AIデータセンターの電力確保で先行するアマゾン、クリーンエネルギーで猛追するグーグル=米分析

2026年6月28日 16:11

AIデータセンター向けの電力確保において、アマゾンが先行しているものの、グーグルが再生可能エネルギーの活用により急速にその差を縮めていることが、米データ企業Aterioの分析で明らかになった。AIの主導権争いは、半導体の確保から、それを稼働させるための電力と送電網の確保へとシフトしている。各社は自社建設かリースか、あるいはグリッド接続か独自発電かといった戦略の違いを見せている。

■電力確保がAI競争の新たな戦場に

米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が引用したデータ企業Aterioの分析によると、AIデータセンター向けの電力確保においてアマゾンが先行しているが、グーグルも再生可能エネルギーを武器に急速に追い上げている。

AIの覇権争いは、データセンター内の半導体(チップ)の確保だけでなく、それを稼働させる電力と送電網(グリッド)の接続枠をめぐる争いへと静かに移行している。主要テック企業は、確保する電力量だけでなく、その調達方法においても異なる戦略をとり始めている。

■アマゾンとグーグルの対照的なアプローチ

Aterioの分析(米国内の自社建設データセンターに基づく)によると、アマゾンは現在約9ギガワットという最大の消費電力を誇り、2030年まで米国内のデータセンター数と容量を最も増やし続けると予測されている。

一方、グーグルは最も速いペースで容量を拡大しており、リース物件を含めると2030年までにアマゾンとの差を大幅に縮める見通しだという。

ただし、ハイパースケーラー(超巨大クラウド事業者)の容量推計は、稼働中の計算負荷、自社建設の消費電力、リース容量を含めるか否かなど、測定基準によって大きく異なる。今回の数値はAterioによるものであり、他の調査機関では異なる数値が示されている。重要なのは正確なギガワット数ではなく、各社の方向性である。

■自社建設かリースか、調達をめぐる3つの選択肢

アマゾンとグーグルの戦略は対照的だ。アマゾンは自社施設の建設を好む。これは長期的にはコストを抑えられ、管理もしやすいが、土地の確保、許認可、建設、そして何よりも送電網への接続待ち(グリッド接続キュー)が生じるため時間がかかる。

対してグーグルは、リースを活用することで迅速に動いている。Aterioの予測では、グーグルの2030年の容量の約4分の1がリースによるものであり、コストは高くなるものの、比較的早く電力を確保できる。自社建設はスピードを犠牲にして経済性をとり、リースは経済性を犠牲にしてスピードをとるというトレードオフがある。

この「自社建設かリースか」という分岐に加え、現在の電力獲得競争を左右する選択肢がさらに2つある。1つは「送電網に接続して待つか、データセンターのすぐ隣に発電所を設置(オンサイト発電)するか」。もう1つは「建設は早いが供給が不安定な再生可能エネルギーを買うか、それとも許認可に時間はかかるが安定供給が可能なガスや原子力などの『ファーム(常時稼働型)』電源を買うか」である。

■グーグルのクリーンエネルギー戦略と他社の動向

グーグルはクリーンエネルギーの調達を加速させている。開発企業のインターセクト・パワー(Intersect Power)との提携を通じて社内に再生可能エネルギー組織を構築したほか、テキサス州の一部のデータセンターを太陽光や風力発電所の近くに併設(コローケーション)し、送電網への接続待ち時間を短縮する計画を進めている。

この論理は「電力へのスピード(speed to power)」だ。専用の太陽光発電アレイと蓄電池の隣にデータセンターを配置することで、送電網のメーターを介さずに(behind the meter)大部分を稼働させ、送電網への完全な接続が確保される前に計算処理を開始できる。送電網は主要な電源ではなく、バックアップとして利用する。

他のハイパースケーラーも独自の手段で電力を確保している。マイクロソフトは、テキサス州西部の大型データセンターに電力を供給するため、シェブロンと天然ガス発電による電力の20年契約を結んだ。メタやアマゾンも独自の自社発電プロジェクトを推進している。これらはすべて、「競合他社よりも早く、ギガワット規模の信頼性の高い電力をいかに確保するか」という同じ問いに対する異なる回答である。

■政策が勝敗を分ける可能性

この競争が単なる企業の資金力勝負にとどまらないのは、ほぼすべての手段が政府や送電網運営会社の規制下にあるからだ。送電網への接続承認、許認可のスケジュール、排出ガス規制などが、これらの戦略が実際に電力を供給できる速さを左右する。

WSJが指摘するように、AIインフラ競争の結末は、技術だけでなくエネルギー政策の動向によって決まる可能性がある。そのため、企業の電力戦略は今や、半導体のロードマップと同様に極めて重要な戦略的位置づけとなっている。

■注目ポイントQ&A

●どの企業が最も多くのAIデータセンター容量を持っていますか?

WSJが引用したデータ企業Aterioの分析(米国内の自社建設データセンターを対象)によると、アマゾンが約9ギガワットと最も高い消費電力を誇り、2030年まで米国内の容量を最も増やし続けると予測されています。ただし、容量の推計方法は調査機関によって異なり、稼働中の計算負荷やリース施設を含めるかによって順位は変動します。グーグルは最も急速に成長しており、リース施設を含めると2030年までにアマゾンとの差を縮めると報じられています。

●なぜAIデータセンターはこれほど多くの電力を必要とするのですか?

AIのワークロード、特に大規模モデルのトレーニングや実行には、電力を大量に消費する半導体が密集したクラスターが必要であり、これらが継続的に電力を消費するためです。AI開発の加速に伴い、制約要因は半導体の確保から、十分な電力とそれを届ける送電網接続の確保へと移行しています。これにより、電力調達はハイパースケーラーと呼ばれる大手クラウドプロバイダー間の主要な競争分野となっています。

●グーグルはどのようにデータセンターの電力を調達していますか?

グーグルは再生可能エネルギーと迅速な調達手法に注力しています。開発企業インターセクト・パワーとの提携による社内体制の構築や、テキサス州などの市場における大規模な太陽光発電の電力購入契約(PPA)の締結、太陽光・風力発電所の隣へのデータセンター併設などを進めています。専用のクリーン発電施設の隣に拠点を置くことで、長い送電網接続待ちを回避し、より迅速に電力を立ち上げています。また、リース施設の活用により、すべてを自社建設するよりも早く容量を追加しています。

●マイクロソフトがデータセンターに天然ガスを使用しているのはなぜですか?

マイクロソフトは、テキサス州西部の大型データセンターに電力を供給するため、シェブロンと天然ガス発電による電力の20年契約を締結しました(シェブロンが「Kilby」と呼ぶプロジェクトで、約2.67ギガワットに達し、2028年頃に供給開始予定)。天然ガスは太陽光や風力のように変動せず、安定した「ファーム(常時稼働型)」電力を提供でき、専用発電所を併設することで送電網の制約を回避できます。ただし、グーグルが好む再生可能エネルギー重視のアプローチとは対照的に、化石燃料に依存するというトレードオフがあります。

元記事: Amazon Leads AI Data-Center Power, but Google Is Closing In on Clean Energy

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