新NISAで買われるメガバンク株 三井住友FGの優待は本当にお得か
2026年6月3日 14:18
三井住友フィナンシャルグループが5月13日、株主優待制度を新設すると発表した。新NISAで個人投資家を集めるメガバンク株が、配当に加え「最大3万円相当」のポイント還元を打ち出した形だ。
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野村証券の成長投資枠ランキングで同社は2026年3月に16位と順位を上げ、三菱UFJなどメガバンク株はNISA口座で買われる高配当株の中心になっている。だがその条件を一つずつ見ていくと、額面通りの「お得」とは言い切れない。
■「最大3万円」、100株では5000円相当
新設された優待は3種類。100株以上を1年以上保有し、同社のデジタル金融サービス「Olive(オリーブ)」の契約と対象口座残高15万円以上などの条件を満たした株主に、Vポイント、定期預金の金利上乗せ、劇団四季の公演招待を贈る。
注目のVポイントは最大3万円相当とされるが、これは1000株を5年以上持つ株主向けの上限だ。100株を1年保有した場合は5000円相当にとどまる。約58万円で100株を買い、配当(年約1万8000円)と合算しても総利回りは概算4%前後だ。「最大3万円」の額面と初心者が実際に手にする額には大きな差がある。
■囲い込みの起点となる「Olive契約」
見落としてはならないのは、優待の条件が現金でも自社製品でもなく、Oliveの契約に置かれている点だ。
優待を得るには、株の購入代金約58万円に加え、翌年2月末の時点でOlive口座に15万円以上の残高が必要になる。株式と預金で計70万円超を用意して、戻るのは5000円相当のポイントだ。
なぜここまでOliveにこだわるのか。答えは同社の戦略にある。優待発表から13日後の5月26日、三井住友FGはSBIと共同で金融商品仲介の新会社「Oliveコンサルティング」を本格始動させた。
Oliveの利用者に、ネット証券の機能と対面の運用相談を組み合わせ、資産運用から取引、相談までをOlive内で完結させる狙いだ。
優待でOlive契約者を増やし、その先で運用サービスへ誘導する。優待新設と子会社設立は、個人マネーをOlive経済圏に取り込む一連の流れとして読める。
新NISAで膨らんだ個人の資金を、配当という非課税の果実だけでなく、自社サービスの顧客基盤へと変えていく構想が透ける。
銀行が個人マネーを奪い合うなか、優待はもはや単なる株主還元ではなく、自社サービスへ顧客を囲い込む入り口になりつつある。三井住友FGの優待設計は、その象徴的な事例と言えそうだ。
新NISAで個別株に向かう個人には、利回りの数字だけでなく、企業がその裏で何を狙っているかを読む視点が問われている。