オルカン一強の正体 新NISA資金が集中する“見えないリスク構造”
2026年6月12日 14:15
新NISAの開始以降、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)の人気が続いている。実際、純資産総額は2024年1月4日時点で約1.8兆円だったが、2026年1月5日時点では約9.1兆円、2026年6月8日時点では約12.2兆円まで拡大している。
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SBI証券の2026年6月第1週(6月1日~5日)のNISA買付ランキングや、楽天証券の同時期の投資信託買付ランキングではいずれも1位となっており、新NISAを象徴する商品の一つといえるだろう。
オルカンが支持を集める理由は分かりやすい。1本で世界中の株式に分散投資できるうえ、近年は米国株高や円安を背景に好調な運用実績を残してきた。投資先を自分で選ぶことに不安がある人でも始めやすく、長期・積立・分散という資産形成の考え方とも相性が良い。
■オルカンの背景にも注目
ただ、人気の高さだけを見るのではなく、その背景にも目を向けたい。
オルカンは世界株に分散投資する商品として知られているが、2026年5月末時点の月次レポートによると、国別構成比率は米国が62.4%で最も高い。2位の日本は5.0%、3位の英国は3.1%、4位の台湾は3.0%となっており、米国市場の影響力が際立っていることが分かる。
また、為替の影響も小さくない。新NISAが始まった2024年1月ごろのドル円相場は1ドル=141円前後だったが、2026年6月上旬時点では160円前後で推移している。米国株の上昇に加え、円安が進んだことも円ベースの運用成績を押し上げる要因となった。
■人気集中のリスクにも
「人気集中のリスク」とは、オルカンそのものの危険性を指すものではない。
むしろ、多くの投資家が保有する人気商品だからこそ、その人気を支えている外部環境の変化に目を向ける必要があるという意味だ。
人気が高い商品ほど、多くの投資家が同じ市場環境の影響を受ける点も意識しておきたい。実際、2022年には米国の急速な利上げや景気減速懸念を背景に世界の株式市場が大きく下落した。分散投資であっても、市場環境の変化による影響を完全に避けることはできない。
■今後の注目ポイントは
もちろん、長期・積立・分散という投資の基本が変わるわけではない。しかし、「オルカンを買ったら終わり」ではなく、米国経済やドル円相場、金融政策などにも関心を持つことで、投資への理解はさらに深まるはずだ。
今後は米国の金融政策やドル円相場に加え、オルカンへの資金流入が続くのかどうかも注目材料となる。こうした変化が見られた時、市場がオルカン人気をどう評価するのかが、次の試金石となりそうだ。