Windows 10の商用向けESU、初年度が終了 企業が確認すべき更新条件と移行策

2026年10月17日 01:03

Windows 10の商用向け拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)は、初年度の提供期間を2026年10月13日に終えた。対象端末で更新を受け続けるには、企業は2年目のESUを契約するか、Windows 11などへの移行を進める必要がある。個人向けESUの提供期間は2027年10月12日までだ。

■商用向けESUの初年度が終了

Windows 10の通常サポートは2025年10月14日に終了した。Microsoftの資料によると、商用向けESUはWindows 10のPro、Enterprise、Educationを対象とし、「緊急」と「重要」に分類されるセキュリティ更新を提供する。初年度は2026年10月13日、2年目は2027年10月12日、最終年の3年目は2028年10月10日に終了する。

Microsoftが示す商用向けの初年度価格は1台当たり61ドルで、価格は翌年以降、年ごとに倍になる。これを基にすると、2年目は122ドル、3年目は244ドルとなる。契約は累積方式で、2年目から購入する場合も初年度分の購入が必要だ。3年目を購入する際には、それ以前の年の契約も必要となる。

ESUには新機能、利用者が要望するセキュリティ以外の修正、一般的な技術サポートは含まれない。企業は端末ごとにWindows 10の版とESUの契約・適用状況を確認し、移行が必要な端末を洗い出すことになる。

■調査対象にはWindows 10端末が残る

IT資産管理会社Lansweeperが2026年7月に公表した、顧客環境の一部を対象とする分析では、Windowsクライアント端末の16.9%がWindows 10を使用していた。業種別の割合は医療・製薬で23.0%、消費財・小売で22.7%、製造業で18.0%だった。企業規模別では中小企業が21.4%、大企業が16.6%だった。

同社の調査では、端末ごとに検出された有効な脆弱性識別番号(CVE)はWindows 10で平均1903件、Windows 11で平均652件だった。Windows 10端末で検出されたCVEの66.6%は深刻度が「高」または「緊急」で、2.4%は実際の攻撃で悪用が確認されたものだった。これらはLansweeperの調査対象における値であり、個々の端末の危険度は構成や更新状況によって異なる。

Microsoftが公開する月例のセキュリティ修正は、攻撃者が変更箇所を解析する手掛かりにもなる。Lansweeperは、Windows 11向けの修正を解析し、Windows 10にも共通する欠陥を探す「パッチ差分解析」に言及している。ESUの適用状況を把握することは、こうした脆弱性への対応を考えるうえでも重要だ。

■利用状況の数字は対象を分けて見る

StatCounterの2026年6月のデータでは、世界のデスクトップWindowsの利用に占めるWindows 10の割合は約28%だった。これはウェブ利用に基づく指標で、企業が保有するPCの台数比率ではない。Lansweeperの16.9%とも調査対象と集計方法が異なる。

HPの2026会計年度第2四半期決算説明会では、最高財務責任者のKaren Parkhill氏が、同社の把握するインストールベースの約30%がなおWindows 10だと述べた。同社はWindows 11への移行をPC更新需要の一つと見ている。HPの数字も、世界のWindows PC全体に占める割合を示すものではない。

Lansweeperの調査対象では、Windows 10端末のうちWindows 11のハードウェア要件を満たさないものは2.8%だった。残る端末でも、業務アプリケーションの検証や展開計画が必要になる。特に専用機器と組み合わせて使う端末では、機器メーカーの対応状況も確認したい。

■Windows 11への移行とTPMの確認

Windows 11の主なハードウェア要件には、TPM 2.0、セキュアブートへの対応、対応CPU、4GB以上のメモリ、64GB以上のストレージがある。TPMは暗号鍵の保護などに使う仕組みで、独立した部品のほか、ファームウェアで実装される場合もある。Microsoftは、要件を満たすWindows 10端末へのWindows 11アップグレードを無料で提供している。

TPMを備えていても設定が無効な端末がある。Microsoftによると、設定画面ではIntel PTTやAMD fTPMなどの名称が使われる場合があり、UEFIの設定変更で有効化できる端末もある。互換性はMicrosoftの「PC 正常性チェック」アプリで確認できる。企業ではハードウェア要件に加え、利用するアプリケーションや周辺機器の動作確認も必要だ。

調査会社Canalysは過去に、Windows 11への移行に伴い、世界で最大約2億4000万台のPCが電子廃棄物になり得ると推計した。一方、Lansweeperの2.8%は、2026年に同社が調べたWindows 10端末のうちハードウェア要件を満たさない割合だ。対象と時点が異なるため、企業は自社の端末を調べたうえで、設定変更、OSの移行、機器の更新を選び分ける必要がある。

■個人向けESUは2027年まで

Microsoftは個人向けESUの提供期間を2027年10月12日まで延長した。対象は要件を満たすWindows 10バージョン22H2の個人用端末で、すでに登録した端末の期間は自動的に延長される。Microsoftアカウントに結び付くライセンスは最大10台に利用できる。

日本向けのMicrosoftの案内では、PC設定の同期による追加費用なしの登録、Microsoft Rewardsの1000ポイントとの交換、30ドルまたは現地通貨相当額に税を加えた1回限りの購入が示されている。登録画面は「設定」から「更新とセキュリティ」、「Windows Update」の順に開く。商用利用の端末や組織の管理下にある端末には、個人向けESUの利用条件をそのまま当てはめられない。

欧州経済領域(EEA)では、消費者団体EuroconsumersがMicrosoftによる個人向けESUの無料提供を公表している。地域ごとに登録条件が異なるため、日本の利用者はMicrosoftの日本向け案内に沿って選択肢を確認する必要がある。

■企業が取れる対応

Windows 10を使い続ける企業は、まず対象端末のESU契約を確認できる。初年度を購入済みの端末には2年目の購入を検討し、未購入の端末では累積契約に必要な費用を確かめる。Microsoftによると、商用向けESUはボリュームライセンスを通じて購入できる。

Windows 11を実行できる端末では、互換性と業務アプリケーションを確認して移行を進める。Windows 365はクラウド上のWindows 11環境を端末から利用する選択肢で、Microsoftは、有効なWindows 365契約でクラウドPCに接続するWindows 10端末にESUの利用権を提供すると説明している。Azure Virtual Desktop上の対象となるWindows 10仮想マシンにも、追加料金なしでESUが提供される。

古い業務アプリケーションなどのために残す端末については、利用目的と接続先を絞る方法がある。米ペンシルベニア州のCybersecurity Association of Pennsylvaniaは、旧式の端末を使い続ける場合、可能な範囲でインターネットや社内ネットワークから分離するよう勧めている。機器更新が必要な端末では、新しいPCの調達や、用途に応じた別のOSへの移行も検討対象となる。

Windows 10は2015年7月に登場し、通常サポートの終了後も多くの端末で使われている。商用向けESUの初年度終了は、企業にとって契約状況と移行計画を点検する節目だ。更新を継続する端末と移行する端末を区別し、それぞれの期限と費用を管理することが求められる。

元記事: Windows 10 Commercial Security Updates Expired, Leaving Enterprise PCs Exposed

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