米中間選挙で上下両院を制した民主党、イラン戦争の制限を再始動か

2026年11月5日 11:29

 米中間選挙で上下両院の多数派を獲得した民主党が、トランプ大統領によるイランでの戦争を制限する取り組みを再開する可能性がある。前回の試みは、上院でわずか1票差で否決されていた。

■9月の上院採決は1票差で否決

 上院は9月24日、議会が軍事作戦を明示的に承認しない限り、イランとの戦闘から米軍を撤退させるようトランプ大統領に指示する決議案を否決した。

 上院の公式な投票記録によると、採決は賛成49、反対50だった。共和党からはスーザン・コリンズ上院議員(メーン州)、ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)、リサ・マーカウスキー上院議員(アラスカ州)、トム・ティリス上院議員(ノースカロライナ州)の4人が、大半の民主党議員とともに賛成に回った。民主党のジョン・フェターマン上院議員(ペンシルベニア州)は反対票を投じ、アンジェラ・アルソブルックス上院議員(メリーランド州)は投票しなかった。

 1月に上院を去るティリス氏は、それまで大統領の軍事権限を制限する試みに反対していたが、9月に立場を転じた。ワシントン・ポスト紙によると、ティリス氏は、政権が戦争の戦略を議員や国民に十分説明していないと述べた。

 この決議案は、共和党が多数派を占める下院で7月に賛成214、反対208で可決されていた。下院の投票記録によると、共和党議員4人が民主党とともに賛成した。

 9月には、これとは別のイラン戦争権限決議案も下院を賛成220、反対204で通過した。この採決では共和党議員7人が民主党に同調した。

■委員会を掌握、予算や監視で圧力も

 新議会は1月3日に発足する。民主党は軍事支出を監督し、紛争について政権当局者を追及する各委員会の主導権を握ることになる。

 民主党議員は、追加予算の制限や、イランでの米軍の作戦に関するさらなる情報開示を求める可能性もある。

 米議会調査局(CRS)は、軍事行動の承認、武器売却、制裁、交渉の監視を、議会が米政府の紛争対応に影響を与え得る分野として挙げている。

■戦費とガソリン高が争点に

 戦争の財政的なコストも争点となっている。紛争は2月28日の米国とイスラエルによる攻撃で始まり、原油供給やホルムズ海峡を通る海上輸送に混乱をもたらし、燃料価格の上昇につながった。

 民主党はトランプ氏率いる共和党に対する選挙戦で、戦闘のコストを繰り返し取り上げた。軍事作戦に数十億ドルが費やされる一方で、米国の家庭はガソリン代の負担増を強いられていると訴えた。

 アンディ・キム上院議員(民主党、ニュージャージー州)は9月の上院での討論で、戦費の支出継続を批判した。米軍準機関紙スターズ・アンド・ストライプスによると、キム氏は「トランプ氏がコストに見合うと言ったこの戦争は、米国民にますます多くの負担を強い続けている」と述べた。

■戦争終結への即効性はなし

 もっとも、民主党の勝利によって、議会がただちに戦争を終わらせる手段を得るわけではない。

 9月の決議案は共同決議(concurrent resolution)で、法律とはならず、大統領の署名にも回されない。政権に米軍撤退を強制できるかどうかについては法的に争いがあり、トランプ政権はこれまでも軍事作戦を制限しようとする議会の動きに異議を唱えてきた。

 戦費に拘束力のある制限を課す法案についても、大統領が拒否権を行使する可能性がある。拒否権を覆すには、上下両院でそれぞれ3分の2の賛成が必要となる。

■トランプ氏「一因はイラン」

 トランプ氏は選挙後、イラン紛争が共和党の敗北に影響したことを認めつつも、軍事作戦に踏み切った判断を擁護した。

 ロイター通信によると、トランプ氏はFOXニュースのインタビューで「一因はイランだったと思う」と述べた一方、軍事行動は正当だったとの立場を崩さなかった。ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューでも「イランはその一部だった」としたうえで、「私は正しいことをした」と語った。

 トランプ氏は、交渉が決裂した場合にはイランへの追加攻撃も辞さない構えを示している。

 民主党は選挙後、イラン戦争権限をめぐる新たな採決をまだ発表していない。ただ、議会の多数派を握ることで、この問題を議会に提起し、政権の紛争対応を追及する機会は増えることになる。

関連記事

最新記事