朝日ラバー、26年3月期は大幅増益・黒字転換、27年3月期は保守的予想、第15次中期計画で売上高100億円以上を目指す
2026年5月28日 07:58
朝日ラバー<5162>(東証スタンダード)は自動車内装LED照明光源カラーキャップを主力として、医療・ライフサイエンスや通信分野の事業拡大も推進している。2030年を見据えた長期ビジョンではSDGs・ESG経営を意識して経営基盤強化を目指している。26年3月期大幅増益(当期純利益は黒字転換)だった。主力の自動車内装照明用ASA COLOR LEDは減少したが、スイッチ用関連製品、卓球ラケット用ラバー、診断・治療向け採血用・薬液混注用ゴム栓などが増加した。27年3月期はコスト増加や不透明感を考慮して減益予想としている。配当予想は前期比増配とした。ただし保守的だろう。なお第15次中期系計画を策定した。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は27年3月期減益予想を嫌気する形で急落したが、売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRなども支援材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。
■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力
シリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装照明関連、卓球ラケット用ラバー、RFIDタグ用ゴム製品などの工業用ゴム事業、およびディスポーザブル用ゴム製品などの医療・衛生用ゴム事業を展開している。車載用LED照明の光源カラーキャップASA COLOR LEDなどを主力としている。
26年3月期のセグメント別業績は、工業用ゴム事業の売上高が59億47百万円で営業利益(全社費用等調整前)が3億05百万円、医療・衛生用ゴム事業の売上高が19億05百万円で営業利益が1億31百万円だった。
■重点分野は光学、医療・ライフサイエンス、機能、通信
26年5月に長期ビジョン「Beyond 2030」を掲げ、新たな成長フェーズへと移行するための第15次中期経営計画(27年3月期~31年3月期)を策定した。
第15次中期経営計画の基本方針は「ウェルネスブランディングで持続的な成長を目指す」として、定量目標には最終年度31年3月期連結売上高100億円以上、連結営業利益率5%以上を掲げた。設備投資額は5カ年で合計約35億円を見込んでいる。
重点4市場は、光学事業(ASA COLOR LED、ASA COLOR LRNS、白色シリコーンインキなど)、医療・ライフサイエンス事業(採血用・薬液混注用ゴム栓、プレフィルドシリンジ用ガスケット、ARチェックバルブ、マイクロ流体デバイスなど)、機能事業(自動車スイッチ向けゴム製品、F-TEM(フレキシブルサーモエレクトリックモジュール)、卓球ラケット用ラバーなど)、通信事業(RFIDタグ用ゴム製品、やわらか保護カバーなど)としている。これまでの製品群やターゲットに加えて、特にウェルネス領域に向けて発展させる。
26年3月期の重点4市場分野別の売上高は、光学事業が22億円、医療・ライフサイエンス事業が19億04百万円、機能事業が33億92百万円、通信事業が3億54百万円、主要製品の売上高はASA COLOR LEDが19億50百万円、医療用ゴム製品が18億92百万円、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用カバー)が8億55百万円、RFIDタグ用ゴム製品が1億84百万円だった。
31年3月期の重点4市場別の売上高目標は、光学事業が22億円、医療・ライフサイエンス事業が31億円、機能事業が43億円、通信事業が4億円とした。
光学事業では、自動車内装照明向け光源のASA COLOR LEDが今後減少する見込みのため、生産効率の維持によって利益創出に向けた取り組みを強化する。またウェルネス領域として、光学技術を活かしたシリコーンレンズで自動車の外装照明向けのシェア拡大を図るほか、感性認知照明の実用化に向けた開発を推進する。
医療・ライフサイエンス事業は本計画の注力分野と位置付け、ISO15378認証を取得して海外市場への参入を目指す。特に透析・人工呼吸器・手術用機器で使用される使い捨ての医療機器に使用されるゴム栓、医療現場の安全を守る閉鎖式回路製品向けのゴム製品など、高度な診断・治療分野にリソースを集中させ、第2福島工場の増築や新工場建設も視野に入れて成長を加速させる。またウェルネス領域として、独自のコーティング技術を生かしたバイオ・創薬・先端医療向け注射器用ガスケットなどの製品開発に取り組む。
機能事業では、卓球ラケット用ラバー製品について、顧客のニーズを迅速に製品化する循環をさらに深化させ、さらなる増産体制の構築を目指す。また自動車向けのスイッチなどの操作系精密ゴム製品の拡充を進める。ウェルネス領域としては、次世代自動車向けのセンサやペルチェデバイスの価値向上を目指して製品開発に取り組む。
通信事業では、やわらか保護カバーの機能性と特長をさらに向上させ、ウェルネス領域に向けた性能の実現を目指す。そしてセンシング技術や通信制御技術を活用し、農業やインフラ分野のDX推進に貢献する。また土木資材管理用のRFIDタグや農業分野におけるICTソリューションの提供を通じて、作業効率の向上や人材不足の解消といった社会課題を解決し、新たな収益源を築く。
本計画期間中の株主還元については、これまで年間20円であった配当水準を引き上げ、中間配当12円と期末配当12円を合わせた年間配当24円へと増配を実施する。
また人的資本投資については、働く従業員が心身ともに健康な状態(Well-being)を高めていくことが本計画達成の土台となり活力になると考え、人的資本経営を加速させる。具体的な施策の一例として、26年1月より従業員持株会奨励金を従来の10%から30%へ大幅に引き上げた。また26年4月より従業員株式付与ESOP信託制度を導入した。
なお資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応としては、第15次中期経営計画で掲げた各種施策を着実に推進し、ROE(自己資本利益率)やPBR(株価純資産倍率)の向上に努める。
■新技術・新製品
25年10月には主力のASA COLOR LEDが、オンテロープ社が開発した音が見えるメガネONTELOPE Glassに正式採用された。自動車の内装照明用で培ったASA COLOR LEDの細かな調色技術を活かし、ONTELOPE Glassに必要不可欠な色合いの違う44個の小さなLEDによって、虹色のグラデーションによる表現を可能にした。
26年3月には、東芝ライテックにて受託した国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」の船外に搭載する照明機器「LEDビデオライトユニット」に、同社のシリコーンレンズ「ASA COLOR LENS」が採用されたとリリースした。25年10月26日に種子島宇宙センターから打ち上げられた新型宇宙ステーション補給機1号機(HTV-X1)に搭載され、10月30日に国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングに成功した。日本実験棟「きぼう」に搭載されるロボットアームの先端に取り付けられ、船外活動時や各種実験機器を操作する際の照明として使用される。
■SDGsへの取り組みを強化
21年8月に「サステナビリティビジョン2030」を策定し、SDGsへの取り組みを強化している。23年3月には未来を拓くパートナーシップ構築推進会議の趣旨に賛同して「パートナーシップ構築宣言」を宣言した。23年12月には、白河工場(福島県白河市)の敷地内にV2Hシステム(Vehicle to Home:クルマから家へ)を導入した。電気自動車などに蓄えられた電気を有効活用するためのシステムで、エネルギーの有効活用を推進する。24年12月には、さいたま市リーディングエッジ企業に継続認証された。
■27年3月期減益予想だが保守的
26年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.8%増の78億52百万円で、営業利益が1億97百万円(前期は2百万円)、経常利益が507.7%増の1億89百万円、親会社株主帰属当期純利益が1億58百万円(同2億36百万円の損失)だった。配当は前期と同額の20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。配当性向は57.0%となる。
大幅増益(当期純利益は黒字転換)だった。主力の自動車内装照明用ASA COLOR LEDは減少したが、スイッチ用関連製品、卓球ラケット用ラバー、診断・治療向け採血用・薬液混注用ゴム栓などが増加した。
工業用ゴム事業は売上高が1.2%増の59億47百万円、営業利益(全社費用等調整前)が165.8%増の3億05百万円だった。増収・大幅増益だった。主力の自動車内装照明用ASA COLOR LEDは採用車種の販売状況の影響で減少したが、Oリングやスイッチ用などの操作系精密ゴム製品、卓球ラケット用ラバーなどが増加した。なお自動認識機器に使用されるRFIDタグ用ゴム製品は、経済環境や生産調整の影響で減少した。
医療・衛生用ゴム事業は、売上高が7.9%増の19億05百万円で、営業利益が24.4%減の1億31百万円だった。増収減益だった。売上面は診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓が増加し、医療用逆止弁、プレフィルドシリンジガスケット製品、手技シミュレータ製品も堅調だったが、利益面は販売製品構成変化の影響で減益だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が19億23百万円で営業利益が45百万円、第2四半期は売上高が19億62百万円で営業利益が77百万円、第3四半期は売上高が19億78百万円で営業利益が76百万円、第4四半期は売上高が19億89百万円で営業利益が1百万円の損失だった。
27年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比4.1%増の81億72百万円、営業利益が25.2%減の1億48百万円、経常利益が35.6%減の1億22百万円、親会社株主帰属当期純利益が46.5%減の85百万円としている。配当予想は前期比4円増配の24円(第2四半期末12円、期末12円)としている。予想配当性向は126.7%となる。
セグメント別売上高計画は、工業用ゴム事業の売上高が3.1%増の61億32百万円、医療・衛生用ゴム事業の売上高が7.1%増の20億39百万円、重点4市場分野別売上高計画は、光学事業が0.2%増の22億03百万円、医療・ライフサイエンス事業が7.1%増の20億39百万円、機能事業が5.4%増の35億76百万円、通信事業が0.7%減の3億52百万円としている。また主要製品売上高計画はASA COLOR LEDが13.2%減の16億93百万円、医療用ゴム製品が4.5%増の19億77百万円、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用カバー)が12.7%増の9億64百万円、RFIDタグ用ゴム製品が19.6%減の1億48百万円としている。
売上面は自動車内装照明用ASA COLOR LEDの減少が続くが、自動車関連向け精密用ゴム製品、卓球ラケット用カバー、診断・治療向けの採血用・薬液混注用ゴム栓、医療シミュレータなどが増加して増収・過去最高更新見込みとしている。利益面は要員増によるコスト増加や不透明感を考慮して減益予想としている。ただし保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。
■株価は調整一巡
株価は27年3月期減益予想を嫌気する形で急落したが、売られ過ぎ感を強めている。高配当利回りや1倍割れの低PBRなども支援材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。5月27日の終値は669円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS18円94銭で算出)は約35倍、今期予想配当利回り(会社予想の24円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1119円60銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約31億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)