AIインフラのボトルネック解消へ、NvidiaのCPOスイッチ出荷とエコシステムの課題
2026年8月13日 17:15
Nvidiaは、AIインフラのボトルネック解消が期待されるCPO(Co-Packaged Optics)スイッチの生産・出荷開始を明らかにした。しかし、業界共通のテスト手法などが未整備なため、現時点では事実上、単一ベンダーのエコシステムに依存した調達となる。今後18〜24カ月を視野にネットワーク更新を計画するデータセンター事業者は、Nvidiaの独自エコシステムを採用するか、マルチベンダー環境の整備を待つかを判断する必要がある。
■ネットワークがAIインフラの新たなボトルネックに
Nvidiaのネットワーキング担当シニアバイスプレジデントであるGilad Shainerは、今週台北で開催されたOCP APAC Summitにおいて、同社のCPOスイッチ「Spectrum-6」が生産および出荷段階にあることを確認した。これはネットワーキング業界が長年待ち望んでいたマイルストーンである。しかし、同サミットで最も重要だったのは、別のステージでの発言かもしれない。世界最大級のチップパッケージング企業のシニアエンジニアは、この成果をマルチベンダー市場へ広げるために必要なエコシステムが、まだ存在しないと警告した。次期ネットワークファブリックの更新を検討しているハイパースケーラーは、明確な問いに直面している。Nvidiaの生産開始はCPOが調達可能な段階に入ったというシグナルなのか、それとも、広範なサプライチェーンがまだ解決していない課題を1社だけが解決したことを示すシグナルなのか、という点だ。
8月12日に台北南港展覧館2館(TaiNEX2)で閉幕した2日間のOCP APAC Summitには、クラウドサービスプロバイダー、半導体企業、先端パッケージング企業、シリコンフォトニクス分野のスタートアップ、オープンハードウェアの推進者が集結した。主要なOCPイベントでは初めて、TSMC、Applied Materials、ASE GroupがMicrosoft、Nvidia、Googleと並んで基調講演のステージに登壇した。これは、CPOの課題がサプライチェーンのどれほど上流にまで及んでいるかを示す象徴的な光景だった。
サミット冒頭で示された共通認識は、データセンターの主要なボトルネックが移行したというものだった。過去10年の大半において、AIインフラの拡張上限を決定づけていたのはGPUの供給と先端パッケージングの処理能力だった。しかし、OCP APAC 2026では議論が逆転した。GPU供給が正常化し、推論ワークロードによってAIコンピューティングがより広く展開されるなか、ワットあたりの帯域幅、ラックユニットあたりのポート数、そして大規模環境における銅線の物理的限界といったインターコネクト層が、新たな制約として浮上している。
Shainerは、AIファクトリーが拡大するにつれて、ネットワーキングがAIコンピューティングの中核になっていると端的に表現した。この見方の変化はバイヤーにとって重要である。GPUの調達に最適化されたデータセンターが、必ずしもエージェンティックAIの時代にも最適とは限らない。複数段階の自律的なタスクを制御するオーケストレーションのオーバーヘッドが、あらゆるワークロードでインターコネクトの負担を増大させるためだ。
■CPOの仕組みと銅線ケーブルの限界
CPOは、電気信号を光に変換する光エンジンを、スイッチのASIC(特定用途向け集積回路)と同じパッケージ内に直接統合する技術である。Nvidiaのシリコンフォトニクスのページで説明されているように、信号変換はスイッチのフロントパネルではなく、チップから数ミリメートルの位置で行われる。これにより、プラガブルトランシーバーモジュールに必要なデジタル信号処理用リタイマーが不要になり、消費電力をプラガブル方式の最大5分の1に抑えられる。
銅線がこの移行を促した理由は物理法則にある。現在のAIスイッチで必要とされる448G PAM4信号では、銅線ケーブルが確実に信号を伝送できる距離は約25センチメートル(9.8インチ)にすぎない。112Gでは、同じ銅線で2メートル(6.6フィート)まで届いていた。実用的な伝送距離の急激な短縮は製造上の欠陥ではなく、高周波の電気信号が導体内で減衰することによる根本的な制約である。比較的小規模なマルチラックAIクラスターであっても、448Gの銅線を引き回すにはリタイマーや信号調整用ハードウェアが必要となり、データセンターが本来コンピューティングに振り向けたい電力を消費してしまう。
これがコンピューティング効率に与える影響は測定可能である。Lightmatterのエコシステム開発ディレクターで、OCP Foundationの元最高技術責任者でもあるBijan Nowrooziは、OCP APACの参加者に対し、現在のAIトレーニングクラスターのModel FLOPS Utilization(MFU)はわずか38〜43%にとどまっていると語った。つまり、クラスターで利用可能なコンピューティング能力の半分以上が、生産的なAI処理ではなくインターコネクトのオーバーヘッドによって失われている。この数値を5億ドル(約795億円、1ドル=159円換算)規模のデータセンターに当てはめると、ネットワークが十分な速度でデータを供給できないため、常時約2億8000万〜3億1000万ドル(約445億〜493億円)相当のコンピューティング能力がアイドル状態になっている計算になる。
■Nvidiaによる世界初の商用規模CPOスイッチ
NvidiaのSpectrum-6 CPOの成果は、TSMCと数年間にわたり共同開発してきた製造プラットフォームに依存している。その基盤となるのがTSMCのCOUPE(Compact Universal Photonic Engine)プラットフォームである。Focus Taiwanの報道によると、COUPEはSoIC(System on Integrated Chips)スタッキングを使用し、電気ダイをフォトニックダイの真上に配置している。その結果、超低インピーダンスのダイ間インターフェースが実現し、電気から光への変換経路を物理的に可能な最短距離まで縮められる。
TSMCの先端パッケージング技術担当バイスプレジデントで、同社のCoWoS生産能力拡大を主導するJun Heはサミットで、COUPEの帯域幅密度を2026年の1ミリメートルあたり毎秒0.5テラビットから、2030年には同4テラビットへ高めるロードマップを示した。次世代マイクロリング変調器の微細化によって、4年間で8倍に改善する計画である。また同氏は、ウェハーレベルのテストプロトコル、ファイバーアレイユニットの統合、高速光パッケージングの組み立てという、業界全体ではまだ解決できていない3つの課題を挙げた。
初期採用企業には、CoreWeave、Lambda、Meta、Microsoft、Oracle Cloud Infrastructureが名を連ねている。Shainerが示したところによると、生産能力は2026年後半にかけて拡大すると予想されている。
■生産開始がバイヤーに意味するもの、意味しないもの
NvidiaがCPOスイッチを出荷していることは事実であり、重要な進展である。しかし、それだけではCPOが業界全体で調達可能になったことを意味しない。この違いは、2026年または2027年にネットワーク更新を計画しているすべてのインフラバイヤーにとって重要である。
世界最大級のOSAT(半導体組み立て・テスト受託企業)で、CPO製造チェーンにおいて不可欠な存在であるASE Groupのシニアテクニカルプログラムマネージャー、Nicole Tienは、OCP APACでエコシステムのギャップを明確に説明した。CPOはAIインフラの転換点となっているが、業界はこの技術に必要な共通テスト標準やシミュレーション基盤をまだ構築していないという。標準化されたウェハーレベルのテストプロトコルや、合意されたシミュレーション手法がなければ、ファウンドリ、OSAT、システムインテグレーター、ハイパースケーラーなど、サプライチェーンの各参加者が独自の検証プロセスを維持しなければならない。その結果、コストが増大し、本来なら価格低下につながる歩留まり改善の学習も遅れる。
Tienが示した区別は明確である。Nvidiaの生産は、厳密に管理され、共同開発されたサプライチェーン内で実現したTSMCとの深い二社間統合を反映している。その成果を、あらゆるハイパースケーラーが複数の競合ベンダーからCPOスイッチを調達できるマルチベンダーエコシステムへ広げるには、まだ完了していない標準化作業が必要である。複数の調達先が存在することは、実質的な市場競争とバイヤーの交渉力を生み出す条件でもある。
Third Bridgeの業界専門家らも、2026年6月に独立して同じ結論に達している。Nvidiaの展開だけでは、CPOが業界全体で採用可能になったことを示すには不十分だという。専門家らは、製造歩留まり、パッケージングの複雑さ、長期的な信頼性が引き続き課題であると指摘した。また、サプライチェーンの観点から、北米の大手クラウドプロバイダーが「短期的には主要な採用企業にならない可能性がある」と述べている。
共通テスト標準の不在は、些細な手続き上の問題ではない。NvidiaのCPOという現実の成果が、技術の普及ではなくベンダーロックインを加速させる可能性を生む構造的な要因である。現時点でCPOを導入するハイパースケーラーは、Nvidiaの独自エコシステムを通じて調達することになる。これはTSMCとの緊密な共同開発に基づくものであり、独立したサプライヤーが同じ仕様で再現できるプラットフォームはまだ存在しない。OCP標準のテストフレームワークが整うまで、バイヤーの選択肢は「Nvidiaのエコシステムを採用するか、待つか」となる。
■プラガブル光モジュールの限界まで「18カ月」の猶予
まだCPOの調達を検討していない大多数のバイヤーにとって、OCP APACからの最も明確なシグナルは、Arista Networksの共同創業者兼チーフアーキテクトであるAndy Bechtolsheimの発言だった。同氏は、現行世代のフロントパネル型プラガブル光モジュールに具体的な期限を示した。プラガブル光モジュールは49.6Tスイッチ世代で密度の上限に達すると述べ、その転換点を約18カ月後と見積もった。その密度では、高性能AIスイッチングに必要なポート数を、スイッチシャーシのフロントパネルに取り付けたモジュールで実現できなくなる。
BechtolsheimがXPO(eXtra-dense Pluggable Optics)のマルチソースアグリーメントに関与していることは、同氏が示した時間軸の信頼性を支えている。Microsoft、Marvell、Broadcom、Cienaなど100社以上が支持するXPOは、現在のOSFPモジュールより大幅に高い光接続密度を実現する。Bechtolsheimによると、各XPOモジュールはOSFPの毎秒1.6テラビットに対し、毎秒12.8テラビットの帯域幅を提供する。XPOは、保守可能なプラガブル方式の時代をスイッチ1世代分延ばし、ASEのTienが未完成だと指摘したCPOエコシステムの標準化に必要な時間を確保しようとする業界の取り組みである。
パネルディスカッションでは、銅線に対するNvidiaの慎重な立場も示された。同社は、物理的に銅線を使用できる場面でも、無条件に光へ置き換えることを提唱しているわけではない。「例えばNVLink 72やNVLink 144を構築していて、それが銅線で接続可能な範囲に収まるのであれば、私は銅線を選ぶ」とShainerは述べている。媒体を決めるのは思想ではなく物理法則である。448Gの銅線が届く25センチメートル(9.8インチ)を超える、NVLink 1152のようなマルチラックのスケールアップトポロジーでは、CPOが構造的に必要となる。
■オープン標準化に向けたLightmatterの取り組み
Tienが指摘したエコシステムのギャップを埋めるための最も直接的な試みは、Lightmatterが2026年3月のOptical Fiber Communication ConferenceでOCP内に立ち上げた共同ワークストリームである。複数ベンダーのプラットフォーム間で相互運用可能なCPOのオープン仕様を策定することを目的としている。
NowrooziのOCP APACセッションでは、このイニシアチブの技術アーキテクチャが詳細に示された。OCPのModular Hardware SystemとOpen Rack v3仕様を拡張する、特定技術に依存しないフォトニックインターコネクトの枠組みである。インターフェース仕様と、フェースプレート、光分配フレーム、ケーブル経路、外部レーザー用SFFプラガブルシェルフなどのパッシブインフラを定義する。リンクプロファイルは、DR単一波長構成から高密度波長分割多重による16波長リンクまでを対象とし、アクセラレータおよびスイッチプラットフォーム向けのCPO、ニアパッケージオプティクス、XPO、CPX光エンジンの各クラスをカバーする。
目標は野心的である。スケールアップ構成におけるアクセラレータ数を72基から1,024基超へ拡大し、MFUを現在の38〜43%から55〜65%へ引き上げ、ビットあたり5ピコジュール未満のエネルギー効率を実現する。また、世代に依存しないファイバーインフラを採用することで、現在の物理インフラへの投資がCPOスイッチの世代交代時に無駄になるのを防ぐ。すでに50社以上のアジア太平洋地域のサプライヤーがAI Modular Hardware System機器を製造しており、このセッションには各社を相互運用性ワークストリームへ参加させる狙いもあった。
このイニシアチブは、あらゆる業界標準化プロセスに共通する課題に直面している。商業上の緊急性に応えられる速度で進めながら、相互運用性に必要な合意も形成しなければならない。Lightmatterが2026年3月に開始した取り組みには、すでにCelestica、Corning、Dell Technologies、Flex、Foxconn Interconnect Technology、Hyve Solutions、Keysight、Qualcomm Technologies、Quanta Cloud Technologyが参加している。このコンソーシアムが、ASEのTienが説明した製造現場の実情に合う仕様をどれだけ早く策定できるかによって、12〜24カ月とされるエコシステムのギャップが縮小するか、さらに広がるかが決まる。
■エージェンティックAIがもたらすCPU需要の変化
サミットではネットワーキングの議論が注目を集めたが、AMDのセッションでは、データセンター計画を複雑にする別の構造的変化が紹介された。チャットボット型のプロンプト応答AIから、複数段階のタスクを自律的に計画・実行するエージェンティックAIへ移行することで、GPUに対するCPU需要の比率が大幅に高まると予想されている。AMDは、エージェンティックAIのワークロードがホストプロセッサに、より大きなオーケストレーション処理とメモリアクセスの負担を課すため、従来のデータセンターにおけるGPU4基にCPU1基という比率が、GPU2基にCPU1基、さらには1対1に近づく可能性があるとの分析を示した。
この主張は、AMDの最近のデータセンター部門の業績とも整合する。同社は2026年第1四半期に、EPYCとInstinctの導入が過去最高となったことを背景に、データセンター部門で過去最高の58億ドル(約9222億円)の売上高を計上した。エージェンティックAIによるCPU需要の増加という見方は、CPOの議論とも実務上関係する。トレーニングワークロード向けの高密度GPUクラスターに最適化されたネットワークファブリックと、推論時のエージェンティックなオーケストレーションに最適化された設計は同じではない。エコシステムの成熟を待ってCPOの判断を先送りしたバイヤーは、マルチベンダーCPOが利用可能になる頃にはワークロード構成が変化し、いずれにしてもネットワークアーキテクチャを再評価する必要が生じているかもしれない。
MiTAC Computingはサミットで、AMDと協力し、第6世代AMD EPYCプロセッサに対応する最新のOCP準拠HPCサーバー「C2810Z6」と「C2610Z6」を発表した。PCIe Gen 6接続に対応するSP7/SP8プラットフォームを採用し、最大96基のAMD Instinct MI355X GPUを搭載する52Uの高密度AI水冷ラック構成も含まれる。MiTACは、これらのシステムをラックスケールのエージェンティックAIワークロード向けに設計したとしている。
■エネルギー効率という根本的な制約
Applied Materialsのシステム・トゥ・マテリアル担当コーポレートバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるSubi Kengeriは、基調講演で問題をより大きな枠組みから捉えた。AIインフラ拡張の根本的な制約は、コンピューティングのスループットでも、インターコネクトの帯域幅だけでもなく、エネルギー効率だという。ラックの電力密度が100キロワットを超え、200キロワット超の構成へ向かうなか、シリコンレベルでの材料やプロセスの選択は、データセンターの電力予算に直接影響する。この電力予算は、許認可上の制限、送電網の容量、前世代向けに設計された冷却インフラによって、すでに制約を受けている。
Applied MaterialsがTSMC、Nvidia、ハイパースケーラーの代表者と並んで基調講演に登壇したこと自体、OCPイベントとしては異例だった。その参加は、CPOの課題がサプライチェーンのどれほど上流に及んでいるかを反映している。CPOは、ソフトウェアで実現できるアップグレードでも、スイッチ前面のモジュール交換でもない。ファウンドリ装置からシステム統合までの各レベルで、材料、パッケージング、システムを同時に協調設計する必要がある。
■台湾の役割:単なる組み立てからエンジニアリングパートナーへ
2日間を通じた共通テーマの一つは、新たなCPOサプライチェーンにおける台湾の立場だった。Shainerは台湾を単なる組み立て拠点ではなく、CPO製造プロセスの開発におけるエンジニアリングパートナーと位置づけた。TSMCのCOUPEプラットフォームとCoWoSベースのCPO統合は、Nvidiaとの長年にわたる共同開発によって生まれた。主要OSATであるASEの立場は、パッケージングおよびテスト層で大きな影響力を持つ。ASEのTienは傍観者として警告したのではなく、すべてのCPOスイッチが通過しなければならない製造チェーンの内部から発言していたのである。
OCPの最高経営責任者であるGeorge Tchaparianは、この機会を明確に表現した。CPOは台湾に対し、製造とパッケージングの専門知識を、世界のAIインフラにおける構造的な地位へ転換する道を提供する。米国の半導体企業から渡された設計を実行する請負業者としてではなく、次世代データセンターのアーキテクチャに不可欠なエンジニアリング拠点としての地位である。
LightmatterのNowrooziは、すでに50社以上のアジア太平洋地域のサプライヤーがAI Modular Hardware System機器を製造していると指摘した。各社がオープンなフォトニクス標準化ワークストリームに加われば、ASEのTienが未完成だと指摘したマルチベンダーエコシステムの構築を早められる可能性がある。
■120億ドル規模の市場と今後のネットワーク更新に向けた指針
こうした判断の背景には、初期のクラウド構築期以降で最も速いペースで成長している市場がある。Dell'Oro Groupによると、世界のデータセンターインフラ市場は2026年第1四半期に前年同期比28%増となり、メーカー売上高は120億ドル(約1兆9080億円)に達した。AIコンピューティング需要に牽引され、20%を超える成長は5四半期連続となった。Dell'Oroは市場見通しを引き上げ、2027年初頭まで20%台前半の成長軌道が続くと予想している。
市場が成長するほど、CPOエコシステムの空白が及ぼす影響も積み上がる。共通テスト標準が整備されない四半期が続くたびに、バイヤーはNvidiaの独自エコシステムを受け入れるか、光ネットワーキングへの移行を延期するかという選択に直面する。LightmatterのMFUデータは、延期にも代償があることを示している。現在は、購入したコンピューティング能力の約57〜62%がインターコネクトのオーバーヘッドによって活用されていない。5億ドルをクラスターに投じる大規模インフラバイヤーにとって、これは実効コンピューティング能力で2億8500万〜3億1000万ドル(約453億〜493億円)相当の損失となる。原理上は、インターコネクトのボトルネックが解消されれば回復可能な能力である。
2026年後半にAIネットワークインフラを評価するハイパースケーラーや大規模企業のバイヤーにとって、OCP APAC Summitが発した総合的なシグナルは明確である。NvidiaのCPOスイッチは生産・出荷段階にあり、Lightmatterがまとめたハイパースケール生産データによると、平均故障間隔は260万時間とされている。プラガブルトランシーバーと比べて消費電力を最大5分の1に抑えられるとされ、初期採用企業にはCoreWeave、Lambda、Meta、Microsoft、Oracle Cloud Infrastructureが含まれる。ハイパースケーラーとネオクラウドの双方に採用企業が広がっている。
しかし、このマイルストーンから、競争力のあるマルチベンダーCPO市場が存在すると推測してはならない。そのような市場はまだ存在しない。ASEのTienが指摘したテスト標準とシミュレーションフレームワークの不在は、単なる業界団体の主張ではない。独立したOSAT事業者が共通標準に基づいてCPOサプライチェーンを認定できないという、実際のエンジニアリング上の空白である。このギャップが埋まるまで、CPOの調達は事実上の単一ソース調達となり、それに伴う価格面の影響や依存リスクを抱える。
Bechtolsheimがプラガブル光モジュールの実用的な高密度化の限界まで約18カ月としたことは、バイヤーに具体的な計画期間を示している。ネットワーク更新が18カ月以内に予定されている場合、XPOとCPOのどちらを選ぶかは差し迫った判断となる。XPOは保守可能でマルチベンダーに対応する一方、物理的な密度の限界に近づいている。CPOはより効率的だが、現時点では事実上単一ソースであり、エコシステムの課題は解決途上にある。更新が24カ月以上先であれば、OCPとLightmatterが構築を進めるマルチベンダーCPOエコシステムが、実質的な選択肢を提供できる段階まで成熟している可能性がある。
■注目ポイントQ&A
●CPO(Co-Packaged Optics)とは何ですか? プラガブルトランシーバーとはどう違うのですか?
CPOは、電気信号を光に変換する光エンジンを、フロントパネルに取り付ける独立したプラガブルトランシーバーモジュールに収めるのではなく、スイッチチップ(ASIC)と同じパッケージ内に直接統合する技術です。これにより、チップと光変換地点の間の電気的な経路がセンチメートル単位からミリメートル単位へ短縮され、プラガブルモジュールに必要なデジタル信号処理用リタイマーが不要になります。消費電力はプラガブル方式の最大5分の1に抑えられます。一方、保守性には課題があります。CPO設計で光エンジンが故障した場合、故障したモジュールだけを交換するのではなく、通常はスイッチ全体を交換する必要があり、修理には数分ではなく数時間を要します。
●NvidiaのCPOスイッチが生産・出荷されているのに、専門家がCPOの広範な普及まで12〜24カ月かかると言うのはなぜですか?
Nvidiaの生産は、TSMCのCOUPEプラットフォームと緊密に統合した共同開発の成果であり、管理されたサプライチェーン内での長年の協力によって実現したものです。あらゆるハイパースケーラーが複数の競合メーカーからCPOスイッチを調達できるマルチベンダーエコシステムで同じ成果を実現するには、業界がまだ確立していない共通テスト標準とシミュレーション手法が必要です。ASE GroupのシニアテクニカルプログラムマネージャーであるNicole Tienは、OCP APAC 2026で、こうした標準はまだ存在しないと明言しました。標準がなければ独立系サプライヤーは共通の基準に基づいてCPO製造を認定できません。このため、現在のバイヤーは競争力のあるマルチベンダー市場ではなく、Nvidiaのエコシステムを利用する事実上の単一ソース調達に直面します。
●XPOとは何ですか? CPOへの移行においてなぜ重要なのですか?
XPO(eXtra-dense Pluggable Optics)は、Arista、Microsoft、Marvell、Broadcom、Cienaなど100社以上が支持するマルチソースアグリーメントです。現在のOSFPモジュールより大幅に高い光接続密度を、交換可能なプラガブルモジュールで実現することを目指しています。各XPOモジュールは、OSFPの毎秒1.6テラビットに対し、約12.8テラビットの帯域幅を提供します。Aristaの共同創業者であるAndy Bechtolsheimは、XPOを橋渡し技術と説明しています。CPOエコシステムがマルチベンダー対応へ向けて成熟するまで、フロントパネル型プラガブル光モジュールの実用期間をスイッチ1世代分延長する技術です。その対象となる49.6Tスイッチ世代への移行を、同氏は約18カ月後と見積もっています。
●MFUとは何ですか? AIインフラのバイヤーにとってなぜ重要なのですか?
MFU(Model FLOPS Utilization)は、GPUクラスターの理論上のコンピューティング能力のうち、ネットワーク通信のオーバーヘッド、メモリ待ち、スケジューリングの遅延などで失われず、生産的なAI処理に実際に使われる割合を指します。現在のAIトレーニングクラスターのMFUは38〜43%であり、購入したコンピューティング能力の約57〜62%が活用されていないことを意味します。CPOやその後継技術によってネットワークのボトルネックを解決することは、追加のGPUを購入せずに、クラスターの実効的な処理能力をほぼ倍増させることと経済的に同等だといえます。
元記事: Nvidia Ships Co-Packaged Optics Switch as Ecosystem Testing Gap Widens