中国CXMTが次世代メモリ「LPDDR6」量産開始を発表、「Xiaomi 18 Fold」で採用へ―供給規模と実機性能が次の焦点
2026年9月1日 12:39
中国のメモリメーカー、ChangXin Memory Technologies(CXMT)は2026年8月29日、次世代モバイルメモリ「LPDDR6」の量産を開始したと発表した。最初の採用端末は、Xiaomiが9月に中国で発売する予定の折りたたみスマートフォン「Xiaomi 18 Fold」となる。
CXMTはLPDDR6の量産開始と採用端末を同時に明らかにしたが、生産量や製造歩留まりは公表していない。Xiaomi 18 Foldの発売後は、実機での動作速度や消費電力、安定供給の規模が焦点となる。
■CXMTが量産開始と採用端末を発表
CXMTは公式SNSを通じて、LPDDR6が量産段階に入り、Xiaomi 18 Foldに採用されると発表した。Xiaomiの創業者で会長兼CEOを務める雷軍氏も、同社の独自SoC「Xring O3」とCXMT製LPDDR6の組み合わせを確認している。
SK Hynixも2026年3月、同社のLPDDR6について開発検証を完了し、同年下半期に供給を始める計画を示していた。ただし、当時の発表では具体的な採用端末は明らかにされていなかった。
Xiaomi 18 Foldは中国で9月に発売される予定で、Xring O3を搭載する。Xiaomiは同じSoCを採用するタブレット「Xiaomi Pad 9 Pro Max」も9月に投入する予定だ。
■LPDDR6は転送速度とアクセス効率を改善
LPDDR6は、JEDECが2025年7月に公開したモバイル機器向け低消費電力メモリ規格「JESD209-6」である。JEDECの仕様では、1チャネル当たり24本のデータ信号を持つx24構成を基本とし、チャネル内部を二つの12-DQサブチャネルとして扱う。
32バイトと64バイトのアクセスを使い分けられるほか、動作状態に応じて電圧と周波数を調整する機能、部分的なリフレッシュ、ダイ内の誤り訂正やエラースクラビングなどを採用する。こうした設計は、データ転送の並列性を高めるとともに、処理内容に応じて消費電力を抑えることを狙ったものだ。
モバイル端末でAIモデルを動かす場合、プロセッサの演算性能だけでなく、モデルの重みなどをメモリからどれだけ効率よく読み出せるかが処理速度を左右する。LPDDR6の高い帯域幅とアクセスの柔軟性は、生成AI、画像処理、ゲーム、複数アプリの同時利用など、大量のデータを継続的に扱う処理に適した特徴となる。
■Xiaomiは最大113.8GB/秒の帯域幅をうたう
CXMTが公表したLPDDR6製品のピーク速度は12,800Mbpsで、最大容量はパッケージ当たり16GBとしている。一方、XiaomiはXring O3のLPDDR6インターフェースについて、10,667Mbpsで最大113.8GB/秒のメモリ帯域幅を実現し、Xring O1と比べて48%向上したと説明している。
12,800MbpsはCXMT製品の公称ピーク速度であり、113.8GB/秒はXring O3のメモリ構成に基づく帯域幅の公称値だ。両者は単位と測定対象が異なるため、同じ性能指標として直接比較することはできない。
また、これらは企業が公表した仕様値である。端末上で得られる実効帯域幅やアプリの処理速度、消費電力は、搭載容量、メモリ構成、ソフトウェア、冷却性能、処理負荷などによって変わる。Xiaomi 18 Foldの発売後には、市販端末を使った独立した検証が重要になる。
■Xring O3はXiaomiの第2世代スマートフォン向けSoC
Xiaomiは8月24日、独自開発したスマートフォン向けSoCの新製品「Xring O3」を発表した。スマートフォン向けの独自SoCとしては、2025年に投入したXring O1に続く製品となる。
Xiaomiによると、Xring O3は3nm世代の製造プロセスを採用し、240億個のトランジスタを集積する。CPUは10コア構成で、LPDDR6をサポートする。同社は自社環境で実施したAnTuTu v11の測定で522万8014点を記録したとしている。
TSMCがXring O3を製造することや、同SoCを搭載する折りたたみ端末の出荷目標が20万~30万個であることは、関係者の情報として報じられている。XiaomiとTSMCは、製造委託先や出荷目標について公には確認していない。
Xring O3とLPDDR6を組み合わせることで、Xiaomiはプロセッサ、メモリコントローラ、端末設計を一体で最適化できる。最初の採用が比較的出荷規模の限られる折りたたみ端末であることから、Xiaomi 18 Foldは新しいSoCとメモリを市場投入するための初期製品としての性格も持つ。
■量産規模と歩留まりは未公表
CXMTの2026年半期報告書では、LPDDR6のサンプルを主要顧客へ提供して検証を進め、量産化を加速していると説明していた。その後の公式SNSへの投稿で、量産開始とXiaomi 18 Foldへの採用が新たに発表された。
量産開始は、CXMTが製品を顧客向けに供給する段階へ進んだことを示す。一方、初期ロットの数量、製造歩留まり、月間生産能力、Xiaomi以外への供給計画は明らかにされていない。
CXMTが公表した12,800Mbpsという速度も、同社の製造装置だけから導かれる絶対的な上限と確認されたものではない。製造プロセスと達成可能な速度の関係には、回路設計、材料、製造工程、選別基準など複数の要因が関わるためだ。
今後の競争では、公称最高速度に加え、一定の品質を満たす製品を安定した歩留まりと価格で量産できるかが重要になる。Xiaomi 18 Foldへの採用はCXMTにとって具体的な前進だが、Samsung Electronics、SK Hynix、Micronと供給規模で競えるかは、今後の生産実績を待つ必要がある。
■CXMTは米国防総省の指定を巡り提訴
LPDDR6の発表に先立つ8月28日、CXMTは米国防総省による「中国軍事企業」指定の取り消しを求め、米コロンビア特別区連邦地方裁判所へ提訴した。
CXMTは訴訟で、自社は中国軍と関係がなく、DRAMを民生・商用向けに設計、製造、販売していると主張している。また、国防総省の判断は恣意的で、証拠上の裏付けを欠き、適正手続きに反すると訴えている。
CXMTは2025年1月に米国防総省のリストへ最初に掲載された。同社によると、国防総省は2026年2月にCXMTをリストから除外する内容の通知を一時公表したものの、同日中に撤回し、6月の更新で改めて掲載したという。
この指定は米国政府との一部契約や調達に影響するが、一般企業や消費者によるCXMT製メモリの購入を一律に禁止するものではない。また、CXMTを名指しした別の連邦調達規制も存在するため、今回の訴訟で指定が取り消された場合でも、すべての調達制限が自動的に解消されるとは限らない。
■実機性能と採用先の広がりが次の焦点
Xiaomi 18 Foldの発売後は、メモリ帯域幅、消費電力、発熱、長時間負荷時の性能などを市販端末で確認できるようになる。CXMTが公表したピーク速度と、Xiaomiが示した帯域幅が実際のアプリやオンデバイスAI処理にどの程度反映されるかが注目点だ。
CXMTの半期報告書は、LPDDR6の用途としてモバイル機器のほか、サーバーや自動車も挙げている。ただし、今回確認された採用先はXiaomiのモバイル製品であり、サーバー向けや車載向けには、それぞれの用途に応じた信頼性評価と顧客認定が必要になる。
Xiaomi 18 FoldとXiaomi Pad 9 Pro Maxが、LPDDR6の仕様を実製品で検証する最初の機会となる。
元記事: CXMT Ships LPDDR6 First: Xiaomi 18 Fold Arrives With Chinese Memory Inside