米マイクロン、第4四半期の売上高542億ドルで最高更新 顧客との長期契約は26件に
2026年10月2日 23:40
米半導体大手マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)は9月30日、2026年度第4四半期の売上高が542億3000万ドルに達したと発表した。四半期として6期連続の過去最高で、顧客との長期供給契約も拡大している。AI向け製品に加え、一般向けを含むDRAMとNANDフラッシュの需要が業績を押し上げた。
■過去最高の売上高、次四半期も更新を予想
第4四半期の売上高は前年同期比379%増、前四半期比31%増だった。1ドル=158円で換算すると約8兆5700億円となる。GAAPベースの営業利益は437億5100万ドルで、前年同期の36億5400万ドルから増加した。
非GAAPベースの売上総利益率は87.0%で、前四半期の84.9%を上回った。2026年度通期の売上高は前年比256%増の1331億9000万ドル、GAAP純利益は849億7000万ドル、営業キャッシュフローは896億8000万ドルだった。
製品別ではDRAMの第4四半期売上高が398億ドルで、全体の73%を占めた。NANDフラッシュは141億ドルで26%を占め、データセンター向けSSDの売上高は約100億ドルに達した。事業部門別では、Core Data Center部門の売上高が180億ドルとなり、Cloud Memory部門の約163億ドルを上回った。
2027年度第1四半期について、同社は売上高615億ドル、上下15億ドルの見通しを示した。非GAAPベースの売上総利益率は約86.25%、営業費用は約20億6000万ドル、希薄化後1株利益は38.15ドル、上下1ドルを予想する。
■長期供給契約は26件、残存履行義務は約1500億ドル
Micronが締結した戦略的顧客契約(SCA)は、9月30日時点で26件となった。同社によると、価格条件が定まっている契約に基づく残存履行義務は約1500億ドルに達する。これは契約で約束された数量と最低価格などを基に算出した将来の売上高で、顧客から受け取った現金の額ではない。
SCAは複数年にわたる引き取り義務付きの契約で、顧客には供給量の確保と価格の見通しを提供する。Micronは、契約が2030年までの売上高の35%超に相当すると見積もる。一部は2031年まで続き、既存契約のうち2件も2031年まで延長された。
契約から見込む売上高の約4分の3には価格の枠組みがあり、その多くに下限価格と上限価格が設けられている。残る約4分の1は市場価格を踏まえて定期的に価格を交渉する。顧客による金融コミットメントは契約の延長分を含めて320億ドルに増え、その大部分は現金預託金だと同社は説明する。
2026年度末にMicronの貸借対照表に計上された顧客の現金預託金は127億ドルだった。最低購入量を満たした顧客には、契約期間の後半に預託金を段階的に返還するという。サンジェイ・メロートラCEOは、SCAによって業績の持続性への確信が高まると述べた。
■HBM4の量産とメモリ供給の見通し
広帯域メモリ(HBM)は、DRAMの半導体チップを縦に積み重ね、シリコン貫通電極(TSV)で接続する。GPUの近くに配置し、広いデータ経路を通じて大量の情報をやり取りする設計だ。AIの学習や推論では、演算に使うデータをGPUへ送り続けるための帯域幅が重要になる。
MicronがNVIDIA Vera Rubin向けに量産出荷しているHBM4は、12層積層で容量36GBの製品だ。同社発表では、2048ビット幅のインターフェースにより、1スタック当たり毎秒2.8テラバイトを超える帯域幅を実現する。16層積層で容量48GBの製品も顧客向けにサンプル出荷している。
Micronは、2027年のHBM供給量の大部分について契約を終えたとしている。HBM4に続くHBM4EではNVIDIAとカスタム製品を開発しており、次世代GPUなどへの採用を予定する。DRAMの積層や接続、実装を要するHBMの増産には、半導体チップの製造能力に加えて後工程の能力も必要となる。
同社はDRAMとNANDの双方について、2027年と2028年も業界の供給が制約されると予想する。工場の新設計画を織り込んでも、需給が再び均衡する時期は見通せないという。こうした予想は同社の市場見通しであり、将来の価格を確定するものではない。
■韓国勢との競争と各地の増産計画
HBM市場ではSKハイニックス、サムスン電子、Micronが競う。調査会社Counterpoint Researchの売上高ベースの推計では、2025年第4四半期のシェアは順に57%、22%、21%だった。同社の推計では、サムスン電子は2026年第2四半期のDRAM市場全体で38%を占め、首位となった。
電力効率も競争の焦点だ。Micronは自社のHBM3Eについて競合製品より消費電力を最大30%抑えたとし、HBM4については同容量・同積層数の自社HBM3Eと比べて電力効率が20%以上向上したと説明する。比較対象と条件が異なるため、これらはそれぞれ同社が示した製品評価として捉えられる。
Micronの2026年度の純設備投資は273億7000万ドルで、第4四半期だけで107億7000万ドルに上った。米アイダホ州の第1工場は2027年半ば、第2工場は2028年後半に最初のウエハーを生産する計画だ。ニューヨーク州クレイでは2026年1月に大型工場群の起工式を開き、最初の工場のウエハー生産を2030年に見込む。
ニューヨーク州の計画は、20年以上かけて最大4棟の工場を整備し、クリーンルームを合計約240万平方フィートに拡張する構想だ。米国のCHIPS法に基づく最大64億ドルの直接支援は、ニューヨーク州とアイダホ州の工場などを対象とする。ニューヨーク州も事業期間を通じて最大55億ドルの優遇措置を用意している。
日本では、広島県東広島市の工場で新たなクリーンルームの建設が始まった。Micronの日本語発表によると、第一期の面積は約2万8000平方メートルで、製造装置の搬入は2028年後半を予定する。2026年度第4四半期の決算説明では、この拡張による最初の生産を2028年後半に見込むとした。
■契約拡大後も問われる供給能力
Micronの四半期売上高は、2026年度第1四半期の約136億ドルから第4四半期の542億3000万ドルへ伸びた。同社は2027年度についても、各四半期で売上高が前四半期を上回り、通期で過去最高を更新すると予想する。
長期契約は顧客の必要量を早い段階で把握し、生産計画を立てる助けとなる。一方、工場の初回生産から供給量が本格的に増えるまでには時間がかかる。今後の焦点は、契約で確保した需要に対し、建設中の工場とHBMの製造・実装能力をどの速度で立ち上げられるかにある。
元記事: Micron Posts Record $54B Quarter, Locks Hyperscalers Into $100B Memory Contracts