クリーク・アンド・リバー社、中間期は大幅営業増益、ゲーム・医療好調で通期業績・配当予想を再上方修正

2026年10月16日 08:14

 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東証プライム)は、クリエイティブ分野を中心にプロフェッショナル・エージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、プロフェッショナル50分野構想を掲げて事業領域拡大戦略を加速している。27年2月期は10月8日付で業績予想および配当予想を上方修正(7月9日付に続いて2回目)した。ゲーム&ライツマネジメント、メディカル&ヘルスケアを中心に各事業が好調に推移し、コスト増加を吸収する見込みだ。中間期の計画超過分を上乗せした形であることを勘案すれば、3回目の上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は戻り高値圏から反落して上値の重い形となり、さらに中間期決算発表に対しても反応薄だが、低PERや高配当利回りも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開

 クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたプロフェッショナル・エージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、およびライツマネジメント(知的財産の流通)事業を展開している。

 事業領域としては8カテゴリ(ゲーム&ライツマネジメント、ブロードキャスティング&動画、プロモーション&マーケティング、メディカル&ヘルスケア、AI/DX・IT、プロフェッショナル・エージェンシー、Quality of Life、インキュベーション&デベロップメント)に展開している。26年2月期末時点でプロフェッショナル数46.3万人、クライアント数5.7万社のネットワークを構築していることが強みだ。

 直近のM&A・アライアンスとしては25年3月にバンダイナムコエンターテインメントと合弁でモバイルゲーム開発のURS Gamesを設立した。また子会社のC&Rインキュベーション・ラボ(22年10月に投資・事業承継事業を行う子会社として設立、現C&R EVERLASTING STORY、以下:C.R.E.S.)が、T&Wオフィス(手帳・日記・書籍等の企画・編集・出版業を展開する高橋書店グループの持株会社、以下:高橋書店グループ)を子会社化した。25年9月に子会社のプロフェッショナルメディアを吸収合併、25年10月に子会社のShiftallがDiver-Xの位置トラッキング技術「ContactTrack」に関する事業を買収、25年12月に同社およびC.R.E.S.がファンコミュニティ構築・運営大手のクオンと資本業務提携した。26年8月にはシステム受託開発を展開するリンクテックを子会社化した。

■事業シナジー強化

 事業シナジーを見越した資本参加としては、バイオベンチャーのCO2資源化研究所、アグリベンチャーのプラントライフシステムズ、不動産仲介プラットフォームのエージェント・グロース(事業上の通称はケラー・ウィリアムズ・ジャパン)、弁護士保険のミカタ少額短期保険、NFT関連のブロックチェーンエンターテインメント事業を展開するシンガポールDEA社、子ども向けオンライン世界旅行のMimmyなどに出資している。

 なお投資・事業承継事業を行うC.R.E.S.は、高橋書店グループおよびクオンのほか、劇団運営および公演のYTJ、クラウドシングルサインオンのインターナショナルシステムリサーチ、デジタル商社のStandage、スポーツコンバインや人材紹介のF&V、食品原料Web売買プラットフォームのICS-net、毛髪再生医療・次世代インプラントのオーガンテック、エンジニア派遣のネクサスホールディングス、IPO・IRテックのUniforce、経営・IRコンサルのストラテジー・アドバイザーズなどに出資している。なお26年10月にはオーガンテックが、スイスに拠点を置くバイオ医薬品企業であるSwiss Bioscience社と、毛髪再生技術の欧州展開に向けた戦略的協業に関するMOU(非拘束的基本合意書)を締結した。

■日本クリエイティブ分野が主力

 26年2月期(第2四半期より高橋書店グループのPLを新規連結)の分野別構成比は、売上高がプロデュース(開発・請負)47%、エージェンシー派遣28%、エージェンシー紹介10%、ライツマネジメント他16%、売上総利益がプロデュース41%、エージェンシー派遣18%、エージェンシー紹介28%、ライツマネジメント他14%だった。

 報告セグメント別構成比(調整前)は売上高が日本クリエイティブ分野64%、韓国クリエイティブ分野5%、医療分野9%、会計・法曹分野4%、CRES分野(事業承継等のアドバイザリー事業)10%、その他(新規事業)8%、営業利益が日本クリエイティブ分野59%、韓国クリエイティブ分野▲1%、医療分野29%、会計・法曹分野2%、CRES分野13%、その他▲2%だった。また日本クリエイティブ分野の領域別構成比は売上高が映像(テレビ・映画)30%、ゲーム41%、Web26%、電子書籍・版権3%、新規エージェンシー2%、その他▲1%、営業利益が映像22%、ゲーム44%、Web28%、電子書籍・版権10%、新規エージェンシー▲0%、その他▲4%だった。なおCRES分野は事業承継・M&A等を展開するC.R.E.S.を中心に、高橋書店グループを含めた全6社で構成されている。その他は新規事業等の18社で構成されている。

 事業領域8カテゴリ(同社10事業部門および34子会社)の構成比は、売上高がゲーム&ライツマネジメント29%、ブロードキャスティング&動画24%、プロモーション&マーケティング12%、メディカル&ヘルスケア9%、AI/DX・IT5%、プロフェッショナル・エージェンシー4%、Quality of Life4%、インキュベーション&デベロップメント13%、営業利益がゲーム&ライツマネジメント32%、ブロードキャスティング&動画15%、プロモーション&マーケティング14%、メディカル&ヘルスケア29%、AI/DX・IT3%、プロフェッショナル・エージェンシー1%、Quality of Life1%、インキュベーション&デベロップメント9%だった。

 収益面面の特性として、医療分野の収益は季節要因で第1四半期と第2四半期(特に第1四半期)に偏重する。また高橋書店グループの収益は、第2四半期(4~6月分を連結)が出版業界特有の商慣習によって出荷した商品の返品が集中する時期となるため営業損益が一時的に赤字となるが、第3四半期(7~9月分を連結)は手帳・カレンダーの出荷が本格化して売上高・営業利益とも大幅に増加する特性がある。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。

■プロフェッショナル50分野構想

 中長期成長戦略として「プロフェッショナル50分野構想」を掲げ、グループ資産を活用した商品・サービス・プロジェクト開発や事業領域拡大を推進している。株主還元については配当性向目標を30%水準としている。

 基本戦略としては、多岐にわたる専門分野を持つグループ会社が各事業の強みを伸ばしつつ、相互連携を通じてクライアントと社会に貢献する価値を創出する「連峰経営」を目指し、プロフェッショナル分野のさらなる深耕、プロフェッショナル人材をベースとしたプロデュース事業の展開、異分野のプロフェッショナルを掛け合わせたプロデュース事業の展開、経営人材を含むC&Rグループの営業資産を組み合わせた事業承継・M&Aを推進する。この4つの基本戦略に基づき、グループ会社相互の連携によるシナジー効果を高める。

 グループ資産を活かした商品・サービス・プロジェクトとしては、漫画家発掘・デジタル配信事業のプラットフォーム「漫画LABO」、クリニックの経営支援、メタバース関連のVR建築展示場「XR EXPO」、独自のVR映像配信技術を活用した低遅延VRリアルタイム配信システム・VR遠隔医療教育システム、AI需要予測「Forecasting Experience」、事業承継・M&A事業、アパレル分野のDXを支援する「sture(ストゥーラ)」、漫画に音楽や音声を融合した動画「モーションコミック」(プラットフォーム開発中)などがある。なお出資先である順天堂大学発ベンチャー企業ソラセンテスが開発する医用画像プログラム「TH―ZEY(ゼウス)」は、26年4月に一般財団法人日本品質保証機構(JQA)より医療機器認証を取得した。

 アグリカルチャー分野の子会社コネクトアラウンド(アグリテックを活用した新たな農業ビジネスを展開する目的で22年4月設立)は、23年2月に川崎市中原区で6次化農業・実習施設「FUN EAT MAKERS 武蔵新城」を開設した。また25年6月に福島県大熊町で農・食・滞在の複合施設「FUN EAT MAKERS in Okuma」をオープンし、26年1月末には来場者数が1万人を突破した。なお「FUN EAT MAKERS in Okuma」は「2026年度グッドデザイン賞」を受賞した。

 日本最大級のクリエイティブ開発スタジオ「C&R Creative Studios」では25年12月にアニメ専門チームを組成した。国内AIアニメ制作のトップランナーであるPuriPrinceとの連携のもと、アニメ制作に課題を抱える企業に対して高品質なアニメ制作体制を提供する。26年2月には「C&R Creative Studios」のグローバル戦略の一環として、ゲーム開発分野における世界有数の外部開発サービスプロバイダーであるROOM 8 GROUPと両社の協業に関するLOI(意向表明書)を締結した。26年5月には「C&R Creative Studios」を移転・拡張した。またグループのクレイテックワークス、forGIFT、URS Gamesも同ビルに移転した。これによってゲーム開発を中心とした部門が一堂に集結し、グループ連携の強化やゲーム周辺事業の拡大を目指す体制とした。

 AI/DX分野の深耕では、24年3月に開始した中堅・中小企業向けAI/DX運用・オペレーション業務導入サポート「DXの森」が順調に拡大している。24年9月にはAIチャットボットの提供を開始、25年6月には生成AIのプロフェッショナルに特化した人材サービスの提供を開始した。26年4月には子会社リヴァイが企業向け生成AI人材育成パッケージ「アイトレ」の提供を開始した。

 26年6月には会計分野の子会社ジャスネットコミュニケーションズが、クラウドパートナーズと業務提携して共同エージェント事業を開始した。26年9月には映像分野の子会社ウイングがアジアンドキュメンタリーズと業務提携した。またC.R.E.S.が大阪府松原市の「松原市地域活性化事業」を受託した。グループで食分野を手掛けるChef‘s valueおよびコネクトアラウンドとの3社共同で事業を推進する。26年9月には法曹分野の子会社C&Rリーガル・エージェンシーが、弁理士・知的財産領域に特化した転職支援サービスのWebサイト「知財弁理士転職.jp」を公開した。

■27年2月期業績・配当予想を2回目の上方修正

 27年2月期の連結業績予想については26年10月8日付で上方修正(26年7月9日付に続いて2回目)して、売上高が前期比8.3%増の665億円、営業利益が14.4%増の56億50百万円、経常利益が15.0%増の55億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が13.5%減の35億50百万円としている。

 配当予想についても26年10月8日付で期末1円上方修正(26年7月9日付の期末1円上方修正に続いて2回目の上方修正)して、前期比2円増配の52円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は31.0%となる。

 中間期の連結業績は、売上高が前年同期比14.1%増の320億58百万円、営業利益が32.7%増の27億60百万円、経常利益が34.4%増の27億60百万円だった。親会社株主帰属中間純利益は前期に高橋書店グループを連結化した際に生じた税金費用減少効果が一巡したため3.6%減の21億07百万円だった。前回予想(26年7月9日付の上方修正値、売上高315億円、営業利益25億50百万円、経常利益25億円、親会社株主帰属中間純利益16億円)を上回る大幅営業・経常増益で着地した。ゲーム&ライツマネジメント、メディカル&ヘルスケアが好調に推移したほか、高橋書店グループも寄与(前期は第2四半期よりPLを新規連結)した。

 営業利益6億80百万円増益の要因分析は、C&Rクリエイティブスタジオ移転・増床に伴う費用増加(一時費用・家賃増等)で4億60百万円減少、ゲーム子会社の収益貢献で1億87百万円増加、医師紹介事業の好調で3億38百万円増加、高橋書店グループの貢献で3億64百万円増加、本業(その他既存事業)の増益で1億84百万円増加、先行投資事業の収益改善で67百万円増加だった。なお高橋書店グループを除くベースでは売上高は8%増収、営業利益は12%増益だった。

 カテゴリ別(27年2月期より一部の事業を組み替えたため前期比増減率は遡及調整後)で見ると、ゲーム&ライツマネジメントは売上高が14.3%増の97億24百万円、営業利益が7.1%増の8億18百万円だった。ゲーム関連を中心に大幅増収となり、C&Rクリエイティブスタジオ移転・増床に伴う費用増加を吸収した。

 ブロードキャスティング&動画は売上高が8.6%増の74億30百万円、営業利益が14.1%減の2億37百万円だった。利益面は韓国子会社の苦戦により減益だったが、売上面はテレビ局向け人材派遣が堅調に推移した。

 プロモーション&マーケティングは売上高が3.9%増の44億02百万円、営業利益が10.2%増の4億07百万円だった。企業や官公庁等のプロモーション需要が高水準に推移した。25年10月にクオンと共同で立ち上げたAI駆動型ファンコミュニティモール「りろかる」は登録者数12.1万人、投稿数14.5万件へ成長した。10自治体・6団体が導入し、さらに複数企業がクロージング中である。

 メディカル&ヘルスケアは売上高が11.1%増の39億83百万円、営業利益が27.1%増の15億86百万円だった。医師紹介事業が順調に伸長して過去最高の業績となった。件数の増加に加え、単価の上昇も寄与した。

 AI/DX・ITは売上高が7.9%増の16億91百万円、営業利益が77百万円(前年同期は1百万円)だった。コンピューターサイエンス紹介事業などが好調に推移した。なお資本提携先のAI企業Intumit社(台湾)は25年7月にTPEx(タイペイ・エクスチェンジ)に上場した。

 プロフェッショナル・エージェンシーは売上高が5.3%増の12億56百万円、営業利益が5.2%増の57百万円だった。法曹関連(弁護士)の人材紹介が低調だったが、会計関連は復調に転じた。

 Quality of Lifeは売上高が4.3%増の13億82百万円、営業利益が33.2%増の54百万円だった。建築分野の収益が改善した。

 インキュベーション&デベロップメントは売上高が2.0倍の28億74百万円、営業利益が2億36百万円の損失(前年同期は5億69百万円の損失)だった。高橋書店グループ(前期第2四半期よりPLを連結)が寄与した。高橋書店グループ以外は先行投資段階である。なお高橋書店グループの業績は、第2四半期(4~6月分を連結)が出版業界特有の商慣習によって出荷した商品の返品が集中する時期となるため営業損益が一時的に赤字となるが、第3四半期(7~9月分を連結)は手帳・カレンダーの出荷が本格化して売上高・営業利益とも大幅に増加する。

 報告セグメント別(決算短信ベース)で見ると、日本クリエイティブ分野は売上高が9.9%増の210億03百万円で営業利益(全社費用等調整前)が0.2%増の13億37百万円、韓国クリエイティブ分野は売上高が15.0%増の16億12百万円で営業利益が24百万円の損失(前年同期は16百万円の損失)、医療分野は売上高が10.9%増の39億76百万円で営業利益が27.1%増の15億85百万円、会計・法曹分野は売上高が5.3%増の12億48百万円で営業利益が5.2%増の57百万円、CRES分野(前期第2四半期より高橋書店グループのPLを連結)は売上高が21億59百万円(前年同期は3億89百万円)で営業利益が1億50百万円の損失(前年同期は5億25百万円の損失)、その他の事業は売上高が14.8%減の20億57百万円で営業利益が38百万円の損失(前年同期は2百万円の損失)だった。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高170億34百万円で営業利益22億04百万円、第2四半期は売上高150億24百万円で営業利益5億56百万円だった。高橋書店グループの業績は第1四半期が売上高16億76百万円で営業利益2億93百万円、第2四半期が売上高3億85百万円で営業利益4億44百万円の損失だった。

 通期は前回予想(26年7月9日付の上方修正値)に対して売上高を5億円、営業利益を2億円、経常利益を2億円、親会社株主帰属当期純利益を1億円、それぞれ上方修正した。中間期の計画超過分を上乗せし、下期の計画を据え置いた形である。

 修正後のカテゴリ別の計画(27年2月期より一部の事業を組み替えたため前期比増減率は遡及調整後)については、ゲーム&ライツマネジメントの売上高が6.9%増の191億円で営業利益が8.4%増の17億25百万円、ブロードキャスティング&動画の売上高が2.9%増の145億円で営業利益が8.0%増の6億12百万円、プロモーション&マーケティングの売上高が6.1%増の92億円で営業利益が10.0%増の9億15百万円、メディカル&ヘルスケアの売上高が11.8%増の64億70百万円で営業利益が19.7%増の17億20百万円、AI/DX・ITの売上高が19.9%増の39億80百万円で営業利益が93.7%増の1億90百万円、プロフェッショナル・エージェンシーの売上高が6.4%増の25億円で営業利益が50.1%増の1億50百万円、Quality of Lifeの売上高が7.1%増の28億40百万円で営業利益が74.5%増の1億25百万円、インキュベーション&デベロップメントの売上高が24.3%増の99億45百万円で営業利益が84.4%増の8億80百万円としている。

 27年2月期は、親会社株主帰属当期純利益が前期の一過性要因の剥落により減益だが、売上高は各事業が順調に成長して増収、営業利益と経常利益はクリエイティブスタジオ移転・拡張に伴うコスト増加などを吸収して2桁増益予想としている。2回目の上方修正は中間期の計画超過分を上乗せした形であることを勘案すれば、3回目の上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度は26年2月期末より導入

 25年10月に株主優待制度導入を発表した。毎年2月末日時点で1単元(100株)以上保有株主に対して、同社の子会社である高橋書店の商品(カレンダー、手帳等の選択制)を贈呈する。26年2月28日対象より実施した。

■株価は調整一巡

 株価は戻り高値圏から反落して上値の重い形となり、さらに中間期決算発表に対しても反応薄だが、低PERや高配当利回りも評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。10月15日の終値は1418円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS167円77銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の52円で算出)は約3.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS902円86銭で算出)は約1.6倍、そして時価総額は約326億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事

最新記事