ノルウェー政府系ファンド、7~9月期に約4.7兆円の運用損失―金利上昇が響く
2026年10月23日 11:01
世界最大の政府系ファンドであるノルウェーの政府年金基金グローバルは10月22日、2026年7~9月期の運用損失が2780億ノルウェークローネ(約4兆7000億円)になったと発表した。金利上昇に伴う債券価格の下落が響いた。
運用を担うノルウェー中央銀行投資管理部門(NBIM)によると、同四半期の運用収益率はマイナス0.5%だった。債券投資の収益率はマイナス3.5%で、株式投資はプラス0.5%だった。
NBIMのトロンド・グランデ副最高経営責任者(副CEO)は声明で、運用成績はほぼ横ばいだったものの、金利上昇で債券投資の成績が悪化し、小幅なマイナスになったと説明した。
9月末時点で、債券はファンドの運用資産の25.8%を占めた。CNBCによると、債券投資先は51カ国の1664銘柄に及ぶ。
インフレや政府債務の拡大への懸念が債券市場の重荷となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月、政策金利の誘導目標を0.25ポイント引き上げ、3.75~4.00%とした。
■米国債の配分削減を提案
NBIMは9月、債券運用の全面的な見直しの一環として、米国債への投資配分を大幅に引き下げる案を示した。社債や住宅ローン担保証券(MBS)などへの配分を増やし、収益源の多様化を目指す。
ノルウェー財務省への提言では、債券ベンチマークに占める国債などの区分の比率を、現在の70%から50%に引き下げるよう勧告した。提案に沿って見直した場合、ベンチマーク全体に占める米国債の比率は34.1%から21.9%に、ユーロ圏国債は16.8%から14.1%に低下する。
ファンドは6月末時点で、約2150億ドルの米国債を保有していた。提案が採用されれば保有額は大幅に減る見通しだが、NBIMは変更を段階的に進める方針を示している。
米国では政府財政への警戒も強まっている。ロイター通信が米財務省の数値を基に報じたところによると、連邦政府の債務残高は8月に初めて40兆ドルを突破した。このうち政府内保有分を除く債務は32兆ドル超に上り、年間の利払い費も1兆ドルを超えている。
ただ、今回の提案は米国資産全般からの撤退を意味するものではない。米国債から振り向ける資金の一部は、米国の別の債券に向かう。債券ベンチマークに占める米国の国債以外の債券の比率は、16.2%から27.6%に引き上げる案となっている。
提言に署名したニコライ・タンゲンNBIM最高経営責任者(CEO)とイーダ・ウォルデン・バーチェ中央銀行総裁は、国債などの比率を50%にしても、市場混乱時を含めて必要な流動性を確保できると説明した。そのうえで、社債などへの投資を通じ、信用リスクなどを引き受ける対価となるリスクプレミアムを、より幅広く得ることを目指す。
国債部分の国別配分を決める方法についても、国内総生産(GDP)に基づく方式から、市場価値に基づく方式への変更を提案した。ベンチマークに沿った運用を容易にし、世界の債券市場の変化をより適切に反映させる狙いだ。