【分析】中国で国産半導体装置の採用比率が35%に―国産化進展も部品・露光技術に課題

2026年8月30日 23:34

中国の半導体工場で、国産製造装置の採用が拡大している。業界団体のデータを基にした複数の報道では、2025年の国産装置採用比率は35%に達し、2024年の25%から上昇した。国産化を支える装置メーカーの成長と政策支援、なお海外依存が残る部品・先端露光分野の現状を整理する。

■国家発展改革委員会が供給網の強化を強調

中国国家発展改革委員会の李超報道官は8月28日の記者会見で、集積回路分野について、個別技術の突破からサプライチェーン全体の産業連携へ移りつつあるとの認識を示した。国内で供給できる製造装置や材料の種類が増え、実際の生産現場での採用も広がっているという。

中国半導体行業協会のデータを基にした業界報道では、中国製半導体製造装置の国内採用比率は2024年の25%から2025年には35%へ上昇した。中国が2025年の目安としていた30%を上回ったとされ、エッチング装置と薄膜形成装置では国産比率が40%を超えたとの集計もある。

■エッチングや成膜、熱処理で採用拡大

国産化の進展が目立つのは、エッチング、薄膜形成、熱処理、洗浄などの工程である。北方華創科技集団、中微半導体設備、盛美半導体設備(上海)、拓荊科技などの中国メーカーが、国内半導体工場への装置供給を増やしている。

業界報道によると、北方華創の酸化・拡散炉は、中芯国際集成電路製造の28ナノメートル世代の生産ラインで採用が拡大した。拓荊科技のプラズマCVD装置も、長江存儲科技の3D NAND型フラッシュメモリー生産ラインで存在感を高めたとされる。

中微公司のエッチング装置については、台湾積体電路製造の先端プロセスで評価または採用されたとの情報が、同社幹部の発言や業界報道を通じて伝えられている。ただし、顧客ごとの採用規模や対象工程、他社装置との性能比較は公表されていない。量産ラインへの採用は技術力を測る重要な手掛かりとなるが、それだけで各社の装置が同等の性能を持つと判断することはできない。

■政策と投資資金が国産装置の採用を後押し

中国で国産装置の採用が伸びている背景には、企業の技術開発に加え、政府による産業政策と資金支援がある。

中国が新設・増設する半導体工場に対し、調達装置の少なくとも50%を中国製とするよう求めていることを、ロイターが2025年12月に関係者の話として報じた。この要件は公表された規則ではなく、先端製造ラインなど国産装置をそろえにくい案件には柔軟な運用もあるとされる。

国産装置の市場シェア拡大には、性能や価格だけでなく、こうした調達方針も影響している。採用比率の上昇は中国メーカーの技術的進展を反映する一方、政策によって国内製品の評価と導入が促されている面もある。

資金面では、中国が2024年に国家集成電路産業投資基金の第3期、通称「大基金3期」を設立した。登録資本金は3,440億元で、財政部が最大株主となり、中国開発銀行系の投資会社や国有大手銀行などが出資している。半導体製造装置や材料を含む国内供給網の整備が、今後も主要な投資先になるとみられる。

■完成装置の内側に残る海外依存

国産化率を考える際には、完成装置と、その内部で使われる部品を区別する必要がある。エッチング装置や成膜装置が中国企業のブランドで供給されても、高周波電源、精密真空バルブ、高純度石英部品、センサー、制御装置などを海外メーカーから調達している場合がある。

高周波電源は、エッチング装置などでプロセスガスからプラズマを生成し、その状態を制御するために使われる。精密真空バルブは、処理室内の圧力やガス流量を安定させる役割を担う。石英製の炉心管や部材も、熱処理や成膜などで重要になる。

こうした部品について、中国企業による国産化も進められているが、品目や用途によって技術水準と採用状況には大きな差がある。特に高い精度、耐久性、汚染管理が求められる先端工程向けでは、実際の量産環境で長期間にわたって性能を安定させる能力が重要になる。

米国の輸出管理は完成した製造装置だけでなく、仕様、輸出先、最終用途などの条件に応じて部品や関連技術にも及ぶ。すべての高周波電源や真空バルブが一律に規制されるわけではないが、装置本体を国産化しても、主要部品の海外調達が供給上の制約となる可能性は残る。

■先端チップでは露光装置が大きな制約

製造装置全体の国産比率が上がることと、最先端の半導体を安定して量産できることは同義ではない。中国にとって、とりわけ大きな制約となっているのが露光技術である。

最先端のロジック半導体では、オランダのASMLが商用供給する極端紫外線露光装置が広く使われている。オランダ政府は中国向けの極端紫外線露光装置の輸出を認めておらず、先端仕様の深紫外線露光装置についても輸出管理を強化してきた。

深紫外線露光と複数回のパターニングを組み合わせれば、極端紫外線露光装置を使わずに微細な回路を形成することは可能である。一方、工程数やマスク数が増え、位置合わせ、欠陥管理、製造コスト、歩留まりの面で難度が高くなりやすい。

エッチングや成膜、熱処理などの国産化は、既存工場の稼働継続や成熟プロセスの生産能力拡大に寄与する。より先端の半導体では、露光装置に加えて計測・検査装置、材料、設計ソフトウェア、工程統合などを含む複数の技術が量産能力を左右する。

■第15次5カ年計画で重要技術の開発を継続

中国が2026年3月に採択した第15次5カ年計画は、2026年から2030年までを対象とする。集積回路を戦略分野の一つに位置付け、重要な中核技術の研究開発と、産業全体の供給能力強化を進める方針を打ち出している。

装置の国産化は、輸出規制による供給停止の影響を抑えるうえで重要である。中国メーカーにとっては、国内工場への導入を通じて運用データを蓄積し、装置の信頼性や生産性を改善する機会にもなる。

今後の焦点は、完成装置の採用比率だけでなく、その内部で使われる重要部品、先端露光、計測・検査などの分野で、中国企業が量産実績をどこまで積み上げられるかにある。35%という採用比率は国産装置の存在感が高まったことを示す一方、中国の半導体供給網全体の自立度を判断するには、分野別の技術力と海外部品への依存を併せて見る必要がある。

■注目ポイントQ&A

●35%という国産装置採用比率は何を示していますか?

中国の半導体工場に導入された製造装置のうち、中国メーカーが供給した装置の比率を示す業界集計です。算定方法や詳細な品目構成は公開情報が限られており、装置内部の部品まで国産であることを示す数値ではありません。

●装置の国産化が進めば、先端AI半導体も自給できるようになりますか?

装置の採用拡大だけでは判断できません。先端半導体の量産には、露光、エッチング、成膜、計測・検査、材料、設計ソフトウェア、工程統合などが必要です。中国ではエッチングや成膜などで国産化が進む一方、先端露光装置へのアクセスは引き続き大きな制約となっています。

●「装置内部の部品」が重要なのはなぜですか?

高周波電源や精密真空バルブなどは、プラズマ、圧力、ガス流量を正確に制御するために欠かせません。完成装置を国内で組み立てられても、これらの主要部品を海外に依存していれば、供給停止や輸出管理の影響を受ける可能性が残ります。

元記事: China Chip Equipment Hits 35%; Vacuum Valves and RF Power Remain 80% Foreign

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