ISSで史上6回目の女性2人による船外活動、メイヤー飛行士はNASA女性歴代3位に

2026年9月3日 01:53

欧州宇宙機関(ESA)のソフィー・アデノ宇宙飛行士とNASAのジェシカ・メイヤー宇宙飛行士は9月1日、国際宇宙ステーション(ISS)で米国船外活動99を実施した。女性2人による船外活動は史上6回目で、2人は宇宙船の航法に使う再帰反射器や船外カメラの交換、宇宙線観測装置の将来改修に向けた準備などを進めた。

船外活動は米国東部夏時間の午前8時40分(日本時間午後9時40分)に始まり、午後3時29分(日本時間2日午前4時29分)に終了した。活動時間は6時間49分だった。

今回が通算7回目の船外活動となったメイヤーは、NASAの女性宇宙飛行士ではペギー・ウィットソンの10回、スニータ・ウィリアムズの9回に次ぐ歴代3位となった。アデノにとっては3回目の船外活動で、3回の累計活動時間は19時間42分に達した。

■宇宙船の接近とドッキングを支える再帰反射器

主要任務の一つは、ISSの結合モジュール「ハーモニー」の前方ポートに設置された再帰反射器の交換だった。再帰反射器は、入射した光を光源の方向へ戻す受動型の光学装置で、接近する宇宙船がISSとの相対的な位置や距離を把握する際の航法補助に使われる。

アデノは故障した再帰反射器を取り外し、新しい装置を設置した。ISSに接近する宇宙船は、こうした光学的な目標を追跡することで、ランデブーやドッキングに必要な航法情報を得られる。

一方、メイヤーはISSのロボットアーム「カナダアーム2」に乗ってトラスへ移動し、故障していた高解像度カメラを予備品に交換した。船外カメラは、地上管制チームがISS周辺の状況や船外作業、接近する宇宙船を確認するために使われる。

■AMS-02の将来改修に向けた準備

メイヤーは、ISS外部に設置されたアルファ磁気スペクトロメータ(AMS-02)の将来改修に向けた準備にも着手した。AMS-02は、宇宙空間を飛び交う荷電粒子を測定し、宇宙線の組成やエネルギー、反物質などを調べる粒子物理学実験装置である。

AMS-02は約7.5トンの装置で、2011年5月からISSで観測を続けている。永久磁石で荷電粒子の進路を曲げ、その曲がり方と複数の検出器から得られる情報を組み合わせて、粒子の電荷や運動量などを測定する。

装置が記録した宇宙線事象は、2026年9月1日時点で2680億件を超えている。2026年6月に発表された研究では、リン、塩素、アルゴン、カリウム、カルシウムという5元素の宇宙線フラックスを精密に測定した。従来の成果と合わせると、AMSが測定した20元素は、剛性に対するフラックスの変化に基づき、一次宇宙線と二次宇宙線をそれぞれ二つに分けた計4分類で整理できることが示された。

今回の船外活動では、AMS-02の放熱用ラジエーターを将来交換するための初期作業を行った。ラジエーターは装置から生じる熱を外部へ逃がし、観測機器を適切な温度範囲に保つ役割を担う。

予定されていたガイドスタッドの設置は一部が残り、地上の技術者が今後の作業方法を検討することになった。電力・熱制御系のジャンパーケーブルについても一部を設置したが、残りの作業と緊急性の低い項目は今後の船外活動へ持ち越された。

■ISS外部の微生物を調べる試料も採取

アデノは、ISS外部に微生物が存在するかを調べる実験のため、クエスト・エアロック周辺や自身の手袋から綿棒で試料を採取した。この実験では、ISS内部の生命維持システムから放出された微生物が船外まで到達する可能性や、外部環境でどの程度広がるかを調べる。

船外活動の終盤には、アデノの左腕に動かしにくさが生じた。メイヤーが宇宙服を確認したところ、手袋用ヒーターの配線が左肩の関節付近に引っかかり、動きを制限していた可能性があることが分かった。関節部分を調整したことで問題は解消したとみられ、2人はクエスト・エアロックへ戻った。

■メイヤーは女性飛行士の船外活動回数で歴代3位

女性2人だけによる初の船外活動は、2019年10月18日にメイヤーとNASAのクリスティーナ・コックが実施した。その後、同じ2人が2020年1月に2回の船外活動を行い、2025年5月にはNASAのアン・マクレインとニコール・エイヤーズが船外で作業した。

メイヤーは今回の活動を終え、通算7回の船外活動を記録した。現在のCrew-12ミッションでは、3月、6月、8月、今回の9月と計4回の船外活動に参加している。

アデノは8月18日に初めて船外へ出て、フランス人女性として初の船外活動を達成した。8月25日の2回目に続き、今回が15日間で3回目となった。ESAによると、アデノは船外活動を行った33人目の欧州宇宙飛行士である。

アデノはマサチューセッツ工科大学で人的要因工学の修士号を取得し、フランス航空宇宙軍でヘリコプターの実験飛行に携わった経歴を持つ。ESAが2022年に選抜した宇宙飛行士候補の一人で、同年の選抜組では最初にISSへ到達した。

今回の活動は、ISSの組み立て、保守、更新を目的とする通算284回目の船外活動となった。長期運用を続けてきたISSでは、航法装置や映像設備などの維持と並行して、AMS-02のような科学機器を今後も活用するための改修準備が進められている。

元記事: Meir Sets Third-Place Women’s Spacewalk Record on Sixth All-Female ISS Excursion

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