VW、世界で計約10万人の人員削減に車種半減―欧州4工場は代替用途も検討

2026年9月5日 21:22

Volkswagen(VW)グループの監査役会は9月3日、追加で世界約5万人の人員を削減する必要があるとした「Future Plan 2030」を全会一致で承認した。すでに進めている約5万人の削減と合わせると、グループ全体の人員削減規模は約10万人に達する可能性がある。

計画には、2035年までに車種構成を約半分に絞り込み、装備仕様などの商品構成の複雑さを約75%減らす方針も盛り込まれた。欧州では需要を年間50万台以上上回る生産能力を抱えており、VWは2027年6月末までに競争力のある生産体制の構想を策定する。

ドイツのエムデン、ツヴィッカウ、ハノーバー、Audiのネッカーズルムの4工場については、2031~2034年に現在の生産車種が順次終了した後の競争力ある生産割り当てを確保できていない。工場閉鎖が決まったわけではなく、今後は新たな生産計画と並行して代替用途も検討する。

■追加約5万人の人員調整が必要

Future Plan 2030は、VWグループが「グループ史上、戦略的に最も踏み込んだ変革プログラム」と位置付ける包括的な再編計画で、12の取り組みから成る。経営陣が7月に提示した計画を基礎に、労働者代表や主要株主との協議を経て監査役会が承認した。

VWは、既存の削減計画に加えて、管理職を含む世界約5万人分の人員調整が必要になるとの分析を示した。ただし、追加削減を実施する地域やブランド、具体的な時期、削減方法は明らかにしていない。

すでに進行中の約5万人の削減と合わせれば、グループ全体の削減規模は約10万人となる。追加分がどの程度、自然減や早期退職などによって実施されるかも現時点では示されていない。

VWグループCEOのオリバー・ブルーメは、「これはVWグループの将来に向けた強いシグナルだ。私たちは全従業員、パートナー、そして世界の産業雇用に対する責任を負っている」と述べた。

■車種を半減し、年間900万台規模へ

計画では、2035年までにグループの車種構成を約50%削減し、装備仕様などの商品構成の複雑さを約75%減らす。残す車種に開発資源と生産台数を集中し、モデル当たりの生産規模を拡大するとともに、コストを引き下げる狙いがある。

VWは新型コロナウイルス感染症の流行前、年間約1200万台を前提に生産設備へ投資していた。その後、約200万台分の能力を削減しており、今後は市場需要に見合う年間約900万台規模の生産体制を目指す。

車台、電子アーキテクチャ、運転支援システム、ソフトウェアについては、欧米を中心とする市場と中国を中心とする市場の要求に合わせて集約する。研究開発、調達、生産、品質、販売、間接部門を対象とした全社的な効率化も進める。

組織面では、管理階層を減らして意思決定を迅速化するほか、グループの出資先や事業を戦略面と収益面から見直す。中核事業への貢献が明確でない事業は売却または再編し、出資・事業ポートフォリオを約3分の1縮小する方針だ。

■2030年に営業利益率9%を目指す

VWは2030年に営業利益率9%を達成することを主要な財務目標に掲げる。営業利益では約310億ユーロ(約5兆5800億円、1ユーロ=約180円換算)に相当する。

また、2027~2031年の設備投資と研究開発費について、計画上の目標を1350億ユーロ(約24兆3000億円)とした。個別の投資案件や研究開発費は、今後の通常の計画策定手続きを通じて精査し、監査役会へ提示する。

2025年の売上高は3219億ユーロ、営業利益は89億ユーロで、営業利益率は2.8%だった。営業利益は前年の191億ユーロから53%減少した。米国で2025年4月に引き上げられた輸入関税による追加費用は29億ユーロに上り、Porscheの製品計画見直しに伴う減損や関連費用も収益を圧迫した。

2026年第2四半期の売上高は824億ユーロ、営業利益は35億ユーロ、営業利益率は4.2%だった。営業利益は前年同期比9.5%減少しており、収益性は2030年の目標をなお大きく下回る。

中国では、VWの合弁2社による2025年の乗用車小売市場シェアが合計10.9%となり、BYDの14.7%、Geely Autoの11.0%に次ぐ3位へ後退した。VWは中国市場の成長見通しを見直すとともに、中国で開発・生産した車両の新興国などへの輸出拡大を図る。

■独4工場は将来の生産割り当てが未定

VWは、欧州の工場が現在の需要を年間50万台以上上回る生産能力を抱えていると説明している。この過剰能力への対応として、2027年6月末までに欧州工場の持続可能で競争力のある生産体制をまとめる。

焦点となるのは、エムデン、ツヴィッカウ、ハノーバー、ネッカーズルムの4工場だ。VWは、既存の生産車種が2031~2034年に順次終了した後について、競争力のある新たな生産割り当てを現時点では確保できていないとしている。

4工場の閉鎖は決定しておらず、VWは新たな車種の生産に加えて代替用途も評価する。IG MetallとVWの中央・グループ従業員代表委員会も、いずれの工場も放棄されておらず、すべての拠点について具体的な解決策を策定する必要があると強調した。

IG Metall会長のクリスティアネ・ベナーと従業員代表委員会トップのダニエラ・カヴァッロは共同声明で、経営陣と労働者側、ニーダーザクセン州が歩み寄ったことで対立の激化を回避したと説明した。そのうえで、必要な投資と技術革新を進め、各拠点の雇用を長期的に確保する責任は経営陣にあるとの立場を示した。

■対立回避を市場は評価

今回の合意では、経営側が検討していた臨時株主総会を通じて再編を進める構想が後景に退いた。Volkswagen乗用車部門と部品部門を分離する案も議論の対象から外れた。

一方、監査役会は、グループ全体にとって特に重要な案件を除き、事前承認の対象を絞り込む方向で権限を見直す。複雑な統治構造を簡素化し、意思決定を迅速にすることが目的である。

計画の承認を受け、9月3日のフランクフルト市場でVW株は7.9%上昇した。労働者代表やニーダーザクセン州との対立が再編を停滞させる事態を回避し、具体的な計画と期限が設定されたことが好感された。

ただし、Future Plan 2030が示しているのは再建に向けた枠組みであり、人員削減を実施する地域や4工場の将来、新しい生産車種などは決まっていない。2030年の営業利益率9%を達成するには、車種と組織の簡素化を収益改善につなげるとともに、中国市場での競争激化や米国の関税負担に対応する必要がある。

2027年6月末までに策定する欧州生産体制が、過剰能力をどのように削減し、4工場にどのような役割を与えるかが次の焦点となる。

元記事: Volkswagen Board Approves 50,000 More Job Cuts; Four German Plants Face June 2027 Deadline

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