テスラを持たなくてもFSDを体験、オランダのカーシェアが限定試験を開始

2026年8月29日 18:20

オランダのカーシェアリング企業MyWheelsは、テスラの運転支援システム「Full Self-Driving(Supervised)」(FSD監視付き)を搭載したModel 3の試験運用を、2026年8月27日にスヘルトーヘンボス(通称デン・ボス)で開始した。MyWheelsは欧州のカーシェア事業者として初の導入だとしているが、当初の利用対象は少人数のテストユーザーに限られる。

今回の取り組みでは、テスラを所有していないカーシェア利用者がFSDをどのように扱うかに加え、車両損害や保険請求への影響を調べる。FSDは車両の操舵、加速、減速を支援するが、運転者が常時監視することを前提とするレベル2の運転支援システムであり、利用中も運転者が責任を負う。

■利用行動と車両損害への影響を検証

MyWheelsはオランダ国内で約3,000台の電動シェアカーを運営している。同社はまず1台のModel 3からFSDの試験運用を始め、利用状況を確認しながら対象車両を増やす方針だ。2026年末までに、FSDを利用できるテスラ車を少なくとも50台に拡大する計画を示している。

MyWheelsが調べるのは、利用者がFSDをどのように操作するかと、車両損害や保険請求にどのような変化が生じるかである。個人所有の車と異なり、カーシェアでは経験や運転スタイルの異なる利用者が次々に同じ車を運転する。そのため、運転支援システムへの習熟度の違いを含め、幅広い利用状況を観察できる。

当初、FSD搭載車を利用できるのは選ばれたテストユーザーだけで、利用者は最初の予約前に短い講習を修了する必要がある。FSDを作動させている間も、周囲の交通状況とシステムの動作を監視し、必要に応じて直ちに運転操作を引き継がなければならない。

MyWheelsのラウレンス・ファン・デ・ファイファーCEOは、将来的にはアプリで呼び出したシェアカーが利用者の元まで走行し、利用後は次の利用者へ移動するサービスを構想している。車両が利用者を待つ時間を減らし、カーシェアの稼働率を高める狙いがある。

同氏はNL Timesに対し、「これにまだ10年かかると言われても、私は信じない。5年以内に目にすることになると強く思っている」と述べた。これは同氏が示した将来予測であり、現時点でMyWheelsの車両が無人で利用者の元まで走行できるわけではない。

■オランダ当局がレベル2の運転支援として承認

オランダ車両当局のRDWは2026年4月10日、テスラのFSD監視付きを、オランダで使用できる運転支援システムとして型式承認した。RDWによると、テストコースと公道で1年半以上にわたってシステムを調査し、1,000回を超える試験走行を実施した。審査では、欧州でFSD監視付きを使用して走行した180万キロメートル分のデータも用いた。

承認は、ドライバーコントロール支援システム(DCAS)に関する国連協定規則第171号に基づく。同規則は、車両の横方向と縦方向の動きを継続的に支援するシステムを対象とし、運転者が周囲とシステムの動作を常時監視することを求めている。

RDWはFSD監視付きを「自動運転車」ではなく、運転者が制御する先進運転支援システムと位置づけている。システムは複数の運転操作を支援するものの、運転者は交通への関与を続け、必要な場合に直ちに操作を引き継ぐ責任を負う。

車内のセンサーは、運転者が道路を見ているか、必要なときにハンドルを操作できる状態かを監視する。注意が不足しているとシステムが判断した場合は警告を発し、反応がない状態が続けばFSDを一時的に利用できなくする。

RDWはテスラが提出したデータだけでなく、独自の測定機器を使った3,000時間以上の試験結果も審査した。テスラによるデータの収集方法と統計分析についても、データの完全性や検証可能性を確認し、RDWの専門家が独立して評価したとしている。

■FSD作動中も運転者が責任を負う

「Full Self-Driving」という名称から完全自動運転を連想しやすいが、欧州で承認されたFSD監視付きはSAEレベル2の運転支援システムである。車両は操舵、加速、減速などを同時に支援できるが、運転の主体はあくまで運転者にある。

国連協定規則第171号では、運転者の関与が不足した場合の警告機能や、システムの能力と限界を利用者に伝えることなどが求められる。カーシェアでは、利用者ごとにシステムへの理解や経験が異なるため、事前講習と車内の注意喚起が特に重要になる。

MyWheelsの試験は、こうした監視付き運転支援を、不特定多数が利用するカーシェアへ導入した場合の運用上の課題を調べるものとなる。個々の利用者の注意状態や操作の傾向に加え、車両損害や保険請求に変化が表れるかが、今後の導入規模を決める判断材料になる。

■カーシェアならではの利用環境

個人のテスラ所有者は、同じ車両とシステムを繰り返し利用しながら操作に習熟できる。これに対し、カーシェアでは初めてFSDに触れる人を含む多様な利用者が、異なる道路や気象条件の下で車両を運転する。

この違いにより、MyWheelsは、運転支援システムへの理解度や経験が異なる利用者がどのように反応するかを確認できる。特に、利用開始直後の操作、警告に対する反応、必要な場面での運転引き継ぎといった、人とシステムの関係が重要な検証対象となる。

同社は車両損害に関するデータも確認する。運転支援によって損害が減るのか、それとも不慣れな利用者による別の問題が生じるのかは、試験結果を待つ必要がある。MyWheelsは得られた結果を踏まえて、その後の展開規模を判断する方針だ。

■利用前に講習と対象車両の確認が必要

デン・ボスでFSD搭載車を利用するテストユーザーは、予約する車両が対象のテスラであることを確認し、初回利用前に指定された講習を終える必要がある。

走行中は道路から注意をそらさず、車内システムから警告が出た場合は速やかに対応しなければならない。ハンドルから手を離せる場面があっても、必要なときに直ちに操作できる状態を保つことが求められる。

MyWheelsはFSD搭載車に独自の追加料金を設定するかどうかを明らかにしていない。今回の試験は一般利用者への全面提供ではなく、限定された利用者と車両から始める段階的な導入となる。

試験の焦点は、カーシェア利用者が監視付き運転支援を安全に扱えるか、そして車両損害を含む事業上の指標にどのような変化が生じるかにある。少なくとも50台への拡大計画が予定通り進むかも、初期運用から得られる結果に左右される。

■注目ポイントQ&A

●FSDを作動させれば、運転者は道路を見なくてもよいのですか?

いいえ。FSD監視付きはSAEレベル2の運転支援システムです。運転者は常に道路とシステムの動作を監視し、必要な場合は直ちに操作を引き継がなければなりません。

●オランダの運転免許があれば誰でも利用できますか?

開始時点では、少人数のテストユーザーに限定されています。対象者は初回利用前に講習を修了する必要があり、一般の免許保有者すべてが直ちに利用できるわけではありません。

●カーシェアでFSDを試す目的は何ですか?

経験や運転スタイルの異なる利用者がFSDをどのように扱うかと、車両損害や保険請求にどのような影響が生じるかを確認することです。MyWheelsは、その結果を今後の導入規模を判断する材料にする方針です。

●FSD搭載車が無人で利用者の元まで来るのですか?

現段階では利用者自身が車両を受け取り、運転席でシステムを監視する必要があります。無人で利用者の元へ移動するシェアカーは、MyWheelsが長期的な構想として示しているものです。

●FSD搭載車には追加料金が必要ですか?

MyWheelsは、FSD搭載車に限定した追加料金の有無を明らかにしていません。

元記事: Tesla FSD Hits European Car Shares: Rent Supervised Autonomy Without Tesla Ownership

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