【どう見るこの株】イノベーション、黒字転換予想を上積み、PER約10倍・配当利回り4.78%に着目

2026年9月15日 08:19

■シャノンの収益改善で通期利益を増額、マド埋め後の反発と高値回復を探る

 イノベーション<3970>(東証スタンダード)は、前日14日に前営業日比4円安の836円と3営業日続落して引けた。ただ、連日の下げ幅は小さく、この日も取引時間中の安値830円から小戻しており、押し目買いが交錯した。8月14日に今2027年3月期第1四半期(2026年4~6月期、1Q)決算とともに発表した通期業績予想の上方修正が手掛かりとなっている。6月1日付の東証グロース市場から東証スタンダード市場への市場変更、中期経営計画の策定に続く材料として、業績のV字回復を評価する動きが期待される。

■通期利益予想を上方修正、純利益は2億2000万円の黒字へ

 今3月期の連結業績予想は、売上高を期初予想に据え置く一方、営業利益を1億5000万円、経常利益を1億4400万円、純利益を1億9500万円それぞれ引き上げた。修正後は、売上高70億3000万円(前期比0.9%増)、営業利益2億8000万円(前期は2億4800万円の赤字)、経常利益2億4000万円(同3億3400万円の赤字)、純利益2億2000万円(同4億5700万円の赤字)を見込む。期初から予想していた黒字転換の幅が拡大する見通しとなった。

■AIエージェント等によるアクセス増加、「ITトレンド」の来訪者数は前年並み

 オンラインメディア事業の主力「ITトレンド」では、生成AIの普及に伴う情報収集行動の変化が引き続き集客に影響している。一方、AIエージェント等によるアクセスも増加し、1Qの来訪者数は前年同期比4.3%減と、おおむね前年同期並みの水準を維持した。既存の資料請求モデルの収益に加え、月額サブスクリプションモデルによる継続収益の積み上げを進めている。

■全社的なコスト管理が奏功、シャノンの収益改善と税効果も寄与

 利益面では、全社的な原価や販売費及び一般管理費の見直しが奏功した。とくに、2025年1月に連結子会社化したシャノン<3976>(東証グロース)では、経営体制の見直し、不採算事業の整理、販管費の徹底管理によって収益性が改善した。シャノンも8月14日に2026年12月期の通期業績予想を上方修正した。同社による繰延税金資産の計上に伴う税効果も、イノベーションの連結純利益を押し上げる要因となる。

■中計は29年3月期売上高100億~120億円、CVCを通じた出資も推進

 中期経営計画では、最終年度の2029年3月期に売上高100億~120億円、営業利益14億~21億円を目標に掲げる。成長戦略の一環として、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドを通じた投資も進めており、量子AIクラウド事業を展開する企業や、超小型モビリティを開発するスタートアップ企業などへの出資を実施している。

■業績上方修正で975円まで急伸、その後は上昇分をほぼ打ち消す調整

 株価は、東証スタンダード市場への市場変更時に850円でスタートし、量子AIクラウド企業への出資や中期経営計画の策定を材料に867円まで上昇した。その後、AIの普及が既存のソフトウエア事業を脅かすとの「SaaSの死」への懸念が広がるなか、市場変更後の安値736円まで調整した。売られ過ぎとの見方から800円台を回復し、8月の業績上方修正を受けてストップ高を交え、市場変更後の高値975円まで急伸した。

■ゴールデンクロス後のマド埋め、25日線付近で下値を探る

 テクニカル面では、8月の急伸に伴い、25日移動平均線が75日移動平均線を上抜くゴールデンクロス(GC)を形成し、上昇基調への転換を示唆した。その後は上昇分をほぼ打ち消す「往って来い」の調整となったが、急伸時に開けたマドはほぼ埋まった。25日線付近で下値を確かめる動きが続いており、調整一巡から反発につながるかが焦点となる。

■PER約10倍、配当利回り4.78%、市場変更後高値の回復が焦点

 9月14日終値ベースの予想PERは約10倍、PBRは0.82倍、予想配当利回りは4.78%となっている。業績回復の進展と配当利回りを手掛かりに、株価の見直し余地が意識される。上値の節目は、まず市場変更後の高値975円、次いで今年2月の年初来高値989円だ。これらを上抜けば、2025年2月高値1252円が次の目安となる。(情報提供:日本インタビュ新聞・インベストメントナビゲーター:株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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