米中間選挙の費用、約1.9兆円で過去最高の見通し―支出上位5候補はすべて民主党で全員当選

2026年11月5日 10:35

 2026年の米中間選挙は、選挙費用が120億ドル(約1兆9000億円)近くに達し、過去最高を更新する見通しとなった。ただ、最も高額な選挙戦の一部では、巨額の資金に支えられた候補者が必ずしも勝利したわけではなかった。

 米政治資金調査団体オープンシークレッツ(OpenSecrets)が米連邦選挙委員会(FEC)のデータを分析したところによると、連邦選挙の支出総額は、すべての政治資金報告書が提出された段階で119億ドル(約1兆8800億円)に達すると予測される。

 これは2022年中間選挙の89億ドル(約1兆4100億円)、インフレ調整後で約102億ドル(約1兆6100億円)を上回る。増加分の多くは外部の政治団体によるもので、その支出は39億ドル(約6160億円)と、4年前から85%増える見込みだ。

■上院選の最高額はテキサス州

 上院選で最も多くの資金が集まったのはテキサス州で、選挙期間中の支出は推計6億8000万ドル(約1070億円)に上った。民主党のジェームズ・タラリコ州下院議員が共和党のケン・パクストン州司法長官を破った。この選挙戦では、共和党寄りの支出が全体の約60%を占めた。

 FECに報告された支出を集計する「2026年中間選挙マネートラッカー」によると、6億8000万ドルのうち約1億9200万ドル(約303億円)が候補者陣営によるもので、独立系の政治団体がさらに4億8800万ドル(約771億円)を支出した。

 タラリコ氏は個人の連邦議会候補者として全米で最も多くの資金を支出した。米非営利団体USAファクツ(USAFacts)が10月28日にダウンロードしたFECデータを分析したところによると、同氏の陣営は2025~2026年の選挙サイクルで約1億3640万ドル(約216億円)を支出した。

 6億8000万ドルはほかの候補者や外部団体を含むテキサス州上院選全体の支出であるのに対し、タラリコ氏の数字は同氏の陣営自体の支出を指す。

■オハイオ、ミシガンが続く

 2番目に高額だった上院選はオハイオ州で、約5億0500万ドル(約798億円)が投じられた。このうち外部団体が約4億2000万ドル(約664億円)を占め、共和党寄りの支出が民主党寄りを上回った。

 民主党のシェロッド・ブラウン元上院議員が共和党現職のジョン・ハステッド上院議員を破り、2024年に議席を失ってから2年で上院に返り咲いた。ブラウン氏は個人の議会候補者として全米3位の支出額で、陣営の支出は約6400万ドル(約101億円)だった。

 ミシガン州が上院選支出4億3400万ドル(約686億円)で続き、うち3億3500万ドル(約529億円)が外部団体によるものだった。民主党のアブドゥル・エルサイード元デトロイト市保健局長が共和党のマイク・ロジャース元下院議員を破った。この選挙戦では民主党寄りの支出がわずかに上回った。

 エルサイード氏は個人候補者で4位につけ、USAファクツが調べた最新のFEC報告時点で約5110万ドル(約80億7000万円)を支出した。

■支出上位5候補はすべて民主党で全員当選

 支出データからは別の傾向も浮かび上がる。個人の議会候補者で支出額上位5人はいずれも民主党で、5人全員が当選した。

 2位はジョージア州のジョン・オソフ上院議員で、陣営の口座から約1億0580万ドル(約167億円)を支出した。共和党のマイク・コリンズ下院議員を破って議席を守った。この選挙戦全体では約1億8900万ドル(約299億円)が投じられた。

 上位5人目はノースカロライナ州のロイ・クーパー前州知事で、約4050万ドル(約64億円)を支出した。民主党の同氏は共和党のマイケル・ワットリー氏を破り、共和党が2015年から保持していた上院議席を奪還した。

 タラリコ、オソフ、ブラウン、エルサイード、クーパーの5氏の支出は、10月28日のデータ時点で合計約3億9770万ドル(約628億円)に上る。5氏の勝利は、民主党が上下両院の過半数を獲得する中でのものだった。

 これらの陣営支出は候補者自身が支出した資金で、スーパーPAC(特別政治活動委員会)などの外部団体による独立支出は含まない。

 USAファクツの分析では、支出額上位10人の個人議会候補者はすべて民主党だった。共和党で最も多く支出したのはスーザン・コリンズ上院議員で、約2240万ドル(約35億4000万円)だった。

 コリンズ氏はメーン州上院選で民主党のトロイ・ジャクソン元州上院議長に敗れ、議席を失った。この選挙戦には陣営と外部団体を合わせて約1億9900万ドル(約314億円)が投じられ、共和党寄りの団体がその約54%を占めた。

■アイオワ、アラスカも高額に

 アイオワ州も高額な選挙戦となり、約2億5500万ドル(約403億円)が投じられた。うち2億1100万ドル(約333億円)は外部団体によるものだった。民主党のジョシュ・トゥレク州下院議員が共和党のアシュリー・ヒンソン下院議員を破り、民主党は2024年大統領選でトランプ氏が勝利した州で新たに上院議席を得た。

 アラスカ州も最も高額な選挙戦の一つで、推計1億5200万ドル(約240億円)が集まった。共和党のダン・サリバン上院議員と民主党のメアリー・ペルトラ元下院議員の争いは、4日早朝の開票段階で決着がついていなかった。

 これらの数字には本選挙だけでなく予備選挙の支出も含まれ、追加の報告書が提出されれば一部の合計額は変わる可能性がある。

■下院選で最高額はニューヨーク12区

 下院選の支出は上院選に比べてかなり小規模だったが、数千万ドル規模の資金が集まった選挙区もあった。

 ニューヨーク州第12区が約6810万ドル(約108億円)で下院選の最高額となった。ミシガン州第7区が5740万ドル(約90億7000万円)で続き、ニューヨーク州第17区は約5570万ドル(約88億円)を集めた。

 アリゾナ州第1区とコロラド州第8区もそれぞれ5000万ドル(約79億円)を超える支出を記録した。

■外部団体では共和党系が優勢

 個人候補者の支出では民主党が圧倒したものの、外部の政治団体では共和党寄りの組織が優位に立った。

 オープンシークレッツによると、10月30日時点で保守系団体の支出は約20億3000万ドル(約3210億円)、リベラル系団体は16億7000万ドル(約2640億円)で、共和党側が3億6000万ドル(約569億円)リードした。

 最大の外部支出団体は共和党上院指導部系の「上院リーダーシップ基金(SLF)」で、約4億8900万ドル(約773億円)だった。トランプ大統領に連なるスーパーPAC「MAGA Inc.」が約3億5300万ドル(約558億円)で続いた。

 候補者支出では状況が異なる。オープンシークレッツは、選挙サイクル終了までに民主党の議会候補者が22億ドル(約3480億円)超を支出するのに対し、共和党は約14億ドル(約2210億円)にとどまると予測した。

■ダークマネーも過去最高

 今回の選挙では、寄付者をすべて公開していない団体による政治資金も過去最高を記録した。オープンシークレッツは2026年の選挙サイクルで、外部支出団体への「ダークマネー」の寄付を少なくとも14億7000万ドル(約2320億円)確認した。大統領選を含む2024年連邦選挙全体で記録された13億5000万ドル(約2130億円)を上回る。

 最終的な数字は、候補者や政治委員会が選挙後の報告書を提出するにつれて明らかになる。オープンシークレッツは、一部の大口寄付は投票日後まで公表されないため、ダークマネーの推計は下限値だとしている。

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