マスク氏、ウクライナ向け衛星通信の制限を指示か WSJ報道
2026年10月22日 00:47
米宇宙企業スペースXのイーロン・マスク氏が、ウクライナ軍の利用する衛星通信サービスの制限を指示していたと、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が10月20日に報じた。米政府当局者や事情に詳しい関係者の話として、同氏の関与が従来知られていた以上に大きかったと伝えた。
対象は、衛星通信サービス「スターリンク」の軍事向けサービス「スターシールド」。制限によって、ウクライナ軍の攻撃用ドローンや迎撃用ドローンの運用に大きな支障が出た。
WSJによると、マスク氏は制限を実施する前に複数の米政権高官と協議したとする関係者の証言がある。同氏はドナルド・トランプ米大統領の意向を把握しようとしていたという。一方、米当局者の一部は、マスク氏が独自に判断したとしており、政権内での事前調整の有無を巡って説明が食い違っている。
マスク氏は、スペースXが戦争で利益を得ていると受け止められることに懸念を示していたという。
制限が明らかになった後、マスク氏はXへの投稿で「速度や利用に関する制限は米軍が決め、最終的には米大統領が決める」と説明し、判断の責任が米政府側にあるとの立場を示した。
しかし、WSJによると、ホワイトハウスの一部当局者にとっても制限は予想外だった。トランプ大統領や米国防総省が制限を指示したわけではないとする当局者の説明も伝えている。
ピート・ヘグセス米国防長官は20日、米側がサービスを縮小したことを否定した。利用規約を順守する必要があり、その適用についてスターリンク側が判断できると説明したうえで、米政府として指示は出していないと述べた。
トランプ大統領も19日、誰が制限を指示したのかは分からないとし、「明らかにしたい」と語った。
■制限の指示系統を巡り報道に相違
今回のWSJ報道は、制限の指示がホワイトハウス内部から出たとするロイター通信の先週の報道とは異なる説明を示している。
ロイターは15日、米当局者2人と説明を受けた西側当局者1人の話として、米国防総省の幹部に、ウクライナ軍向けスターシールドの利用を制限するよう伝達があったと報じた。ただ、ホワイトハウスの誰が決定し、誰が指示の実施を担ったのかは明らかにしていない。
ウクライナは衛星通信以外でも軍事支援を巡る問題に直面している。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は19日、米議会の超党派の議員団に対し、欧州諸国がすでに代金を支払ったミサイルの供給を米国防総省が遅らせていると訴えた。対象には、ロシア軍のミサイルを迎撃する地対空防空システム「パトリオット」用の迎撃ミサイルが含まれる。
ゼレンスキー大統領は、欧州の複数国が自国の備蓄から迎撃ミサイルを移転する用意もあるが、米国の承認を待っていると説明。「ミサイルは準備ができており、すでにウクライナに届いていてもおかしくない」と述べ、「残念ながら、まだ承認がない」と訴えた。
米CNNは先週、事情に詳しい関係者の話として、ウクライナがパトリオット用迎撃ミサイルを使い果たしたと報じていた。