【緊急特集】GMO熊谷会長兼社長が語った「ARTEX」とは――AI悪用による攻撃の自動化に警鐘
2026年11月3日 09:48
(日本インタビュ新聞社・編集部)
■捜査への影響から詳細な手口は説明を留保、韓国の金融機関への攻撃事例を紹介
GMOインターネットグループ<9449>(東証プライム)は11月2日、東京都内で「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスに関する会見を開いた。熊谷正寿会長兼社長は顧客情報の流出と資産被害を謝罪し、専門家の事前の指摘をサービス運営に生かせなかったと認めた。事件は捜査段階にあり、同社側は捜査への影響や同様の攻撃を招く恐れから、詳細な手口の説明を控えた。
熊谷氏がAIの悪用を説明する中で取り上げたのが「ARTEX(アルテックス)」だ。システムの安全性を調べる侵入テスト用のソフトウエアで、大規模言語モデルと連携し、弱点の探索や侵入の検証を自動化する。同氏は、中国の技術者が診断目的で開発したと紹介。複数のAIを組み合わせ、一つのAIの安全上の制限に阻まれた場合も別のAIへ切り替え、探索を続ける仕組みだと説明した。
■韓国で相次ぐ情報流出、ARTEX悪用を調査で確認
熊谷氏は、韓国の銀行への攻撃にARTEXが使われ、顧客の個人情報が流出した事例を紹介した。クラウドストライクも、韓国の金融機関を狙う攻撃基盤でARTEXの設定ファイルなどを確認している。韓国金融委員会の10月14日発表では、銀行など16の金融会社で侵害が確認され、流出した顧客情報は約10万件と推計された。
ただし、この数値は韓国金融業界の一連の被害規模であり、全件でARTEXが使われたと確定したものではない。また、熊谷氏は一般的なAI悪用の動向と今回のGMOの事案を区別して説明しており、今回の攻撃にARTEXが使われたとも断定できない。
■被害抑制と早期復旧へ、高市政権への謝意も
熊谷会長兼社長は、サイバー攻撃を受けても被害の拡大を抑え、早期に復旧する力を意味する「レジリエンス」への対応が遅れていたと反省を示した。AIの進歩に対応するとともに、専門家の指摘を具体的な改善につなげ、被害を最小限に抑える経営体制の構築が課題となる。
また、会見では高市政権への感謝にも言及した。熊谷氏は公式ブログでも、政府関係機関や国家サイバー統括室(NCO)が事態の分析や対応の検討を進めていることに謝意を示している。顧客への補償やシステム刷新は自社の責任で進めるとしたうえで、国民の資産と情報を守るため、官民連携を強める必要性を訴えている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)