サンマルクHD Research Memo(6):中期経営計画の目標値を上方修正
2026年6月29日 12:46
*12:46JST サンマルクHD Research Memo(6):中期経営計画の目標値を上方修正
■成長戦略
1. 中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)の目標値を上方修正
サンマルクホールディングス<a href="https://web.fisco.jp/platform/companies/0339500?fm=mj" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><3395></a>は2024年5月に中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)を策定し、中間目標として2026年3月期の売上高660億円、営業利益38億円、最終年度2029年3月期の目標として売上高800億円、営業利益65億円を掲げていたが、牛カツ業態のM&A及び既存事業の進捗を踏まえ、2025年11月18日付で目標値を上方修正(M&Aに伴い利益目標を営業利益からのれん等償却前営業利益に変更)し、新たな目標値を2029年3月期の売上高1,000億円、のれん等償却前営業利益90億円とした。
基本方針は、1) 「鎌倉パスタ」を中心とするパスタ業態のポテンシャル最大化(従来から変更なし)、2) 「サンマルクカフェ」の出店再開・店舗純増による成長、3) 国内外における牛カツ業態の成長加速として、新規M&Aの検討も継続する。
「鎌倉パスタ」業態については、グランドメニュー改定や店舗改装等の改善策も奏功して健全な成長を維持しているため、レストラン事業の中核業態として継続的な出店とリブランディングも含めた各種PR施策を通じてさらなる成長を目指す。また派生業態である「おだしもん」と「てっぱんのスパゲッティ」についても出店を拡大する。
「サンマルクカフェ」については、従来は店舗運営効率の改善を重点施策としていたが、2025年3月期までに不採算店舗の整理がおおむね完了した。さらに「プレミアムチョコクロ」など商品の高付加価値化による価格戦略が想定以上に進展し、1店舗あたり平均月商が2020年3月期を100.0として指数化すると2026年3月期は129.2となり、コロナ禍前と比べても大幅に増加した。さらに店舗オペレーション効率化も進展し、店舗運営が十分に改善された(2026年3月期の喫茶事業の営業利益率は前期比2.2ポイント上昇して10.6%へ改善)と評価し、本格的な新規出店・店舗純増戦略に転換して成長を目指す。牛カツ業態と連携することで効率的な店舗開発も期待され、店舗数(2026年3月期末289店舗)については2029年3月期に約370店舗、中長期的にはFCを含めて500店舗を目指す。
牛カツ業態の成長加速については、和の専門業態としてインバウンド需要獲得や海外展開を期待できる業態であり、成長ドライバーと位置付けて国内外で出店及びFCの獲得を推進する。「京都勝牛」は一部の事業を譲渡して牛カツ業態に経営資源を集中する体制とした。国内市場おいては概算で150~200店舗程度の出店が可能(2026年3月期末店舗数は「京都勝牛」62店舗、「牛かつもと村」30店舗の合計92店舗)と想定している。海外についてはFCで展開し、2026年3月期末の店舗数は「京都勝牛」が25店舗(内訳は韓国1店舗、台湾8店舗、香港1店舗、タイ3店舗、インドネシア6店舗、フィリピン2店舗、カナダ1店舗、シンガポール2店舗、オーストラリア1店舗)、「牛かつもと村」が2店舗(台湾2店舗)となっている。当面はアセアン・オセアニア地域を中心に展開する計画だ。大阪・関西万博に「京都勝牛」を出店したことを契機に、海外からの牛カツFCに対する問い合わせが急増している。また2026年5月に本社機能の一部を京都市に移転したが、海外からの牛カツFC希望企業に対する「おもてなし」の効果もねらっている。
M&Aを含めた長期的なブランドポートフォリオのイメージについては、売上規模拡大・収益性向上に向けた基本戦略として、1) 主力ブランド化に向けた収益性の改善、2) 主力ブランド化に向けた規模の拡大、3) 次世代ブランド化に向けた収益性の改善、4) 主力ブランドの種となるような業態のM&Aを推進する。当面は「生麺専門鎌倉パスタ」「サンマルクカフェ」「牛カツ京都勝牛」及び「牛かつもと村」を主力ブランドと位置付け、新たなM&Aも含めてさらなる成長を目指す。
2029年3月期に向けたキャピタルアロケーションについては一部を見直し、株主還元(配当)に60億円(下限を50円として増配基調を想定し、従来の50億円から増額)、自社株買いに75億円(実施済み)、M&Aの借入返済及び利払いに100億円、牛カツ業態のM&Aに220億円(実施済み)、牛カツ業態の設備投資に45億円、既存業態の設備投資に170億円(変更なし)、運転資金としての必要現預金に110億円(月商2ヶ月分程度、M&Aによる増収を考慮して従来の100億円から増額)の総額780億円(従来計画は420億円以上)としている。追加のM&A案件があった場合は借入による実施を想定している。
資本コストや株価を意識した経営については、PBR(株価純資産倍率)が1倍を超える水準で推移しており、ROE(自己資本利益率)は2025年3月期が8.3%、2026年3月期が8.7%となり、8%を超える水準を達成した。そして今後も株主及び投資家への適切な情報開示や建設的な対話などIR活動を強化し、株主及び投資家との対話内容を経営にフィードバックするなど企業価値の向上に努める。なお株主及び投資家との対話の実施状況として、IR面談実績は2025年3月期40件に対して、2026年3月期は80件に増加した。同社の収益改善状況に対して投資家の関心が高まっているようだ。サステナビリティ経営については2023年3月にサステナビリティ委員会を設置し、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、同社グループの中長期的な企業価値向上の両立を目指している。サステナビリティを巡る各種課題への対応を経営戦略及び経営計画等に反映し、全社的なサステナビリティ施策の推進を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《HN》