米国の半導体関税、サーバー・ノートPC・ゲーム機にも拡大か―免除制度の見直しを協議

2026年8月29日 17:02

トランプ政権が、半導体に対する新たな関税措置を検討している。Politicoが8月27日、協議を知る8人の関係者の話として報じた。検討案には、関税対象を半導体だけでなく、サーバー、ノートPC、ゲーム機など半導体を組み込んだ製品へ広げることが含まれるという。

2026年1月に導入された関税では、米国内のデータセンターや研究開発、スタートアップなどに使われる対象製品が適用除外とされた。新たな枠組みでこれらの免除が維持されるかは決まっておらず、税率、対象製品、導入時期を含む制度の詳細は今後大きく変わる可能性がある。

■半導体だけでなく完成品も対象に

Politicoによると、検討中の案の一つは、半導体に加えて、ノートPC、ゲーム機、データセンター向けサーバーなどに関税の対象を広げるものだ。政権は段階的な導入も検討しているという。

関税措置はまだ正式に発表されていない。ホワイトハウスは、半導体製造の米国内回帰がトランプ大統領の最優先事項の一つだと説明する一方、未発表の関税計画に関する報道は推測として扱うべきだとの立場を示した。

現在の制度は、2026年1月14日に署名された大統領布告11002号に基づく。布告は、通商拡大法232条に基づき、特定の高度なコンピューティング用半導体とその派生製品に25%の追加関税を課した。ホワイトハウスの説明資料は、対象例としてNvidiaのH200とAMDのMI325Xを挙げている。

一方、対象製品であっても、米国内のデータセンター、修理・交換、研究開発、スタートアップ、データセンター以外の消費者用途と民間産業用途、公共部門で使われる場合などは関税の適用外とされた。商務長官が米国の技術サプライチェーンや国内製造能力の強化に資すると判断した用途も免除対象になり得る。

布告は当初から二段階の対応を想定していた。第1段階では、対象を限定した25%の関税と各国・地域との交渉を進め、第2段階では、交渉の結果を踏まえて、より広範な半導体関税と米国内への投資を促す関税相殺制度を検討するとしていた。

■米国への投資と関税軽減を連動

Politicoによると、ハワード・ラトニック商務長官は、企業による米国内の半導体生産への投資と、関税を免除する輸入枠を連動させる仕組みを支持している。米国内で生産能力を整備する企業ほど、より多くの半導体を無関税で輸入できる制度が想定されている。

米国と台湾が2026年1月にまとめた貿易枠組みにも、同様の考え方が盛り込まれた。米国内で新工場を建設する台湾企業は、承認された建設期間中、整備する生産能力の最大2.5倍に相当する半導体とウェハーを追加関税なしで輸入できる。工場完成後の枠は米国での生産能力の1.5倍となる。

この方式は、米国内に工場を建設する企業への誘因になる一方、データセンターを運営するクラウド企業が必要とする半導体のすべてを免税枠で賄えるとは限らない。米国内の生産能力が拡大するまでには時間がかかるため、需要と免税輸入枠の間に差が生じるとの懸念が業界から示されている。

Computer and Communications Industry Associationのデジタル政策責任者、ジョナサン・マクヘイル氏は、データセンターの整備を「大陸横断鉄道の建設」になぞらえ、コストの上昇と先行きの不透明さが投資のリスクになるとPoliticoに語った。

■TSMCとSK hynixが米国投資を拡大

台湾積体電路製造(TSMC)は、アリゾナ州における投資計画を総額2650億ドルとしている。1ドル=160円で換算すると約42兆4000億円となる。同州では計10カ所の半導体工場、2カ所の先端パッケージング施設、研究開発拠点の整備が計画されている。

アリゾナ州当局によると、計画されたすべての工場が完成すれば、TSMCの2ナノメートル以降の先端半導体生産能力の約30%が同州に置かれる見通しだ。台湾を中心とする生産体制から米国への移行は進むものの、先端半導体の供給が短期間で全面的に米国内へ移るわけではない。

韓国のSK hynixも8月27日、インディアナ州ウェストラファイエットで、40億ドル超、約6400億円規模の先端パッケージング施設の起工式を行った。同社にとって米国初の高帯域幅メモリ(HBM)生産拠点となる。

同社の計画では、2028年10月までにクリーンルームを開設し、2029年後半に次世代HBMの量産を開始する。韓国で製造した先端ウェハーをインディアナ州へ送り、積層、パッケージング、試験を行ったうえで米国の顧客に供給する。

この生産工程は、半導体のサプライチェーンを一度に国内へ移すことの難しさも示している。米国でパッケージングを行う製品であっても、当面は韓国で製造されるウェハーと連携する体制になる。

■AIインフラ投資への影響

半導体関税をめぐる政策には、製造能力の国内回帰を促すことと、米国企業がAIインフラに必要な半導体を安定して調達できるようにすることの両立が求められる。

関税は輸入品のコストを高め、米国内での生産を促す手段となる。一方、米国内の生産能力が十分に整う前に対象を広げれば、海外から輸入する半導体やサーバーの調達費用が増える可能性がある。関税の負担が輸入業者、機器メーカー、データセンター運営会社、最終顧客の間でどのように分担されるかは、契約や市場環境によって異なる。

特にデータセンター向けサーバーが対象となれば、大規模なGPUクラスターを整備するクラウド企業やAI事業者に影響が及び得る。ノートPCやゲーム機などの完成品も対象になった場合、輸入・販売事業者のコストが増える可能性があるが、関税率や適用範囲が決まっていない現段階では、製品価格への具体的な影響は判断できない。

1月の大統領布告は、米国内のデータセンターで使用する対象製品を関税から除外することで、国内のAIインフラ投資への影響を抑えていた。現在の協議では、この免除を次の枠組みに引き継ぐかどうかが重要な論点となっている。

■制度の詳細はなお流動的

大統領布告11002号は商務長官に対し、米国のデータセンターで使用される半導体市場について、2026年7月1日までに大統領へ報告するよう指示していた。その内容は公表されていない。

Politicoの報道では、商務省当局者が業界との非公開協議で、1月に設けた免除が新たな措置には引き継がれない可能性を示したという。ただし、政権は方針を正式発表しておらず、税率、国・地域ごとの取り扱い、対象製品、免除制度、導入時期はいずれも確定していない。

米国への投資に応じて関税負担を軽減する制度は、海外の半導体メーカーに米国内での生産拡大を促す。一方、工場が稼働して十分な生産量に達するまでの間も、米国のデータセンター事業者は大量の輸入半導体を必要とする。この移行期間の需要をどのように支えるかが、新たな関税制度を設計するうえでの中心的な課題となる。

元記事: Trump Chip Tariff Phase 2 Targets Servers, Kills Data Center Carve-Outs

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