Canva独自の画像生成AI「Craft」公開、DesignArenaで初登場4位 APIはプレビュー提供

2026年10月24日 14:26

Canvaは2026年10月22日、独自開発の画像生成モデル「Canva Craft」を公開した。同社によると、画像の構図を計画してから描画する2段階構成を採用し、DesignArenaの画像生成ランキングで初登場4位となった。

Craftは無料プランを含む世界のCanvaユーザーにDream Labで提供され、開発者もAPI経由で利用できる。画像生成APIはプレビュー段階で、公開アプリの審査や仕様変更に関する制約がある。

■DesignArenaで初登場4位、分野別評価も公表

DesignArenaは、Arcada Labsが提供する、生成結果を並べて人間の好みを比較するベンチマークだ。運営側によると、画像やウェブサイトなどの評価に190カ国超のユーザーが参加している。

OrcaRouterが掲載した2026年10月23日の画像ランキングの記録では、CraftのEloスコアは1341だった。上位はOpenAIのGPT-Image-2.5 Sunburstが1406、GPT-Image-2.5 Flareが1382、GPT Image 2が1362で、Craftはその次に位置した。

同じ記録では、Reve 2.1が1321、MicrosoftのMAI-Image-2.6が1317、GoogleのNano Banana 2.1が1291だった。OrcaRouterは、Craftがこの集計でGoogle、Microsoft、xAIの画像モデルを上回ったと報告している。

Canvaはこの順位を根拠に、自社を画像生成で「世界で2番目に先進的なAIラボ」と表現した。上位3モデルがOpenAI製で、次にCanva製モデルが続くという、開発組織に着目した位置付けである。

分野別では、Canvaは人物・ポートレートで87モデル中1位、風景・自然で85モデル中1位、抽象表現・パターンで2位、製品画像で4位と発表した。これらは同社が公表した評価結果である。

順位とスコアは投票の追加によって変わる。OrcaRouterは、約20分間隔の記録で3位のスコアが20ポイント動き、掲載グラフには投票数が示されていなかったと報告している。用途に合ったモデルを選ぶ際には、実際のプロンプトで生成結果を比較することも重要になる。

■構図の計画と描画を分ける2段階構成

画像生成では、指示に沿う被写体を描くことに加え、文字や図形を適切に配置し、情報の優先順位を表現することが求められる。ポスターやメニュー、説明用の図版では、読みやすさとレイアウトが実用性を左右する。

Stable Diffusionなどで使われる潜在拡散モデルは、ノイズ除去を反復して画像を生成する。CraftについてCanvaが強調するのは、画像の構成を計画する処理を、最終的な描画から分けた点だ。

第1段階では、計画モデルがプロンプトを解釈し、登場する要素、位置関係、相対的な大きさ、視覚的な優先順位、画像内に入れる文字などを含む構成案を作る。第2段階では、描画モデルがその計画を最大2K解像度の画像に変換する。

Canvaによると、この方式は、複雑なレイアウトでの文字の読みやすさや、物体の配置精度を高める狙いがある。ほかの部分への不要な変更を抑えながら、特定の要素を調整するための制御にもつながるという。

生成画像は「マジックレイヤー(Magic Layers)」を使って編集可能なデザイン要素へ変換できる。画像を作って終えるのではなく、文字や各要素をCanva上で修正し、用途に合わせて仕上げる流れを支える。

■数百万件のテンプレートとデザイナーの評価を活用

Canvaによると、Craftは社内の研究部門Canva Researchがゼロから開発・学習させた画像生成基盤モデルだ。学習データには、同社のライブラリにある数百万件の人手制作テンプレートが含まれる。

対象はポスター、SNS投稿、プレゼンテーション、インフォグラフィック、メニュー、文字を多用するレイアウトなどである。同社は、こうしたデータを通じて、配置や情報の階層、文字組みの関係を学習させたと説明している。

事前学習後には、教師ありファインチューニングと強化学習に、プロのデザイナーのフィードバックを取り入れた。社内評価では、デザイナーと数十人の研究者が、主要モデルとの比較を含む2万5000組超の画像を評価したという。

自動評価と人間の判断が食い違った場合は、デザイナーの判断を優先したとしている。学習後の調整と、人間による比較評価の両方を通じて、指示への追従性、文字表現、画像品質を改善する方針だ。

■推論を効率化し、高速版も開発

Canvaは、モデルの振る舞いを別のモデルに学習させる蒸留を活用し、Craftの推論ステップ数を当初の一部に減らしたと説明している。さらに計画段階に最適化した独自の推論エンジンを開発し、最初の社内版と比べて約10倍高速にしたという。

開発者向けの公式案内では、Craftの生成処理は全体でおよそ50〜60秒かかるとされる。アプリに組み込む場合は、待ち時間を想定した画面設計や、間隔を空けた処理状況の問い合わせが必要になる。

同社は、より低コストで高品質な生成を目指す「Craft-fast」と「Craft-ultrafast」も開発している。2026年10月23日時点で、具体的な提供日は示されていない。

■APIはプレビュー提供、利用条件の確認が必要

開発者向けAPIでは、モデル値に「craft_v1_2k」を指定すると、CRAFT-1 2Kを利用できる。画像生成ジョブの作成には、asset:write権限を持つユーザーアクセストークンと、ユーザーのimage_generation機能へのアクセス権が必要だ。

処理は非同期で実行される。ジョブIDを受け取った後、状態を問い合わせ、完了した画像を24時間有効なダウンロードURLから取得する仕組みで、ユーザーのアップロード素材として保存する指定もできる。作成リクエストの上限は、アプリを利用するユーザーごとに毎分20件である。

2026年10月23日時点の公式文書では、生成APIはプレビュー扱いだ。予告のない互換性を損なう変更があり得るうえ、その際にAPIのバージョンは更新されない。また、プレビューAPIを使う公開アプリはCanvaの審査を通過できず、全Canvaユーザーへの公開対象にならない。

APIで指定できる縦横比は、square、landscape、portrait、landscape_3_2、portrait_2_3、portrait_4_5の6種類だ。幅や高さを個別に指定するパラメーターはなく、生成画像の寸法は結果に含まれる。エディターで選べる30種類超の縦横比とは提供範囲が異なる。

公式文書は、Craftをポスター、スライド、人物、風景、抽象表現、製品画像、マーケティング素材などに推奨する。一方、文字入り画像、食品・飲料、汎用画像にはZ Image Turboも推奨している。こうした推奨用途を踏まえ、文字の量やレイアウトに応じてモデルを比較するとよい。

ジョブの開始時には、ユーザーのAI利用枠が消費される。モデルを明示的に指定した場合、そのモデルが利用できなければエラーとなるため、再試行や別モデルの選択を想定した実装も必要だ。

■日本でもDream Labから利用、料金は国内向けを適用

CraftはDream Labから利用できる。Canvaによると、プロンプトは任意の言語で入力でき、画像内の文字は55言語に対応する。エディターでは30種類超の縦横比を選べるほか、独自の比率も指定できる。

日本向け公式料金ページでは、2026年10月24日時点のCanvaプロは1人当たり年額1万1800円だ。日本語の画像生成案内では、無料版の月間利用枠の目安を標準モデルで最大200回、高品質モデルで最大20回としている。

同じ案内では、Canvaプロの月間利用枠は標準モデルで最大2000回、高品質モデルで最大200回、または最高品質モデルで最大20回が目安となる。これらは対象AI機能全体で共通の枠で、実際の利用量は機能や処理内容によって変わる。残量はアカウントの設定画面で確認できる。

Craftには、CanvaのAI安全性の枠組み「Canva Shield」が適用される。同社は、入力と出力のモデレーション、プライバシーや安全性の管理、問題のあるコンテンツの報告機能を組み込んでいるとしている。

■大規模なAI提供を支える自社モデル戦略

Canvaは、自社モデルと外部パートナーのモデルを組み合わせる方針を採っている。Canva Researchの説明では、毎月10億件超のデザインが作られる規模では、生成1回当たり数セントの費用差でも大きな影響があるという。

2026年9月のdiginomicaの取材で、共同創業者のキャメロン・アダムス氏は、同年4月に投入したCanva AI 2.0でAIの利用が約3倍に増え、システムと費用の負担が拡大したと説明した。利用拡大に合わせて推論費用を管理することが、同社の課題となっている。

The Informationなどの8月の報道によると、Canvaは2026年の売上成長率見通しを30%から20%に引き下げた。同社は投資家に、独自モデルと外部の高性能モデルへの処理の振り分けなどにより、4月以降のAIタスク当たり費用を約90%削減したと説明していた。

Capital Briefによると、Blackbird VenturesとAirtreeは8月、外部評価を踏まえ、Canvaの企業価値の見積もりを420億ドル(約6兆5900億円)から349億ドル(約5兆4800億円)に引き下げた。一方、The Informationは、同社が2026年第2四半期末に約15億ドルの現金を保有していたと報じている。

事業規模では、共同創業者のクリフ・オブレヒト氏が2026年2月のTechCrunchの取材で、2025年末の年間経常収益が40億ドル(約6280億円)に達したと説明している。Canvaは2026年4月の公式発表で、月間利用者が2億6500万人超としており、Craftの発表では毎秒400件超のデザインが作られると説明した。

自社モデルを持つことで、Canvaは生成費用や速度、品質の改善を、自らの開発計画に沿って進めやすくなる。テンプレートに蓄積されたデザインの知見を、用途に特化したモデルの改善に使える点も、この戦略の強みとなる。

■Canva Researchの研究基盤と今後の展開

Canvaは2026年10月21日、Canva Researchの研究体制を紹介した。同部門は世界のAI研究者とエンジニア160人超からなり、400人規模のAI組織の一部を構成する。

同社のAI研究は、2017年のテンプレート検索・推薦への機械学習の活用にさかのぼる。2021年にウィーンのKaleido、2024年にシドニーのLeonardo.aiを買収し、2025年に研究グループをCanva Researchとして統合した。2026年にはMangoAIとSimtheoryも加わり、強化学習やAIエージェントの専門性を取り込んだ。

Dream Labは2024年の登場時、Leonardo.aiのPhoenixモデルを採用していた。Craftの開発にもLeonardoの研究者が参加したと、Canvaは説明している。研究組織は、買収で得たモデル開発の知見も活用している。

Canvaによると、同社AIツールの累計利用は360億回超に達する。既存の研究成果には、デザイン要素を分解するマジックレイヤー、Leonardoの画像モデルLucid Origin、2025年10月公開のCanva Design Modelがある。Design Modelは編集可能な構造を持つデザインの生成を担い、Craftの画像生成を補完する。

画像から動画を作る別の取り組みでは、公開されたモデルの重みを基に独自データで改良し、GPUの稼働1時間当たりの動画生成数を70%増やしたと同社は報告している。研究全体で品質と推論効率の両立を進める方針だ。

CraftのCanva MCP Server対応は近日提供予定とされる。AIアシスタントが一連の作業の中で画像を生成できるようにする構想で、高速版、APIの正式提供、外部ワークフローへの接続が今後の注目点となる。同社は次期版に向け、細かな文字や技術図面を含め、品質、細部、制御性の改善を続けるとしている。

元記事: Canva Craft Ranks Above Google, Microsoft, Meta on Day One; API Still Preview

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