TSMC、8月売上高が53.3%増の約2.5兆円―AI半導体需要で4カ月連続の過去最高
2026年9月11日 10:26
半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)の2026年8月の売上高は前年同月比53.3%増の5148億600万台湾ドル(約2兆5100億円)となり、月次として過去最高を更新した。前月比では10.1%増で、過去最高を更新するのは5月から8月まで4カ月連続。生成AIを支えるデータセンター向け先端半導体の旺盛な需要が業績を押し上げた。
同社は世界最大の半導体受託製造会社で、世界各地で進むAIインフラ整備の中核を担っている。生成AIなどの高度な用途では膨大な演算能力が必要となるため、テクノロジー企業はデータセンターやAIアクセラレーターに数十億ドル規模の資金を投じている。これに伴い、高性能プロセッサーを製造する先端プロセスへの需要が拡大している。
台湾株式市場でTSMC株は10日、前日比15台湾ドル(0.61%)安の2450台湾ドル(約11900円)で取引を終えた。8月の売上高は同日の取引終了後に発表された。
同社は7月の第2四半期決算説明会で、AI関連需要が「極めて旺盛な状態が続いている」と説明した。第2四半期の純利益は前年同期比77.4%増の7065億6200万台湾ドル(3兆4400億円)、売上高は36.0%増の1兆2703億8100万台湾ドル(約6兆2000億円)だった。
TSMCは第3四半期の売上高について、446億~458億ドル(約6兆8800~約7兆円)を見込んでいる。予想の前提となる為替レートは1ドル=32台湾ドルで、売上総利益率は65~67%、営業利益率は56~58%を予想する。
同社は半導体受託製造市場で圧倒的な地位を維持している。調査会社TrendForceによると、2026年第2四半期の世界市場に占めるTSMCの売上高シェアは72.5%だった。2位のサムスン・ファウンドリーは5.9%、中国の中芯国際集成電路製造(SMIC)は5.4%で3位となった。
TSMCのシェアはサムスン・ファウンドリーの12倍を超える。先端プロセス分野で競合各社が同社に対抗することの難しさを示している。
AI需要も同社の優位性を支えている。TrendForceによると、AIサーバー向けGPUやXPUの旺盛な需要により、第2四半期にはTSMCの5/4ナノメートルおよび3ナノメートルプロセスの生産能力がフル稼働となった。
ファウンドリー業界全体にも需要拡大の恩恵が及んだ。世界上位10社の第2四半期売上高は前四半期比11.5%増の約534億9000万ドル(約8兆2500億円)となり、過去最高を更新した。AIや高性能コンピューティング(HPC)向けプロセッサーに使用する先端プロセスで、需要が供給能力を上回る状況が成長を支えた。
TSMCとオランダの半導体製造装置大手ASMLは8日、高NA極端紫外線(High NA EUV)露光技術向けのフォトマスクを大型化する共同構想を発表した。現行の6インチから12インチのフォトマスクへ移行し、製造設備の生産性向上や半導体製造コストの低減を目指す。
両社は2031年までに12インチフォトマスクの試作ラインを設け、2033年までに先端プロセスの量産に対応できる露光システムを整備する計画である。
TSMCはこれに先立ち、2030年から先端プロセスの量産にASMLの高NA技術を導入する。当初は現行の6インチフォトマスクを使用する。
高NA EUVは、半導体上に微細で複雑な回路パターンを形成するための技術である。AI用途で必要となるトランジスタ構造が複雑化するのに伴い、TSMCは高NA EUVを必要とする製造工程の層数が増えると見込んでいる。