OpenAI、アンソロピック上場前に4.7兆円の調達急ぐ―同じ投資家巡り争奪戦

2026年10月21日 10:28

 米OpenAIが、約300億ドル(約4兆7400億円)の資金調達に向けた動きを加速している。競合の米Anthropicが11月中旬に予定する新規株式公開(IPO)に先立ち、投資家から出資の確約を取り付けたい考えだ。今回の調達で、対話型AI「ChatGPT」を手掛けるOpenAIの企業評価額は1兆4000億ドル(約221兆円)を超える可能性がある。

 ロイター通信が10月19日、事情に詳しい関係者2人の話として報じた。両社は多数の同一機関投資家に資金提供を求めており、人工知能(AI)の開発競争は資本市場でも激しさを増している。

 報道によると、ソフトバンクグループやアブダビの投資会社MGXなど、OpenAIの既存投資家が今回の調達への参加を協議している。OpenAIは先週、長期保有を基本とする投資ファンドや政府系ファンドと面談した。同じ時期に、Anthropicも投資家向け説明会を開いていた。

 OpenAIは3月31日、出資確約額1220億ドル(約19兆3000億円)の資金調達ラウンドを完了したと発表した。この時点の調達後の企業評価額は8520億ドル(約135兆円)だった。今回の評価額が1兆4000億ドル(約221兆円)を超えれば、そこから64%以上上昇することになる。ただし、新たな資金調達は協議段階にある。

■売上高の拡大と価格引き下げを訴求

 OpenAIは投資家に対し、AIモデル「GPT-6 Astra」の投入後に売上高の伸びが加速したと説明している。

 ロイターが投資家との協議に詳しい関係者の話として伝えたところによると、同社の年換算売上高は約500億ドル(約7兆9000億円)に達し、2026年末には700億ドル(約11兆1000億円)に増える見通しだという。

 年換算売上高は、直近の売上高のペースが1年間続いたと仮定した指標であり、通年で実際に計上した売上高とは異なる。今回伝えられた数字は、公開財務諸表による裏付けが得られていない。

 同社は利用拡大に向け、一部モデルの価格引き下げも進めている。9月には「GPT-6 Sol」と「GPT-6 Luna」のAPI利用料金を、前世代のGPT-5.6モデルのキャンペーン価格と比べて50%引き下げたと発表した。

 これに先立ち、同月に投入したGPT-6 Astraでは、ソフトウエア開発やコンピューター操作、専門的な業務への対応能力を高めたとしている。

 一方、AI「Claude」を開発するAnthropicも大幅な増収を続けている。ロイターによると、同社が投資家に示した第3四半期の売上高は168億ドル(約2兆6500億円)で、第2四半期の116億ドル(約1兆8300億円)から増加した。

 同社の年換算売上高は7月までに約650億ドル(約10兆3000億円)に達していた。ただ、月ごとの売上高の伸びが鈍化し、一部の投資家は想定される企業評価額に疑問を示している。

 ロイターは先週、第3四半期の業績が期待を下回ったことを受け、一部の投資家が、上場時の評価額は従来想定されていた2兆ドル(約316兆円)より低い1兆5000億ドル(約237兆円)程度が妥当だと主張していると報じた。

■巨額インフラ投資と上場市場の変動が重荷

 2027年の上場を目指すOpenAIは、高度なAIシステムの学習や運用に必要なインフラを巡り、多額の支出を約束している。

 ロイターによると、同社の事情に詳しい投資家は、追加資金について、こうした支出を賄うとともに、IPO市場の悪化で上場がさらに遅れた場合に財務基盤を補強するためにも必要だとみている。

 借入コストやAIインフラ投資の規模に対する懸念は、関連する上場企業にも及んでいる。

 AI向けクラウドサービスを提供するコアウィーブは、借り入れに依存した事業拡大への監視が強まっている。先週は、大規模データセンターの資金調達リスクを投資家が見直すなか、同社の株価と社債価格が下落した。

 不透明な市場環境は、他社の上場計画にも影響している。ロイターによると、ブラックストーンが出資するAirTrunk REIT、エヌビディアが出資するFirmus、ソフトバンクグループが出資するSB Energyは、上場計画を延期または撤回した。

 上場準備を進める企業の一部は、投資家の資金を巡ってAnthropicのIPOと競合することを避け、実施時期を調整している。

 両AI企業は上場を見据え、事業や関連施策の拡充も続けている。Anthropicは10月18日、株主の承認を条件に、当初は自社株式の5%を新設する「Anthropic Public Benefit Fund」に拠出する方針を発表した。AIが社会にもたらす影響への対応など、公益に資する取り組みを支援する。

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