Stoneridge、商用車向け集中型ECU「EVO ECU」を発表 安全重要機能を分離
2026年9月15日 19:23
Stoneridgeは、商用車向けの集中型電子制御ユニット(ECU)プラットフォーム「EVO ECU」を発表した。複数のECUに分散していた処理を集約し、安全上重要な機能を分離しながら、接続機能や遠隔ソフトウェア更新、効率的な診断などに対応する。ドイツ・ハノーバーで開催中のIAA Transportation 2026で、9月20日まで実車デモを行う。
■商用車向けに設計した集中型ECU
Stoneridgeは9月14日、商用車、バス、コーチ、オフハイウェイ車両向けの「EVO ECU」をIAA Transportation 2026で世界初公開した。会場のHall 21、Stand C44では、同社のInnovation Truckとシミュレーターを使って動作を紹介している。
商用車では、先進運転支援システム(ADAS)やカメラ、通信、ソフトウェアによる機能が増え、電子システムが複雑化している。EVO ECUは、従来は複数のECUが担っていた処理を集中型プラットフォームに統合し、システムの複雑さを抑えながら、診断や新機能の追加に必要な処理能力と拡張性を提供する。
Stoneridgeによると、EVO ECUは乗用車向けの構成を転用したものではなく、商用車特有の要件を前提にハードウェアとソフトウェアを一体的に設計した。ソフトウェアのモジュール化とサイバーセキュリティを開発上の重要項目とし、新たな機能を追加しながら安全上重要な機能を分離できる構成を採用している。
■Renesasなど3社と技術協力
EVO ECUは、Renesas Electronics、Green Hills Software、indie Semiconductorとの協力を通じて開発された。
Renesas Electronicsは、R-Carシステム・オン・チップ(SoC)、電源管理、プログラマブル・ミックスドシグナルの各技術を提供した。RenesasのHPC SoC部門バイスプレジデント兼責任者であるAish Dubeyは、「Stoneridgeの商用車に関する専門性とRenesasの技術を組み合わせ、コネクテッド化とソフトウェア定義化が進む商用車に向けた、拡張可能な車載グレードの基盤を構築する」と説明している。
Green Hills Softwareとの協力では、安全上重要な機能の分離を維持しながら、新たな機能を導入できる拡張可能なソフトウェアアーキテクチャーを実装したという。Stoneridgeは複数層のセキュリティ対策を採用し、重要な車両システムを保護しながら将来のソフトウェア拡張に対応する設計としている。
indie Semiconductorは、EVO ECUで使用する画像プロセッサの開発に参加した。プロセッサにはStoneridgeの技術チームの要件が反映され、商用車向けカメラに必要な処理性能、画質、拡張性を支えるよう設計された。
■更新と診断の効率化を支援
集中型アーキテクチャーの採用により、EVO ECUはソフトウェア更新の迅速化、診断の効率化、大規模なハードウェア変更を伴わない新機能の導入を支援する。
フリート事業者に対しては、強化された診断機能や遠隔ソフトウェア更新によって、車両の停止時間と保守作業の複雑さを抑えることを目指す。Stoneridgeのプロダクト・プロジェクトマネジメント担当グローバル・バイスプレジデント、Christian Leblancは、「EVOは、より迅速なトラブルシューティング、サービス中断の削減、車両のライフサイクルを通じた機能の継続的な改善を可能にする」と述べた。
プラットフォームは、極端な温度、振動、粉じん、長時間の連続運転といった商用車の厳しい使用環境を想定して設計されている。Stoneridgeは、自社の試験車両と顧客フリートの環境で実走行を含む検証を実施したとしている。
拡張可能な構成により、ADASのほか、追加のカメラ、センサー統合、将来のAI対応機能に必要な処理能力と接続性も提供する。
■MirrorEyeの新機能も公開
Stoneridgeは、EVO ECUを基盤とするMirrorEye Camera Monitoring Systemの新機能として、「Surveillance Mode」と「Surround View」も公開した。
Surveillance Modeは、車両の駐車中に周囲を監視する機能である。人物が車両に近づいたり、車内へのアクセスを試みたりすると警告を発し、映像を自動的に記録する。運転中だけでなく、駐車中の車両や積み荷の監視にもカメラシステムを活用する。
Surround Viewは、トラックとトレーラーを上方から見たような俯瞰映像を提供する。狭い場所での取り回しを支援し、運転者が車両周辺の状況を把握しやすくする機能として開発された。
同社によると、MirrorEyeは2020年以降、世界で20万システム以上を納入している。現在は世界の自動車メーカーによる6件のプログラムで展開され、さらに2件が2028年に始まる予定だ。
IAA TransportationのInnovation Truckでは、EVO ECUと新機能に加え、トレーラーの状態や追加のカメラ映像を表示するInteractive Central Display、Trailer Connectivity、Object Detection、Forward Trailer Safe Path、新しいCenter High Mounted Displayも展示している。
■接続機能の増加に対応する基盤
自動車の接続機能やソフトウェア更新が増えるなか、車両メーカーには製品のライフサイクルを通じてサイバーリスクを管理する体制が求められている。欧州連合では、UN Regulation No. 155に基づくサイバーセキュリティ要件が、2022年7月から新型車の型式認可に、2024年7月から新たに生産される対象車両全体に適用されている。
UN R155は、メーカーにサイバーセキュリティ管理システムの構築を求めるとともに、個々の車両型式について、電子・電気アーキテクチャーや外部インターフェースに関するサイバーリスクへの対応を型式認可の枠組みで確認する制度である。
Stoneridgeは、EVO ECUの安全上重要な機能を分離するソフトウェア構成と複数層のセキュリティ対策により、商用車の接続機能やソフトウェア機能を拡張するための基盤を提供する考えだ。
Stoneridgeの社長兼CEOであるNatalia Nobletは、「コネクティビティ、自動化、変化する規制が商用輸送を変えつつある。EVO ECUは、顧客のニーズに合わせて進化する柔軟なプラットフォームを提供し、顧客の適応を支援する」と述べた。
元記事: Stoneridge EVO ECU at IAA: First Commercial Truck Platform to Isolate Brakes From Connectivity