トランプ氏「復旧したと聞いた」 ウクライナ向け衛星通信、完全正常化は確認されず

2026年10月24日 15:22

 ウクライナ向け衛星通信サービス「スターシールド」の利用制限を巡り、米国とウクライナの説明が食い違っている。ドナルド・トランプ米大統領は10月22日に復旧したと述べたが、ウクライナ側は23日も制限が続いていると説明。トランプ氏は同日、問題が解決していなければ実業家イーロン・マスク氏と協議する意向を示した。

 スターシールドは、マスク氏率いるスペースXの衛星通信サービス「スターリンク」の軍事向けサービス。ウクライナ軍の通信やドローン運用を支えているが、高速で移動する機器の接続に制限が設けられ、作戦に支障が出ている。

 トランプ氏は22日、記者団に対し、「私が電話したのか、ほかの誰かが電話したのかは、大した違いではないだろう。要するに、彼が元に戻したということだ」と述べ、マスク氏がサービスを復旧させたと説明した。

 しかし、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は23日午後、速度制限の解除に期待を示し、スペースXと米政権に対応を求めた。

 駐米ウクライナ大使館のデニス・シエニク臨時代理大使も同日夕、米CNNに対し、「残念ながら状況は変わっておらず、制限が残っている」と説明。ウクライナ側には一貫しない説明が伝わっていると述べた。

 トランプ氏は23日、記者団に「直ったと聞いているが、そうでなければ彼と話す」と発言。「問題があるなら解決する」と述べ、完全復旧していない場合にはマスク氏に対応を求める姿勢を示した。

■高速移動時に接続制限、ドローン運用に支障
 ゼレンスキー大統領の顧問を務めるセルヒー・ベスクレストノフ氏も23日、スターリンクの制限解除は確認できていないと説明した。

 同氏は、制限をやや上回る移動速度でも接続できる例が一部にあるとしたうえで、制限解除ではなく、スペースXのアルゴリズムや特定の利用条件による可能性が高いと指摘した。

 ウクライナ側によると、制限はロシアの攻撃に対処する迎撃ドローンや、前線での作戦を妨げている。シエニク氏はCNNに、高速移動時にドローンとの接続が失われ、ロシアの高速ドローンの迎撃が難しくなっていると説明した。

■制限を誰が決めたかも不透明
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は22日、トランプ氏がマスク氏に電話し、ウクライナ向けスターシールドの制限解除を求めたと報じた。同紙はそれ以前に、利用制限へのマスク氏の関与が、従来明らかになっていたよりも大きかったと伝えていた。

 米CBSニュースも関係者の話として、マスク氏が制限の判断に至るまでに政権当局者と複数回協議していたと報じた。同氏は行動に移る前にトランプ氏の考えを明確にしたい意向で、スペースXが戦争の継続によって利益を得ていると見られることにも抵抗感を示していたという。

 一方、マスク氏は制限が導入された前週、「速度や利用に関する制限はすべて米軍が、最終的には米大統領が決定する」と説明し、判断の主体は米政府だとの認識を示していた。

 CBSによると、政権内の一部当局者は制限の導入に驚いたという。これらの当局者は、トランプ氏も米国防総省も、ドローン運用や戦場での通信を意図的に妨げる制限を具体的に指示していないと説明した。

 ピート・ヘグセス米国防長官は20日、「われわれは何も縮小していない。最終的に守るべき利用規約があり、その点でスターリンクには判断する選択肢がある」と述べた。さらに、国防総省として指示は出していないと強調した。

 これに対し、ロイター通信は15日、米当局者らの話として、制限の指示がホワイトハウス内部から出されたと報じている。国防総省幹部がウクライナ軍向けサービスを制限するよう求める連絡を受けたというが、誰が決定し、誰が指示を伝えたかは明らかにしていない。

 トランプ氏は23日、マスク氏に復旧を求めて連絡したかとの質問に「彼とは話していない」と回答。電話協議があったとする報道との食い違いも残っている。

■パトリオット迎撃弾の供給遅れも訴え
 ウクライナは衛星通信以外でも、米国の支援を巡る問題に直面している。

 ゼレンスキー大統領は19日、米上院議員らとの協議で、欧州諸国がすでに代金を支払ったミサイルの引き渡しを国防総省が遅らせていると訴えた。欧州諸国の備蓄から地対空ミサイル「パトリオット」の迎撃弾を供与する計画についても、米国の承認を待っていると説明した。

 同大統領は23日も、ロシアの弾道ミサイルからウクライナを守る迎撃弾の引き渡しが遅れていると指摘。「すでに合意した迎撃弾を待っているが、まだ届いていない」と述べた。

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