メタ、議決権のない新株導入へ 富裕税懸念のザッカーバーグ氏は州内残留に合意
2026年10月23日 15:16
米メタは、カリフォルニア州で提案されている富裕税を懸念し、州外への転居を検討していたマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)と、同州などに8年間住み続けることで合意した。議決権のない新たな種類の株式を導入し、同氏が経営支配権を維持しながら、納税資金などを確保できる仕組みを設ける。
メタが10月21日に公表した米証券取引委員会(SEC)への開示資料で明らかになった。ザッカーバーグCEOは、同社の経営に常勤で携わることを条件に、カリフォルニア州か、メタが本社を置く地域に8年間居住すると約束した。ただし、別の地域に住むことが適切と判断される重大な予期せぬ事情が生じた場合は例外となる。
同州では11月3日、資産10億ドル(約1580億円)超の富裕層を対象に、課税対象資産に最大5%の税を一度限り課す住民投票案「提案40」の採決が予定されている。税収の90%は医療に充てる計画だ。
米ビジネス・インサイダーによると、ブルームバーグ・ビリオネア指数に基づくザッカーバーグCEOの純資産は、10月21日終値時点で約2470億ドル(約39兆円)だった。この金額に単純に5%を掛けると、約124億ドル(1兆9600億円)となる。実際の税負担は、制度の規定や課税対象資産の評価額によって異なる。
開示資料によると、ザッカーバーグCEOはメタ側に対し、主な居住地をカリフォルニア州外へ移すことを検討していると伝えた。州内の住宅を売りに出す可能性にも言及し、こうした動きは従業員にも知られ、今後の経営について疑問を招くと指摘した。
懸念は居住地だけではなかった。多額の税金を支払うために議決権付き株式を売却すれば、フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップを傘下に持つメタに対する同氏の議決権比率が低下する可能性がある。
取締役会が承認したのは、議決権を持たない上場株式「クラスC普通株」の新設だ。ザッカーバーグCEOは、この株式を売却することで、既存の保有株式に伴う議決権を維持しながら資金を得られる。
合意に基づき、同氏側が株式配当として受け取るクラスC株の20%は、議決権比率を下げずに売却できる。これは、同氏のメタに対する経済的な持ち分全体の約10%に相当する。残る80%には当初、売却・譲渡制限が課されるが、同氏が常勤の経営幹部または執行会長として勤務することを条件に、32四半期、計8年かけて段階的に解除される。
人工知能(AI)分野の投資負担と競争が増すなか、メタの独立取締役で構成する特別委員会は、ザッカーバーグCEOが経営を率い、カリフォルニア州の本社を拠点に事業を運営し続けることが「極めて重要」だと判断した。業界が急速に変化する局面で、同氏が業績向上を主導できる体制を維持する狙いがある。
株式再編には、同氏の納税資金確保以外の目的もある。メタはクラスC株を資金調達、従業員報酬、買収、その他の事業上の用途に活用する計画だ。インフラやAI事業の拡大に必要な投資規模も、新たな種類の株式を設ける理由として挙げた。
新たな株式制度は2027年1月19日に発効する予定。取締役会は、制度の発効を条件に、既存のクラスA株とクラスB株それぞれ1株につき、クラスC株1株を交付する株式配当を決議した。配当の基準日と交付日は今後決定する。