Wiwynnら、CPO搭載システムをOCPで実演 光リンクの稼働と状態監視を確認

2026年10月20日 19:28

Wiwynn、Ayar Labs、Global Unichip Corp.(GUC)は2026年10月13日、米サンノゼのOCP Global Summitで、コパッケージド・オプティクス(CPO)を組み込んだコンピュートシステムのライブデモを発表した。GUCのASICとAyar Labsの光エンジン、外部レーザー光源を統合し、光リンクの稼働状態をリアルタイムで表示した。

CPOは、演算用や通信用の半導体と光エンジンを同じパッケージに実装し、高速な電気配線を短くする技術だ。今回の展示は、AIインフラ向けの光接続について、チップ、冷却、配線、状態監視を一つのシステムで検証する取り組みとなった。

■光リンクの稼働と状態監視をシステムで検証

OCP Global Summitは10月12〜15日、サンノゼのコンベンションセンターで開催された。3社は、GUCのマルチチップパッケージ(MCP)、Ayar LabsのTeraPHY光エンジン、SuperNova外部レーザー光源を、Open Rack V3(ORV3)対応のコンピュートシステムに組み込んだ。

共同発表によると、デモではMCP内の光エンジンから状態情報を継続的に取得し、リアルタイム表示した。温度や波長の変動を調整する仕組みが働く中で、主要な信号品質指標が安定していることを確認したという。

3社は、この成果をアーキテクチャーの検証からシステムレベルの機能実証へ進む節目と位置付ける。部品単体の性能に加え、実際の装置内で光エンジンを動かし、その状態を監視する仕組みまでを検証対象にした点が重要だ。

GUC社長のSean Tai氏は、システム要件をチップ設計の早い段階から取り込む共同開発により、半導体の技術開発からシステムとして利用可能になるまでの期間を短縮できると説明した。光接続の導入には、ASIC設計とラック設計を並行して進める必要がある。

■3月の提携から約7カ月、ラック統合を段階的に拡大

Ayar LabsとWiwynnは2026年3月11日、光接続を用いるラック規模のAIシステムに向けた戦略的提携を発表した。3月15〜19日にロサンゼルスで開催された光通信の国際会議OFCでは、両社の共同ソリューションを紹介した。

両社が示した設計は、複数ラックをまたいで1024基以上のAIアクセラレーターを接続し、各アクセラレーターに100Tbps超の光接続帯域を提供することを目指す。高電圧直流(HVDC)給電に対応し、外部レーザー光源を含む全液冷のリファレンス設計を採用した。

5月28日のComputex向け発表では、WiwynnはAyar LabsとGUCに加え、Browave、Corning、FOCI、Molex、SENKO、TE Connectivityとの協業を公表した。光ファイバーの配線、コネクター、冷却、製造性までを含め、チップからラックへと統合範囲を広げた。

10月のOCPでは、CorningやSENKOなどとの光配線の展示と、光エンジンの状態監視を組み合わせた。3月の設計構想、Computexでの接続部品の統合、OCPでの稼働システムという流れで、約7カ月にわたり検証を進めてきた。

■UCIeを使うパッケージ設計とTeraPHYの仕組み

GUCが2025年11月に公表したXPU向けMCP設計では、光エンジンをパッケージの有機基板に直接実装する。GUCによると、この構成はパッケージ当たり100Tbps超の全二重光インターフェースを実現する設計である。

光エンジンとI/Oチップレットの間には、標準パッケージ向けのUCIe-Sを採用する。I/Oチップレットと主AIダイの間には、局所的なシリコン配線であるLSIブリッジを介して先端パッケージ向けのUCIe-Aを使い、いずれも1レーン当たり64Gbpsとしている。

UCIeは、パッケージ内のチップレット間接続を共通化するオープン標準だ。共通インターフェースを用いることは、異なる供給企業のチップレットを組み合わせる設計の基盤になる。パッケージの光接続帯域を広げるとともに、部品間の接続方法をそろえる狙いがある。

Ayar Labsが2026年10月時点で公表するTeraPHYの暫定仕様は、8つの全二重光ポートを備え、1ポート当たり片方向512Gbps、チップレット全体で片方向約4Tbps、双方向合計約8Tbpsである。各ポートには16の波長分割多重送受信スライスを備える。複数の波長にデータを載せ、光ファイバー上で並列に運ぶ仕組みだ。

■短い電気配線と外部レーザーで電力・熱に対応

CPOでは、光集積回路と電子集積回路からなる光エンジンを、ASICなどの近くに配置する。装置前面の着脱式光トランシーバーまで電気信号を運ぶ構成に比べ、光信号へ変換するまでの電気配線を短くできる。

NTTの技術解説でも、半導体ICと光トランシーバーの近接実装は、長い高速電気配線による信号損失と消費電力を抑える手段として説明されている。高速化に伴って増える信号補償の負担を減らすことが、CPOの省電力化につながる。

TeraPHYに光を供給するSuperNovaは、ELSFPと呼ばれる着脱式外部レーザー光源の形態を採用する。Ayar Labsによると、レーザーを光エンジンから分離する設計は、熱効率、信頼性、保守性の向上を狙ったものだ。高出力のAI半導体に近接する光部品には、温度変化を考慮した設計が求められる。

Wiwynnは、レーザー出力を安定させるため、ELSFP専用の液冷ソリューションを開発した。高密度の筐体内光配線と組み合わせ、光源、光エンジン、コンピュートシステムの熱設計を一体で進めている。

■光配線と保守性もラック導入の重要な要素

OCPでの展示は、ラック内の光ファイバー配線、パッチパネルの統合、複数ベンダーの部品を用いたファイバー管理を対象とした。光エンジンをパッケージに実装するだけでなく、装置からラックまで光ファイバーを引き回し、冷却設備と共存させる設計が必要になる。

Computexで披露された接続技術には、光ファイバーを並べてチップに接続するファイバーアレイユニット(FAU)、高密度コネクター、挿入時に接続されるブラインドメイト方式が含まれる。SENKOは、SEAT技術による着脱式FAUと、小型多心のSN-MTコネクターを紹介した。

SENKOによると、着脱式の光インターフェースは、ファイバーと光集積回路の位置合わせを繰り返せるようにし、組み立てや歩留まり、製品寿命全体の管理を支える。高密度化とともに、検査や保守のしやすさを確保することが、ラックへの導入を進める条件となる。

OCPの技術プログラムは全22トラックで構成され、「Short Reach Optical Interconnect」も設けられた。WiwynnとAyar Labsは、AIのスケールアップおよびスケールアウト環境向けの高出力ELSFPや、ラック規模の光インフラ設計を扱う技術発表も行った。

■電力制約を背景に広がるCPO市場への期待

データセンターの電力確保は、光接続への関心を高める背景の一つだ。Gartnerは2024年11月の予測で、既存のAIデータセンターの40%が2027年までに電力供給による運用上の制約を受けるとした。

Siemensの2026年2月の技術解説は、データセンターのエネルギーの約60%がデータ移動に使われるとの推計を紹介している。計算能力を増やすだけでなく、半導体や装置の間でデータを運ぶ際の消費電力を抑えることも、AIインフラの効率を考える重要な観点となる。

LightCountingが紹介したNVIDIAの2025年の説明では、1.6Tbpsのプラガブルトランシーバーの30Wに対し、同社のCPOは1.6Tbpsポート当たり9Wで、約70%の電力削減を掲げた。この比較における21Wの差を10万ポートに当てはめると2.1MWとなり、多数のリンクを使うシステムではポート単位の差が積み重なる。

IDTechExは、2026〜2036年の世界のCPO市場について、年平均37%で成長し、2036年には200億ドル(約3兆1600億円)を超えると予測する。同社の予測ではネットワークスイッチ向けが収益の中心となる。一方、LightCountingは2024年12月の予測で、3.2TbpsのCPOポート出荷が2029年に1000万ポートを超えると見込んだ。

■資金調達と次世代AIラックへの取り組み

Ayar Labsは2026年9月10日、1億5000万ドル(約237億円)の追加調達により、同年の新規資金調達総額が6億5000万ドル(約1030億円)になったと発表した。資金は製品開発、検証、製造エコシステムの拡大、量産への移行などに充てるとしている。

同社は併せて、Wiwynnが同年初めに戦略投資を行ったことを明らかにした。戦略投資家にはAlchip、AMD、Intel、MediaTek、NVIDIAも含まれる。Wiwynnはラック設計・製造の協業先であるとともに、投資家としてもAyar Labsに関与する。

Wiwynnの社長兼CEOであるWilliam Lin氏は9月の発表で、CPOを次世代AI・クラウドデータセンターの基盤技術と位置付けた。協業と投資を通じ、銅配線の電力や複雑さの制約を軽減するアーキテクチャーを目指すとしている。

同じOCPでWiwynnは、WistronとともにNVIDIA Vera Rubin NVL72の初期Pilot Build Partnerに含まれることも公表した。これは設計検証や製品への組み込みに向けた取り組みで、NVL72は72基のRubin GPUと36基のVera CPUを統合する。GPU間には第6世代NVLinkを採用し、NVIDIAの公表仕様ではRubin GPU当たり最大288GBのHBM4メモリーを備える。

また、Open Rack Wide(ORW)標準を採用するAMD Heliosラックスケールソリューションも披露した。AMD Instinct MI450シリーズGPU、第6世代AMD EPYCサーバーCPU、AMD Pensandoネットワーキング、AMD ROCmソフトウェアを組み合わせ、大規模AI学習と推論に対応する構成だ。Wiwynnは演算基盤の統合と並行して、接続、給電、冷却の技術開発を進めている。

■量産に向けて製造・配線・相互運用性を整備

3社は、OCPでの機能実証をハイパースケール導入に向けた基盤とし、検証から量産展開へ協業を深める方針を示した。実際の導入を広げるには、稼働状態の監視に加え、製造時の検査や歩留まり、保守手順までを整える必要がある。

Siemensの技術解説は、光部品の精密な位置合わせや、光・電気の両方を量産規模で検査する工程を課題に挙げる。複数の部品を一体化するパッケージでは、再加工のしやすさがコストに影響するため、組み立て前の部品検査と組み立て後の品質確認が重要になる。

ラック側では、光ファイバーの高密度配線と液冷設備を両立させ、接続や交換の作業性を確保することが求められる。Wiwynnらの展示は、これらをASIC、光エンジン、外部光源と同じ設計課題として扱っている。

相互運用性も重要だ。チップレット接続のUCIe、光源の波長に関するCW-WDM MSA、外部光源のELSFPなど、接続の各層で共通仕様を活用しつつ、複数ベンダーの部品を組み合わせた検証を進めることになる。設計構想から稼働システムへ進んだ今回の成果を、製造と運用の再現性につなげられるかが次の焦点となる。

元記事: Co-Packaged Optics Clears System-Level Proof: Wiwynn Runs Live AI Rack at OCP Summit

関連記事

最新記事