世界で国債売り加速、日英の利回り数十年ぶり高水準―米イラン交戦で原油高
2026年9月2日 12:07
米国とイランの交戦再開を受けて原油価格が上昇し、世界の主要国で国債売りが加速した。エネルギー価格の上昇がインフレを再燃させ、各国の政策金利が高止まりするとの懸念から、日本と英国の国債利回りは数十年ぶりの高水準に達した。
1日の債券市場では、日本の長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが3%に達し、1996年以来の高水準を付けた。2年物国債の利回りも31年ぶりの水準まで上昇した。
売りは欧米の国債にも広がった。米10年物国債利回りは一時4.798%まで上昇し、2025年1月以来の高水準を記録した。終盤は前日比3.4ベーシスポイント高い4.792%となった。債券価格と利回りは反対方向に動く。
英国では10年物国債の利回りが5.24%を上回り、世界金融危機下の2008年以来の高水準となった。30年物国債利回りは約5.89%まで上昇し、1998年以来の水準を付けた。ドイツの10年物国債利回りも3.36%前後まで上昇し、15年ぶりの高水準となった。
債券市場への圧力が強まった背景には、ホルムズ海峡周辺における米国とイランの軍事的緊張の再燃がある。米軍は8月30日、イランのララク島にあるロケット発射装置2基を攻撃した。米当局者は、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡に機雷を投入するためのロケットを発射しようとしていたと説明した。イランはその後、ヨルダンにある米軍基地2カ所にミサイルを発射した。
ホルムズ海峡は紛争前、世界で消費される原油のおよそ5分の1が通過していたが、紛争に伴う攻撃や通航規制によって、海上輸送は深刻な影響を受けている。米財務省が1日に公表した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議長声明も、同海峡を含むエネルギー貿易の混乱に懸念を表明し、自由で安全かつ予測可能な航行が世界経済の持続的成長に不可欠だとした。
イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は1日、米国が6月の暫定合意に基づく義務の履行に戻れば、イランも直ちに応じると表明した。キルギスの首都ビシケクで開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議で述べた。暫定合意は米国とイランの戦闘終結に向けて締結されたが、履行方法を巡る対立から行き詰まった。
ドナルド・トランプ米大統領は8月18日、イランとの協議は行われておらず、予定もないと表明していた。9月1日には合意への信頼を示さず、イランが再び報復すれば、さらに大規模な攻撃を加えると警告した。
米国は金融面での圧力も強めている。スコット・ベッセント米財務長官は8月30日、イランとの取引を巡り、別の銀行を対象とする措置を週内に発表する方針を示した。「必要であれば、金融面で苛烈な措置を取る。われわれは関係者を把握しており、相手もそれを認識している。こうした行為は止めなければならない」と述べた。
ベッセント長官は1日にも、イランに対する経済圧力の一環として、銀行への制裁を週内に発表する可能性が高いと表明した。航空機リース会社やイラン革命防衛隊と取引する事業体も対象として検討し、革命防衛隊の資産を追跡していると説明した。
原油価格の持続的な上昇は、燃料費や輸送費を通じて幅広い消費者物価を押し上げる可能性がある。インフレ圧力が長引けば、中央銀行は利下げを見送ったり、追加利上げを検討したりする必要に迫られる。政府債務の増加と国債発行への懸念も、償還期間の長い国債の利回りを押し上げる要因となっている。
1日の原油先物市場では、北海ブレント先物が前日比4.16ドル、4.6%高の1バレル94.65ドルで終了した。米国産標準油種(WTI)先物は4.46ドル、5.2%高の90.22ドルとなり、いずれも約5週間ぶりの高値を付けた。
ベッセント長官は、米ノースカロライナ州アッシュビルで開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議で、米国債市場への懸念に反論した。トランプ政権発足以降、米国債は世界の主要国の債券市場を上回る成績を上げていると主張した。
ただ、CNBCによると、2025年1月の第2次トランプ政権発足後に限れば米10年物国債利回りは約18ベーシスポイント上昇しており、過去2年間の米国債の運用成績は主要国の中で中位にとどまる。
米財務省が主催した同会議は8月31日から9月1日まで開催された。議長声明では、中央銀行がそれぞれの責務に沿って物価安定と金融システムの強靱性の維持に取り組むことや、金融政策の運営には中央銀行の独立性が重要であることを確認した。