NASA月着陸船の試験計画、StarshipとBlue Moonが2027年の軌道実証へ

2026年10月23日 18:37

NASAは、アルテミス計画で宇宙飛行士を月面へ送り届けるため、SpaceXのStarshipとBlue OriginのBlue Moonの開発を進めている。2026年10月に示した計画では、2027年のアルテミスIIIで地球低軌道での試験を行い、2028年初めのアルテミスIVで、1972年のアポロ17号以来となる有人月面着陸を目指す。

両社には、宇宙船との接続、機体の統合試験、無人月面着陸実証などが控える。打ち上げや着陸の日程はいずれも開発目標であり、試験の進捗と機体の準備状況が実施時期を左右する。

■アルテミスIIIで着陸船との接続を試験

NASAは2026年2月、アルテミス計画のミッション構成を見直した。アルテミスIIIを地球低軌道での有人試験飛行に変更し、計画初の有人月面着陸をアルテミスIVに割り当てた。月面へ向かう前に、宇宙飛行士が搭乗するオリオン宇宙船と着陸船を組み合わせて試験する段階を設ける。

10月5日、トルコ・アンタルヤの国際宇宙会議で、NASAの有人月着陸システム(HLS)プログラムを率いるスティーブ・クリーチ氏が両社の開発日程を示した。資料には、打ち上げ設備の整備、推進系の試験、軌道上での推進剤移送、無人着陸実証など、2028年初めまでの主要な節目が盛り込まれている。

この日程表では、アルテミスIIIの目標は2027年第3四半期だ。4人の宇宙飛行士がオリオンで地球低軌道へ向かい、両社の試験機とのランデブーとドッキングを通じて、接続部、ソフトウェア、推進系、通信系などの連携を確認する構想である。

NASAが示す飛行手順では、先にBlue Moonの試験機を打ち上げ、オリオンが接続する。その後、オリオンはBlue Moonから離れ、後から打ち上げるStarshipの試験機と接続する。こうした試験結果は、将来の有人月面着陸に向けた準備状況の評価に使われる。

アルテミスIVは2028年初め、続くアルテミスVは同年後半の有人月面着陸を目標とする。NASAの10月の資料では、アルテミスIVに使用する着陸船は未定とされている。

■Starship、飛行試験と有人区画の開発を並行

SpaceXは、月周回軌道と月面の間で宇宙飛行士を輸送するStarshipの月着陸船仕様を開発している。その基盤となるStarshipの飛行試験と、月面での活動に必要な有人区画や着陸装置の開発を並行して進める。

NASAの日程表には、改良型Version 3(V3)ブースターの初回回収、Starship上段の初回回収、フロリダからの初打ち上げ、V3ブースターの再使用などが並ぶ。これらは2026年第4四半期の目標として示され、2027年も飛行試験を継続する計画だ。

有人区画の試作機「Cabin One」は2026年末までの建造完了を目指す。2027年第1四半期には通信システムの完成と訓練用シミュレーターの引き渡し、その後は着陸脚の実証と、船内外を行き来するためのエアロックの試験が予定されている。

Space.comによると、アルテミスIIIにはV3の上段を改修した試験機を使用し、宇宙飛行士が移乗するための有人区画は搭載しない計画だ。オリオンとの接続に必要なドッキング装置と、その装置を覆うカバーの組み込みを進める。

アルテミスIIIではオリオンとの接続試験を行い、その後の月着陸に向けて専用機の準備を進める。NASAの日程表は、無人月着陸実証機の打ち上げを2027年第3四半期末から第4四半期初め、無人着陸実証を同年第4四半期に置いている。

■月へ向かうための軌道上推進剤補給

Starshipの月着陸構想で重要になるのが、地球低軌道での推進剤補給だ。月へ向かう着陸船は、軌道上で推進剤を補給してから月への飛行と着陸・離陸に臨む設計である。

NASA監察総監室の報告書によると、補給用のタンカー型Starshipが、軌道上の推進剤貯蔵機であるデポに推進剤を運ぶ。月へ向かう着陸船は、そのデポに接続して必要な量を受け取る。タンカーの必要打ち上げ回数は、最終的な構成や運用条件によって変わる。

移送するのは、液体メタンと液体酸素の極低温推進剤である。宇宙機同士で移送する技術に加え、長期間の貯蔵中に熱が入り、推進剤が蒸発して失われる量を抑える技術も必要になる。

NASAの日程表では、軌道上での推進剤移送実証を2027年初めの重要な節目に位置付けている。Space.comによると、アルテミスIIIの接続試験自体は補給飛行を必要とせず、その後の月着陸に向けてタンカー型の初飛行などを進める計画だ。

■Blue Moon、宇宙飛行士が入れる試験機を準備

Blue Originが開発する有人月着陸船は、Blue Moon Mark 2(MK2)である。NASAの資料では、高さ約16メートルで、液体水素と液体酸素を使うBE-7エンジンを3基備え、New Glennロケットで打ち上げる設計だ。

Space.comによると、アルテミスIII用の試験機には有人区画、一部の生命維持機能、飛行ソフトウェアなどを搭載する。宇宙飛行士がオリオンから移乗し、微小重力下で内部の使い勝手や一部のシステムを評価する計画で、NASAも移乗を含む試験手順を公表している。

NASAの日程表では、2026年第4四半期にBE-7の試験やBT-7機体制御用スラスターの製造・認定試験、アルテミスIII向けの中間設計審査などを進める。2028年の無人着陸実証に向けた詳細設計審査も予定されている。

2027年初めには通信システムと飛行ソフトウェアを仕上げ、第2四半期にかけて機体の組み立て、統合、試験を進める計画だ。同四半期にはBE-7エンジンの認定完了と、試験機をNew Glennに搭載するための統合作業を目指す。

打ち上げ設備の復旧も進めている。ロイター通信によると、2026年5月28日にNew Glennが地上試験中に爆発し、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍施設の第36発射施設が損傷した。NASAの日程表は2026年第4四半期の飛行再開を示す一方、ロイター通信は10月16日時点で、再開は2027年初めになる見通しと報じた。

■MK1の先行飛行と、両社の無人着陸実証

Blue Originは、小型の無人月着陸船Blue Moon Mark 1(MK1)も開発している。初飛行では、NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)の枠組みで科学機器を月面へ運び、将来の有人着陸に向けた技術実証にも取り組む。

NASAの10月の予定表では、MK1初飛行は2027年第1四半期、2回目は同年第4四半期、3回目は2028年第1四半期を目標とする。先行する無人機で月への飛行と着陸の経験を積みながら、MK2の開発を進める構成だ。

MK2の無人実証機は2027年第4四半期に打ち上げ、2028年第1四半期に月面着陸を実証する計画である。月までの飛行、降下と着陸、月面での運用、月周回軌道への帰還を確認し、有人飛行に向けた評価につなげる。

両社は異なる構成で試験を積み重ねる。SpaceXは、Starshipとブースターの回収・再使用を進めつつ、複数機による推進剤輸送と軌道上補給を月着陸の基盤に据える。Blue Originは、アルテミスIIIで宇宙飛行士が入れる試験機を用意するとともに、MK1の先行飛行を進める。

無人月面着陸実証の目標は、Starshipが2027年第4四半期、Blue Moon MK2が2028年第1四半期で、アルテミスIVまでの間隔は短い。エンジン、ソフトウェア、打ち上げ機、着陸実証の進捗が、有人飛行に向けた準備を左右する。NASAは各機の性能、安全性、試験結果を評価し、有人月面着陸に使用する機体を判断する。

元記事: NASA’s Lunar Lander Race: Starship and Blue Moon Prepare For Artemis III and IV

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