示す血中濃度-時間曲線下面積(AUC)を用いた。同社によると、SB27は欧州・米国双方の先行品に対し、事前に定めた薬物動態の同等性基準を満たした。薬物動態を比較した第1相と、奏効率を比較した第3相が、SB27の臨床的な評価を構成している。

米国での申請対象は、悪性黒色腫、非小細胞肺がん、頭頸部がんなど18の適応症だ。韓国では8月、16の適応症を対象に食品医薬品安全処へ承認申請しており、同社は韓国初のキイトルーダ後続品申請として発表している。

FDAのバイオ後続品審査制度では、新規申請の90%について、申請受領から60日後を起点に10カ月以内に判断することを目標としている。申請受領からおおむね12カ月という目安をSB27に当てはめれば、2027年第4四半期が判断時期の一つの目安になる。実際の承認時期は、審査の進行や追加資料への対応などによって変わる。

■免疫のブレーキに作用する抗体医薬品

ペムブロリズマブは、免疫チェックポイント阻害薬に分類されるヒト化IgG4モノクローナル抗体だ。日本の添付文書によると、T細胞表面のPD-1に結合し、PD-L1およびPD-L2との結合を阻害することで、腫瘍に対するT細胞の働きを活性化し、腫瘍増殖を抑制すると考えられている。

PD-1は、免疫応答にブレーキをかける仕組みの一部を担う。がん細胞やその周囲の細胞にあるPD-L1などがこの経路を介してT細胞の働きを抑えるため、その結合を遮断することが治療につながる。免疫の抑制機構を標的とするがん治療の発見により、ジェームズ・P・アリソン氏と本庶佑氏は2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。

キイトルーダは2014年に米国で初承認された。Merckの2026年第1四半期資料によると、米国では19の腫瘍の種類と、発生臓器を問わず特定の性質を持つ腫瘍を対象とする2つの適応を含め、40を超える適応を取得している。2017年には、特定の遺伝学的特徴を持つ固形がんを対象に、臓器横断的な承認を初めて受けた。

ペムブロリズマブの分子量は約149キロダルトンで、細胞を使って生産される複雑なタンパク質である。製造に用いる細胞株、培養条件、精製工程などによって、糖鎖構造、電荷の不均一性、凝集体などの品質特性に差が生じ得る。バイオ後続品の開発では、構造や生物活性などの比較と臨床データを組み合わせ、有効性や安全性への影響を評価する。

日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、バイオ後続品を、先行品と同等・同質の品質、安全性、有効性を持つ医薬品と位置付けている。また、作用機序や安全性などを科学的に説明できる場合には、臨床試験を実施した適応から別の適応へ評価を外挿できる仕組みがある。品質特性などの比較結果に応じ、必要な臨床試験を判断する考え方が採られている。

■がん領域の開発を広げるSamsung Bioepis

Samsung Bioepisは仁川に拠点を置くSamsung Epis Holdings傘下のバイオ医薬品企業だ。親会社の公表資料によると、2026年6月までに11のバイオ後続品を発売し、40カ国超に展開している。免疫、がん、眼科、血液疾患などにまたがる事業の中で、SB27の開発を進めている。

同社はSB27の第1相・第3相試験を並行して実施した。6月の主要評価項目達成の発表後、10月のESMOでの第1相結果発表、米国への承認申請、11月のSITCでの第3相結果発表と、臨床・薬事上の手続きを進めている。

臨床科学部門を率いる上席副社長のDonghoon Shin氏は、SITCでの発表に際し、がん領域を引き続き重要な重点分野と位置付けた。世界のがん患者に治療選択肢を提供するため、SB27の開発を支える臨床エビデンスの蓄積を目指すとしている。

韓国の経済メディア、Herald Businessは、SB27が商業化されれば、同社にとって過去最大の売上成長の源泉となる可能性があるとの市場の見方を伝えている。Merckの決算によると、キイトルーダと皮下注製剤Keytruda Qlexの2025年世界売上高は合計316億8000万ドル(約5兆100億円)で、このうちキイトルーダ単独は316億4100万ドル(約5兆円)だった。

■競合各社も申請・開発を進める

ドイツのFormyconとインドのZydus Lifesciencesは10月13日、ペムブロリズマブ後続品候補FYB206の承認申請をFDAが審査対象として受理したと発表した。両社は、把握する限り、同薬の後続品候補でFDAによる申請受理が公表された最初の事例としている。がん専門メディアのTargeted Oncologyは、審査制度上の目安から、2027年第3四半期に判断が出る可能性を報じた。

Formyconによると、2025年2月にFDAと合意した開発計画に基づき、FYB206は比較有効性を評価する第3相試験を実施せず、分析試験と薬物動態データなどを用いて開発された。SB27は第1相に加えて第3相の直接比較試験も実施しており、両候補は異なる臨床開発計画を採っている。

CelltrionのCT-P51も第3相開発段階にある。Reutersによると、Ciplaは2026年9月3日、中国のQilu PharmaceuticalとQL2107の米国向け独占提携を発表した。Qiluが開発・供給し、Cipla USAが米国で販売を担う計画だ。Amgenは11月の決算発表でABP 234の試験結果をFDAへ提出したと説明しており、Sandozもペムブロリズマブ後続品を開発している。

Merckによると、キイトルーダの米国の主要な物質特許は2028年12月に満了する見込みだ。同社は2029年に満了する関連特許も開示しており、後続品の発売時期には、承認取得に加えて関連特許の扱いも関わる。日本については、同社の2025年年次報告書は主要な特許の満了年を2032〜2033年と記載している。

先行品側では、FDAが2025年9月19日に、ペムブロリズマブとベラヒアルロニダーゼ アルファを組み合わせた皮下注製剤Keytruda Qlexを承認した。米国の添付文書では、3週ごとの用量は約1分、6週ごとの用量は約2分で注射する。約30分の点滴静注とは投与方法が異なり、Merckは同製剤について米国で2043年までの特許を年次報告書に記載している。

■価格競争と患者への届き方

キイトルーダの米国の公表リスト価格は、Merckの患者向け情報によると、2026年9月時点で200mgを3週ごとに投与する場合は1回1万2517.44ドル(約198万円)、400mgを6週ごとに投与する場合は1回2万5034.88ドル(約396万円)だ。患者の自己負担額は保険や支援制度などによって異なり、投与に伴う施設費なども治療費に関わる。

バイオ後続品の普及状況は、薬剤や給付の仕組みによって異なる。学術誌American Journal of Health-System Pharmacyの米国薬剤費分析によると、2025年の診療所における支出額ベースの後続品シェアは、ヒュミラの成分アダリムマブで11.1%、レミケードの成分インフリキシマブで37.3%だった。一方、2026年にJAMAで公表された米国病院の研究では、2024年の後続品使用割合はベバシズマブ93%、トラスツズマブ87%、リツキシマブ84%に達していた。

特許も市場参入を左右する。エンブレルの後続品Erelziについて、Sandozは米国での特許訴訟の結果を受け、供給開始は2029年になるとの見通しを示している。承認取得から発売までの道筋は、製品ごとの事情に応じて変わる。

保険で使える薬剤の選定や価格交渉も普及に関わる。業界団体Biosimilars Forumは、薬剤給付管理会社(PBM)のリベート慣行などが低価格の後続品へのアクセスを妨げ、節約機会を損なうと主張している。雇用主団体のERISA Industry Committeeも、従来のリベートモデルが後続品の採用を難しくする場合があると指摘する。

点滴薬では、医療機関による購入価格と保険者からの支払額も重要になる。前述のJAMAの研究では、2020〜2024年にベバシズマブ、トラスツズマブ、リツキシマブの後続品の病院購入価格はそれぞれ60%、72%、63%低下した。同期間の保険者から病院への支払価格の低下は32%、36%、34%で、価格低下の幅は取引段階によって異なった。

ペムブロリズマブと化学療法の併用では、転移性非扁平上皮非小細胞肺がんを対象とした先行品の臨床試験で、生存期間の改善が示されている。SB27を含む後続品候補の開発は、こうした治療の選択肢と価格競争を広げる可能性がある。承認、発売、保険での採用が進むにつれ、医療制度の費用や患者負担への影響が具体化していく。

元記事: Samsung Bioepis Puts Keytruda Biosimilar Into FDA Review With Full Phase 3 Lung Cancer Trial Data

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