コルベア脚本の新「ロード・オブ・ザ・リング」、未映画化6章とトム・ボンバディルを描く
2026年9月20日 00:39
スティーヴン・コルベアが共同脚本を手がける「ロード・オブ・ザ・リング」の新作映画「The Lord of the Rings: Shadow of the Past(原題、仮題)」の開発が進んでいる。題材となるのは、「旅の仲間」の映画版で描かれなかった第3章から第8章までで、トム・ボンバディルや古森、塚山丘陵が物語に組み込まれる。
コルベアは2026年9月14日に開催された第78回エミー賞の終了後、記者団に対し、新作の執筆は「フルタイムの仕事」だと説明した。授賞式に出席する直前までニュージーランドに滞在していたことも明らかにしており、脚本開発が続いていることを示した。劇場公開日は発表されていない。
■映画で描かれなかった「旅の仲間」の6章
本作の企画は、ワーナー・ブラザースが2026年3月に発表した。脚本にはコルベア、その息子で脚本家のピーター・マギー、映画「ロード・オブ・ザ・リング」三部作に参加したフィリッパ・ボウエンが名を連ねている。
着想のもとになったのは、「旅の仲間」の第3章「三人寄れば」から第8章「霧の塚山丘陵」までの6章だ。フロド、サム、ピピンがホビット庄を出発し、黒の乗手やエルフたちと遭遇する場面に始まり、農夫マゴットとの出会い、クリクホロウでの仲間たちの計画、古森、トム・ボンバディルの家、塚山丘陵での危機へと続く。
2001年の映画「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」では、旅立ちからブリー到着までの展開が大幅に整理され、古森やボンバディル、塚山丘陵の物語は採用されなかった。新作は、この未映画化部分をそのまま再現するのではなく、後年の登場人物を描く枠物語と組み合わせる。
発表されたあらすじでは、フロドが旅立ってから14年後、サム、メリー、ピピンがかつての冒険の第一歩をたどり直す。一方、サムの娘エラノールは長く埋もれていた秘密を発見し、指輪戦争が始まる前に敗北寸前となった理由を突き止めようとする。
■歌によって世界に働きかけるトム・ボンバディル
未映画化部分を象徴する人物がトム・ボンバディルだ。古森では柳じじいに捕らわれたメリーとピピンを歌で救い、塚山丘陵でも塚人に捕らえられたホビットたちを助ける。韻律を伴う言葉と歌は、陽気な人物像を形作るだけでなく、周囲の存在に働きかける手段として描かれている。
この表現は、「シルマリルの物語」冒頭の創世神話「アイヌリンダレ」も連想させる。同作では、イルーヴァタールが示した主題をアイヌアが音楽として展開し、その音楽に示された世界が実在するものとなる。トールキンの神話世界では、音楽と言葉が創造の重要な位置を占めている。
もっとも、ボンバディルの正体や、彼が一つの指輪の影響を受けない理由について、トールキンは明確な答えを示さなかった。1954年の書簡では、神話の時代にも説明されない謎が必要であり、ボンバディルは意図的に残した謎の一つだとしている。
そのため、ボンバディルを特定の存在や宇宙論的原理の化身と断定するより、歌、言葉、土地との結び付きによって力を示す人物として捉える方が原作に即している。歌に世界が応答するという構造を、映像と音響でどう表現するかが、新作の特徴になりそうだ。
■物語の速度とは異なる魅力
古森から塚山丘陵までの章には、映画三部作の中心となった追跡や戦闘とは異なる時間が流れている。ホビットたちは道に迷い、土地に翻弄され、ボンバディルの家で休息し、自分たちよりはるかに古い歴史の痕跡に触れる。
塚山丘陵から脱出した際には、ホビットたちは古い塚から取り出された剣を受け取る。このうちメリーの剣は、後に魔王との戦いで重要な役割を果たす。映画版で省かれた物語は寄り道であると同時に、旅の後半へつながる出来事も含んでいる。
新作の枠物語では、指輪戦争を経験したサム、メリー、ピピンが、若いころに通った土地を再訪する。過去の冒険を知る人物が同じ場所に戻ることで、原作の出来事を描きながら、その後の記憶や喪失を重ねられる構成となる。
■コルベア、マギー、ボウエンが共同執筆
コルベアは長年にわたりトールキン作品の愛読者として知られ、映画「ホビット 竜に奪われた王国」にも出演した。今回の企画は、コルベアが息子のピーター・マギーと物語の枠組みを考案し、ピーター・ジャクソンに提案したことから始まった。
その後、映画三部作の共同脚本家であるフィリッパ・ボウエンが加わり、映画版の世界と原作の未映像化部分を結び付ける脚本開発が進められている。「Shadow of the Past」は現時点で仮題であり、監督、出演者、撮影開始時期、公開日は発表されていない。
本作は、アンディ・サーキスが監督し、ゴラムを再び演じる「The Lord of the Rings: The Hunt for Gollum(原題)」の後に続く企画として発表された。同作は2027年12月17日の全米公開が予定されている。
「Shadow of the Past」が目指すのは、単に映画版から削られた場面を補うことではない。歌と言葉、土地の記憶、説明されない謎を重視する原作の章を、既存の映画世界にどう組み込むかが焦点となる。脚本は現在も開発段階にあり、具体的な製作日程を含む続報が待たれる。
元記事: Tom Bombadil Sings Physics, Not Magic; Colbert Scripts Lord of the Rings Fix Now